友達1周年
和宏と友達として付き合うようになってから、雄一のことばかり見つめていた私は雄一を見つめる時間が減ったことに気付いた。
そして、ある日。
和宏が高嶋の家にやって来た。
そして、和宏は私に小さな花束と包装された箱を差し出した。
「これは……何?」
「あの………1周年だから……友達になって1周年。」
「1周年?」
「うん、僕達、友達になって1周年。
それで………あの……これを……受け取って。
………嫌なら……持って帰るから……気にしないで!」
「………私、何も用意してないわ。」
「いいよ、華子さんは!
僕から『友達になって下さい。』ってお願いしたから……。
だから、これは僕の華子さんへの『ありがとう。』って気持ちだから。」
「いいの? 貰って。」
「うん! 受け取って貰えたら僕は凄く嬉しいよ。」
「じゃあ……ありがとう。」
和宏はパッと顔を輝かせた。
「綺麗で可愛い花束………ありがとう。」
「うん……。」
「こっちの箱、開けてもいいかしら?」
「う……ん、開けて……。」
箱を開けると、その中には折り紙で作られたオーナメントが入っていた。
「まぁ………綺麗だわ………。」
「要らなかったら捨てて………。」
「捨てないわ。可愛くて綺麗だもの。」
「本当?」
「うん、本当よ。」
「あ! あまり見ないでくれないか。」
「どうして?」
「それ、僕が作ったから……そんなに見られたら粗が……。」
「和宏さんが作って下さったの?」
「う……ん………妹に教えて貰ったんだ。
だから、下手だから……。」
「和宏さんが折り紙を折る姿………ふっふふふ………。」
「可笑しいかな? やっぱり……。」
「想像しただけで……ふっふふ………。」
「そんなに笑わないでくれよ。」
「……ふっふふふ………ごめんなさい。
でも、一生懸命に作って下さったと思うと……捨てられないわ。」
「本当?」
「ええ、捨てたりしませんから、ご安心を!」
「良かったぁ………。」
思い出せば、和宏は付き合って1ヶ月の時、そして半年の時に私の自宅へやって来て贈り物をしてくれた。
必ず小さな花束を抱えて、そして1ヶ月の記念日(←そう和宏は言っていた。)には、ケーキを持って来てくれた。
半年の記念日にも小さな花束と贈り物をしてくれた。あの時は、何故だか縫いぐるみだった。
小さな可愛いセントバーナードの救助犬の縫いぐるみ。
そして、1周年記念日だと多分言うであろう今日は、和宏が作ったオーナメントだった。
私は直ぐに自室へ向かい飾った。
「和宏さん、飾らせて頂きましたよ。
見て下さい。」
「え…………それは……駄目ですよ。」
「どうしてですか?」
「そ………それは……女性の部屋に男の僕が入ったらいけないんです。」
「まぁまぁ、和宏さんがそんなに気になられるのでしたら、私がご一緒させて頂き
ましょう。」
「お母様。」
「おば様……宜しいのですか?」
「勿論でございますわ。
さぁ、参りましょう。」
ずっと、応接間でにこやかに座っていた母が立ち上がり、私の部屋へ和宏を連れて入った。
私は一番最後に入った。
「まぁ……素敵だわ。」
「そうでございましょう。お母様。」
「良かったわね。華子さん。」
「はい。」
「和宏さん、娘に素敵な贈り物をして頂き心よりお礼申し上げますわ。」
「そんな………こちらこそ、有難く思っております。
私のような者と華子さんが付き合って下さって………。」
「和宏さんを宅は気に行って居りますのよ。」
「嬉しいです。」
「お父様が? 和宏さんを?」
「そうよ、華子さん。
お父様は和宏さんを今までの貴女のお見合い相手で一番気に入って居られます。
お父様から伺っていなかったの?」
「………はい、初めて聞きました。」
その後、和宏の顔は少し翳りを帯びた。
宅……自分の夫のこと。




