幸代の結婚
和宏とデートを重ねた。
和宏と会うことが増えるようになってから、休日に会う相手が幸代から和宏に変わった。
それも仕方が無い事だった。
幸代の結婚式が執り行われたのだ。
お見合いしてから2ヶ月後には結納が終わり、半年後には挙式が執り行われた。
「デートもあまりしたことが無い。華ちゃんが羨ましい。」と言った幸代は、もう人妻になった。
しかも、彼女は夫の両親と同居だった。
幸代と会うことが出来なくなった。
以前から私は幸代に電話を架けたことが無かった。
幸代が「ごめんね、うちは……本当の両親じゃないから……電話は私から架けるね。」と言っていた。
だから、電話も架けられなかった。
それは、これからも続くのだ。
幸代から「今までのようにしてね。私から電話するから!」と言われたのだ。
幸代の結婚式に参列した私は、親族席に幸代に似た人たちの姿を見つけた。
⦅あの幸代にそっくりな女性が幸代の実母だと思う、そして、その隣の男性が幸代の実父ではないのかしら……。⦆と私は思った。
幸代の花嫁姿は美しかった。
隣の新郎との年齢差が大きい。
幸代は10歳年上の男性の妻になった。
私は年齢差が幸代夫婦よりも小さい和宏との見合いは良い方だったと実感した。
私は花嫁姿の幸代に「幸せになって!」と言った。
涙でそれ以上は言葉が出なかった。
幸代は「ありがとう!」と言ってくれた。
私は誰よりも幸代に幸せになって欲しいと切に願い祈った。
◇◇◇◇
兄にも両親にも幸代のことを話さなかったのに、何故だか和宏には話した。
何故だか全く分からないが、和宏と話していて、いつの間にか幸代の話をしていた。
そっと和宏がハンカチを私の目の前に差し出していた。
私は泣いていたようだった。
「僕は、華子さんのお友達は幸せになられると思います。」
「…………なって欲しいです。」
「華子さん……僕も祈ります。」
「ありがとうございます。」
差し出された和宏のハンカチが私の頬の涙を拭った。
和宏が拭ってくれていた。
「あ! 済みません!
僕……本当に済みません。」
和宏は耳まで真っ赤にしながら、私の頬の涙を拭ったことを謝罪した。
「拭って良いかどうか。」を聞かずして勝手に拭ったことを謝罪したのだ。
⦅和宏との時間は、私にとって大切な時間と思えるようになるのかもしれない。
何時の日にか、そうなれば良いのかもしれない。⦆
私は、そう思った。




