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男たち 女たち  作者: yukko
華子
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14/47

初デート

和宏との待ち合わせは、華子の自宅からの最寄り駅だった。

駅のロータリーで待っていると、通り過ぎる人々の様子が目に入る。

待ち合わせをしているらしい男女の姿も目に入った。

相手を見つけると目が綺麗に輝いている。

恋をすることの美しさを見ているような気分だった。

10分前に着いたので、早過ぎて待ち草臥れるだろうと私は思った。

それは、長い長い時間だった。

10分待てば待ち合わせの時間。

その10分を過ぎても和宏の姿は見えない。

次第に私は不安になった。


⦅今日では無かったのかしら?

 それとも、時間が違ったのかしら?

 ………!………待ち合わせ場所を間違ったのかしら?⦆


私は不安が募り、駅にある掲示板を見に行った。

掲示板の中に和宏の名前があるかどうかを見る為に掲示板の前に行った。


【正雄へ 時間が迫っている。先に行く。現地で落ち合おう。康彦】

【あっちゃん 店で待ってるよ。来てね。ひろ他5名】


色々書かれているが、矢沢和宏の名前は無かった。

私は掲示板に書き込もうかと思い、チョークを手にした。

その時、後ろから声がした。


「華子さん!」


振り返ると、そこに和宏が居た。

走って来たのだろうか……和宏は息を切らしていた。


「済みません。僕が待ち合わせの場所を間違いました。」

「いいえ……気になさらないで下さい。

 あの、どの辺りでお待ちになられましたの?」

「えっと……北出口の前にあるオブジェの所です。」

「え………私も、そちらでお待ちしておりました。」

「あれっ? 同じ場所で? どうして会えなかったんだろう?」

「本当ですね。どうしてなんでしょう?」


待ち合わせた場所へ二人で行くと、和宏はオブジェの北側で待ち、私はオブジェの南側で待っていたことが分かった。

お互いにその場所で動かずに待っていたので、二人ともオブジェを背に会えなかったのだ。

巨大なオブジェがお互いの姿を隠したのだ。

和宏と二人で顔を見合わせて笑った。


「本当に済みません。

 少し考えれば……一周して探したら、お会い出来たのに……。

 僕が気付かなかったせいで本当に済みません。」

「いいえ、それは私も同じでございますから……どうかお気になさらずに。」

「お優しいのですね。華子さんは………。」

「そんなこと……ありません。

 私は我儘で………。」

「華子さん、次に待ち合わせる時は、ここで待ち合わせましょう。」

「そうでございますね。」

「僕は改札に行けばお会い出来ると思って改札へ向かったんです。

 すると、掲示板の前で華子さんをお見掛けしました。

 ラッキーでした!」

「私は、矢沢さんが何か掲示板に書き残されて下さっているように思いました。

 それで、掲示板に向かいました。

 もう少しで書き込む所でございました。」

「華子さんが! 僕宛てにですか?」

「ええ、矢沢さんにお待ちしている場所をお伝えしたくて……。」

「うわ~~っ! それは残念です。」

「えっ?」

「見たかったです。華子さんの僕への伝言! 残念だぁ―――っ!」


和宏と二人で山口百恵と三浦友和の映画『炎の舞』を見た。

和宏も私も特に見たい映画は無く、たまたま直ぐに見られる映画が『炎の舞』という邦画だった。

映画を見た後、昼食を食べた。

それから後は、和宏は「これから夕食まで御一緒出来ますか?」と聞いてくれた。

私は「私で宜しければ……。」と和宏の申し出を受けた。

昼食後に二人で向かった先は、井の頭自然文化園。

あの象のはな子が居る文化園だ。

1954年、上野動物園からアジアゾウ「はな子」が井の頭自然文化園に移って来ていた。

ただ、和宏も華子も幼い子どもではない。

「はな子」は戦後に「戦争で傷ついた子ども達を癒すために」贈られたということくらいしか知らなかったし、興味も無かった。

和宏はただ、私と一緒に居たかっただけだった。

私は「デート」をしたことが無かったので、してみたかったのが本音だった。

和宏の「華子と一緒に居たかっただけだったんだ。」という気持ちを、付き合って随分経ち私は和宏から聞いた。

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