出逢い
夫との出逢いは兄が大学生の頃だった。
私は高校生だった。
昭和50年に夫と初めて会った。
兄が家に夫を連れて来た日だった。
「初めて御目文字致します。谷川雄一でございます。」
「君が………そうか、君が谷川雄一君なんだね。」
「優秀だとお話は常々、氏郷さんから伺っておりますのよ。」
⦅………谷川……雄一……さん………素敵な方……。⦆
一目惚れだった。
文字通り一目見て私は恋に落ちたのだ。
身長が178㎝の雄一。
背が高く、涼しげな目元で優しさが溢れる笑顔。
私は雄一の瞳に映りたいと願った。
「私こそ、氏郷君にはお世話になっております。」
「そうですよ。私が世話をしています。」
「そうか…………?」
「お疑いですね、お父さん。」
「氏郷さん、谷川さんに夕食をご一緒して頂けるのかしら?」
「夕食………雄一君、君、どうする?」
「あ………ありがとうございます。
御心は有難く受け取らせて頂きます。」
「まぁ………御都合が悪いのかしら?」
「はぁ………既に、約束をしております。」
「それは、残念だ。」
「本当に………。」
「あ………彼女とデートかな?」
「まぁ! そうですの?」
「それは、そちらが優先されるな。」
「当然でしょう。」
「申し訳ございません。」
「また、お誘いさせて頂いても宜しゅうございますか?」
「勿論でございます。」
「その時は彼女も一緒に!な。」
「それは……その……彼女がどう言うか……。」
「また、何時か会って下さる日がやって来ることを望んでいますよ。」
「はい、彼女に申し伝えます。」
「婚約者だからな。大切なんだよ。」
「まぁ、そうですの。」
「それは、おめでとう。」
「ありがとうございます。」
⦅婚約者………? 婚約者?………⦆
出逢って直ぐに私は失恋した。




