二組の恋人たちの未来①
前の人生で私は友達が居なかったから、【友達と映画を見に行く】ことも、【友達と遊園地へ行く】ことも、【友達と買い物に行く】ことも経験しなかった。
それが、この時を遡った人生では高校生で経験した。
雄一への想いは捨て去ることが出来なかったが、私は楽しい時間を過ごせた。
そんな日が続いていた。
そして、あの日を迎えた。
この人生でも私は雄一への婚約のお祝いの品を用意した。
⦅絶対に雄一さんと愛子さんを引き裂くようなことはしません。⦆と決めて、その日を迎えた。
私は兄に我儘を言うことなく、兄の新車で出て行った雄一を見送った。
「行ってらっしゃい。」と笑顔で見送った。
幸いにして事故など起きず、兄は無事に夜遅く帰って来た。
「ただいま帰りました。」
「遅かったのですね。」
「済みません。彼女を送って行きましたので……。」
「彼女と呼べる女性が君に居るのかい?」
「はい、お父さん。僕にもお付き合いしている方がおります。」
「まぁ……そうなのですか?」
「一度、連れて来なさい。」
「はい、プロポーズを受けてくれましたなら……。」
「彼女?………プロポーズ?」
「華子はショックかな?」
「本当ですの? お兄様。」
「ははは………華子は氏郷が大好きだからね。
幼い頃から氏郷の後ろをチョコチョコと追いかけて愛らしかった。」
「華子、僕も結婚を考えているんだ。
今日はね、雄一と婚約者の愛子さんに僕の彼女と会って貰ったんだ。」
「今日? 4人で会ったの?」⦅前の人生と違うわ。⦆
「そうだよ。」
「雄一君に会わせたのなら、そろそろ親にも会わせてくれる予定だな。」
「まぁ……氏郷さんが自分で結婚相手を見つけられるとは……。」
「お母さん……いけませんか?」
「いいえ、いいえ、良かったですわ。」
「お兄様………どんな方ですの?」⦅前の人生では恋愛結婚じゃなかった。⦆
「見るかい?」
「お写真がありますの?」
「あるよ。持ってくるね。」
兄が自室から持って来た写真を見て私は驚いた。
前の人生での兄の結婚相手と違う女性だった。
あの時、30歳を過ぎた兄が私に「雄一に華子との結婚を無理強いした高嶋家に跡継ぎなど要らない。だから、僕は結婚したくない。だけど、結婚を両親が求めた。無理強いされた結婚だ。幸せではない。」と言った。
兄は幸せな結婚ではなかった。
兄から初めて愛する女性の写真を見せて貰ったその時、私は私の行動で雄一と愛子二人の将来を壊してしまっただけではなく、兄の人生も、兄の愛する女性の人生も壊してしまったのだと知った。




