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男たち 女たち  作者: yukko
華子
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17/40

事実

華子の部屋から母が出て行った。

和宏に「どうぞ、ごゆっくりなさって……。」と言って……。

和宏は母の後を追うように部屋を出ようとした。


「どうなさいましたの?」

「えっ?いや……あの……華子さんの部屋で………その………

 僕と二人きりは良くないと思って……。

 応接間に戻った方が宜しいかと……。」

「えっ?」

「いや……だから……僕は……その……男でして………。」

「でも、お友達でしょう。」

「あ………お友達……ですね。

 ですけど……僕は男なので………応接間に行きましょう。」

「……分かりました。参りましょう。」

「はい……あの………。」

「何でしょう?」

「少しお話があります。」

「伺いますわ。どうぞ……。」

「あ……応接間は……僕と二人ですか?」

「ええ。」

「………応接間に着いてから話します。」

「うふふ………。」

「何か僕……可笑しいこと言いました?」

「今日の和宏さんは、最初の頃みたいで……ずっと敬語。

 私も敬語になってしまって、変で………。」

「そう……だったのかな?」

「ええ……それに、私の部屋で二人きりは嫌がるのに、応接間ならいいの?」

「そ………それは………女の子の部屋に入ったの……僕、初めてで………。

 緊張したし………。」

「緊張?」

「そうだよ、緊張したんだ。」

「お友達の部屋なのに?」

「お友達………か………。」

「どうしたの?」

「……あ―――っ、応接間で話すよ。」

「お話しして居ましたら、応接間に着きましてよ。」

「そのようですな。」


ソファーに座って、私は手伝いの正岡明子に紅茶を用意するよう伝えた。

紅茶がテーブルの上に置かれてから、和宏は話し出した。

勇気が要ったようで大きくゆっくり息を吐いた。


「華子さん、これから言う話を聞いたら、君がどう思うか分からなくて不安なん

 だ。

 だけど、このままじゃいけないと思った。

 だから………聞いてくれる?」

「聞くわ。」

「僕は、君のお父さんからの………見合い相手じゃないんだ。」

「え……………。」

「僕は、君のお兄さん………氏郷君と高校の部活で知り合ったんだ。

 氏郷君の高校の頃からの友達なんだ。」

「お兄様の?」

「うん、君と始めた会ったのは、あのお見合いじゃない。」

「え…………。」

「氏郷君の結婚披露宴で会ったんだ。」

「お兄様の披露宴?」

「うん、そうだよ。

 その時の君、伏し目がちだったけど、一人の男性を目で追っていた。

 氏郷君の披露宴で夫婦で来ていた男性を、君は見ていた。

 そっと誰にも悟られないように………。」

「………………貴方、私が誰を見ていたか……気付いたの?」

「うん、気付いた。

 悲し気で……君の笑顔が僕には痛々しく感じられて………。

 君のことが心に深く残った。

 それから、氏郷から君が見合いしたと聞いた。

 僕は君に会いたかったんだ。

 だから、見合い相手になりたいと氏郷に頼んだんだ。」

「……………私は騙されたの?」

「騙すつもりはなかった。」

「でも、騙したのよね。」

「結果は………そうだね。

 会いたかったから、頼んだんだ。

 まさか、君のお父さんの面接があるとは思わなかったけど……。」

「面接?」

「そうなんだ。面接で合格しなければ見合いは無かった。

 僕は幸いにして見合い相手になれた。

 君のお父さんが見合いすることを許してくれたんだ。」

「…………………お父様が?」

「そう………君のお父さんが許してくれなかったら見合い相手になれなかった。

 僕は君に恋している。

 だから、君の傍に居られるだけで良かったんだ。」

「お友達として?」

「うん、最初はね。 そう思ってた。

 君の心の奥深くに居る男性のことを思い出さずに居られる時間があれば……

 君が楽になると、そう思ってた。

 僕の想いなど君に知られなくても、いいと思ってた。

 でも、1年も友達で居たら……伝えたくなった。僕の気持ちを………。

 君を騙していたことも謝ろうと思った。

 今更だけど、本当のことを話さなくて……申し訳ありませんでした。」

「………………謝れば済むと思ったの?」

「それは………許して貰えないと思った。

 ただ、僕は君を愛している。

 だから、もう……お友達では居られない。

 君が僕のことを許せないだろうと思ったから、今日で終わりだとも思った。」

「………終わりなのに1周年記念のプレゼント?

 馬鹿にしてるの?」

「あれは……もう……ずっと前から何度も作り直して………君に送りたかった。

 済まない………僕の自己満足だ。

 君に話すことを決めたのは……さっき……で………。」

「何を言っても嘘に聞こえるわ。

 それに…………頭の中が滅茶苦茶よ。」

「僕は君に恋している。

 君が僕を嫌なら、もう会わない。

 それだけは嘘じゃないから……。」

「……………もう帰って………この後、映画を見るって言ってたけど……。

 行かないわ。」

「………分かった。

 今日で終わりなんだね。」

「……………帰って………。」

「華子さん………君は素敵な女性だ。

 何時の日にか、きっと君の心を捉えて離さない別の男性が現れる。

 どうか幸せを掴んで下さい。

 ありがとう。

 僕にとっては、この上なく幸せな時間だった。」


和宏はそう言って去って行った。

私は衝撃で頭の中は真っ白だった。

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