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男たち 女たち  作者: yukko
氏郷
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また遡った時間

僕は目覚めた。

すると目の前に母が居た。

若い母だった。


「氏郷さん! 良かった……。」

「お母様?」

「はい、どうしました?

 早く起きて下さらないと……。

 幾ら大学生とは言え、毎日お昼頃に起きるのは如何なものでしょうか?」

「大学生?」

「さぁ、早くお食事なさいませ。

 華子はもう学校に行きましたよ。」

「お母様、僕は大学生なのですか?」

「何を言っているのです。大学生ですよ。

 もう就職も決まって……お父様からお祝いを頂いたでしょう。」

「じゃあ……僕は卒業前なんですね。」

「ええ、そうですよ。」

「華子は?」

「だから、学校へ行きましたよ。

 早く起きて下さいまし。」

「はい、お母様。」

⦅僕はまた時を遡ったのか?……じゃあ、やり直せる。⦆


僕は一番最初の人生で華子を許せなかった。

時を遡って二度目の人生で、僕は華子を絶対に谷川雄一に近づけないようにした。

それは、華子自身の心を無視していた。

華子は二度目に人生を一度目の人生より早く終えてしまった。

僕は後悔した。

華子に対して別の方法があったのではないかと悔やんだ。

やり直せるのなら、この人生で僕は雄一と愛子の幸せを守るだけではなく、華子が幸せに

なる姿を見たい。


◇◇◇◇

谷川雄一に華子が初めて会った日のことは忘れられない。

そして、三度目も同じ結果だった。


「お兄様、あの方のお名前は……その……教えて下さらない?」

「華子………はぁ…………。」

「駄目なことですか? どうして、駄目なの?」

⦅あぁ………今度も同じなのか………また雄一に恋したんだな。⦆

「ねぇ、お兄様。聞いていらっしゃる?」

「聞いてるよ。彼は谷川雄一だ。

 僕の大切な友人だ。そして、もうすぐ婚約する恋人が居る。」

「谷川……雄一……様……。」

「華子? おいっ! 華子、僕の話を聞いてたか?」

「聞いていました。あの方のお名前、谷川雄一さん、と……。」

「はぁ…………聞いてないじゃないか。

 僕の大切な友人だ。婚約間近の恋人が居る。」

「婚約! 婚約なさるの?」

「そうだ。卒業したら結婚するだろう。」

「婚約………結婚………。」

「だから、華子。君が雄一に恋しても無理なんだ。

 諦めなさい。いいね!」

「………結婚なさる…………。」

「そうだ、君が入る込む隙間など全く無い。」

「……………………。」

「華子!」

⦅この会話、もう出来ればしたくなかった。⦆


それからは、僕は時を遡った二度目の人生と同じように華子を雄一と会わせないようにした。


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