華子の結婚
新婚旅行から帰って来た僕に「華子の結婚が決まった。」と、父によって齎された。
僕が知らない間に、華子は父から勧められた縁談を受けていたのだ。
しかも最初の男性との見合いで断らなかった。
⦅有り得ない! 二度目の人生の時は断っていたのに……。⦆
僕は俄かには信じられなかった。
華子の友人は、華子が望んだとおりに結婚したそうだ。
但し、高校卒業して直ぐに結婚したのではなく、1年も付き合ってから結婚したそうだ。
華子は自分友人の結婚に際しては「出来るだけ恋人のようなお付き合いを経て欲しい。」などと注文を付けていたらしいのに、自分の結婚は通常の見合いだった。
見合いを経て2ヶ月後には挙式が執り行われると決まったことを、父から知らされた。
⦅有り得ない………こんなこと、有り得ない………。⦆
2ヶ月後の結婚式で花嫁姿の華子を見て、僕は言葉を掛けられなかった。
ただ見つめてしまった。
隣で妻が「不満がいっぱいなのね。」と言った。
僕は「恋愛を経験して欲しかった。」とだけ話した。
「そうね。」とだけ妻は返した。
華子の嫁ぎ先は父の取引先の一つだった。
高嶋家の令嬢に相応しい相手だとは思う。
だが、相手がどんな男性か僕には分からない。
それが怖かった。
華子が花嫁控室で挨拶をした。
「お父様、お母様、昨日、ご挨拶致しましたが……。
今一度、ご挨拶させて下さいませ。」
「華子。」
「華子さん……。」
「お父様、お母様、育てて下さってありがとうございました。
華子は今日より大崎家の嫁として、大崎誠さんの妻として努めて参ります。
見守って下さいまし。」
「華子………辛かったら、何時でも帰って来なさい。」
「華子さん、辛くなくても何時でも帰って来てね。」
「はい。
お兄様、お幸せに……お義姉様とお二人で………。」
「うん、君も幸せに………。」
「はい、ありがとうございます。」
花嫁姿の華子を見ても、僕は安堵しなかった。
華子の心の中に雄一が居る限り、不安が綺麗に消えたわけでは無かった。
時を遡る前、一番最初の時の華子がしたことは酷かったからだ。
あの華子の言動が僕はどうしても忘れられない。
挙式、披露宴が無事に執り行われた。
華子の友人が夫婦で披露宴に来てくれていたらしい。
華子が心配して縁談を父に頼んだあの友人夫婦だそうだ。
華子はとても喜んでいたそうだ。
その友人夫婦も、そして華子と大崎誠も幸せになって欲しい。
その気持ちに嘘も偽りも無い。
◇◇◇◇
結婚した僕ら三人、雄一、孝三郎、そして僕。
三人それぞれに子どもを授かった。
そして、一人独身だった和宏も見合いで結婚した。
僕が最も親しい友人は、皆、家庭を持ったのだ。




