結婚と親
二度も時を遡った僕だけれど、華子の挙式の後は………そう、遡る前の一番最初の華子と雄一の結婚式の後の事は華子への腹立ちが大きくて、雄一への罪悪感が酷くて、僕は覚えていない。
でも、この二回目の時を遡った今、三度目の人生の今、両親の笑みに隠された気持ちを知った。
華子の結婚式が終わった日、僕は妻と子を連れて実家に泊まった。
子どもを寝かせ付けて妻と寝た後、手洗いに行きたくなり目が覚めた。
ついでに水を飲もうとキッチンへ向かった。
途中、リビングの灯りが目に入った。
リビングに入ると、両親が居た。
父が項垂れている。
母が項垂れた父に寄り添っている。
父は母の肩を抱いて「もう……華子は……この家に帰って来ないんだな……。」と父が呟いた。
母が「あなた……あなたが決めたお方ですから……華子は幸せになれますわ。」と優しく言った。
僕がリビングの入ったことさえ両親の目に入らなかったようだ。
僕はそっとリビングを出てドアを閉めた。
⦅お義父さんも尚子の結婚式の後、泣いたのだろうか……。⦆
自分の部屋に戻って、ベッドで寝ている妻・尚子を見た。
そして、僕は妻を大切にしよう!と改めて心に誓った。
◇◇◇◇
父のことが気になった僕は、華子の結婚式の後、何度か実家を訪れた。
実家を訪れた日曜日。
その日、午後から華子の友人夫婦が来ると聞いた。
華子が父に頼んだ見合い相手と結婚した友人だという。
吉田幸代と夫の進。
「ようこそ、お出で下さいました。」
「初めまして、吉田進でございます。
もっと早くご挨拶に伺わないといけませんのに、遅くなってしまいました。
申し訳ございません。」
「いやいや、そんなことは気になさらずに。」
「初めまして、吉田幸代でございます。
華ちゃんには高校の頃から仲良くして頂いております。」
「娘と仲良くして頂いて、こちらこそ感謝しておりますのよ。」
「そんな風に言って頂けて嬉しいです。」
「さぁ、立ったままでは話も出来ません。
どうぞ、お座り下さい。」
「ありがとうございます。座らせて頂こうか。」
「ええ。」
新婚の二人は見合いで結ばれたとは思えないほど仲が良かった。
「お二人が仲良く過ごされている様子を伺えて嬉しく思います。」
「華ちゃんのお陰です。」
「そうです。華子さんのお陰で僕達………なっ。」
「うん。」
「1年間、お付き合いの時間を設けて頂けて、僕達、何度も会ううちに……
その……何時しか惹かれていったんです。」
「そうですか。」
「お兄様、私は華ちゃんと約束したんです。」
「何をですか?」
「まぁ、何かしら?」
「華子と約束ですか……気になるな。」
「いつか、私達夫婦と華ちゃんの夫婦とでお出掛けしましょう、って。」
「まぁ、素敵ですわね。」
「僕も今から楽しみなんです。
家族ぐるみでお付き合い出来たら嬉しいので……なっ。」
「うん。」
二人が帰って行く時、僕は見た。
二人手を繋いで帰って行く姿を……。
幸代の養父母の理不尽な要望を知った華子はきっと吉田幸代の幸せな結婚を見たかったのだろう。
華子が良い友人に恵まれたと僕は初めて安堵した。




