邪な恋心
初めて会った日から幾度か雄一と会った。
雄一に会いたくても、私は兄が居ないと会えない。
大学の学園祭へ兄に強請って連れて行って貰った。
その時、私は初めて雄一の婚約者に会った。
美しい人――それが初めて会った時の私が受けた彼女の印象だった。
二人が並んでいると正しく【お似合いの二人】だった。
羨ましかった。
そして………彼女の立場になりたいと願った。
雄一の優しい眼差しを独り占めしている彼女が恨めしいとさえ思った。
⦅雄一の最愛の女性。
婚約者。
私が先に出逢っていたら違ってた?
私は雄一の婚約者になりたい!
ううん、婚約出来ても結婚出来なかったら……嫌よ。
妻に! 私は雄一の妻になりたい!
どんなことをしても………。⦆
そんなことを思っている私に、雄一の婚約者・榊原愛子は微笑んで話し掛けて来た。
その声色は優しかった。
「華子さん、ご一緒させて頂いても宜しいでしょうか?」
「ええ、どうぞ。」
「私には妹がおります。」
「そうですか。」
「妹も18歳です。」
「そうでございますか。」
「妹は華子さんのようにしっかりしていません。
甘えてばかりで………。」
「甘えられて嬉しいんだろう。」
「………嬉しいけど……もう、いいじゃないの。」
「仲がいいんだ。姉妹………。」
「まさか……雄一、君は妬いてるのか?」
「五月蠅いな! いいだろう、別に………。」
「雄一さん、仲が良いのね。高嶋さんと……。」
「おっ、妬いてくれてるのか? 愛子………。」
「もう!」
「あ゙ぁ―――っ! もう見てられないな。
華子、僕と二人で見ような。
お邪魔してはいけないから、な。」
「え……………お兄様と二人で?」
「さぁ、行こう。今日は華子だけのお兄様になってあげるよ。」
「おいっ、氏郷。」
「どうぞ、ごゆっくり!
さぁ、行くぞ。華子。」
兄に手を引かれて私は去りたくないのに、雄一の傍から離れざるを得なかった。
そうだ。
私はあの日、あの時に決めたのだ。
どんなことをしても雄一と結婚すると………。
それを実行する日を……実行する方法を……私は考えた。
そして…………高校を卒業して短大に進学した日。
私は実行方法を決めた。
急がないと間に合わない。
大学を卒業した雄一の結婚式は決まっていた。
雄一の結婚式の前に決行しないといけない。
私は兄を利用した。




