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第77話 マギーの追撃

館は炎に包まれていた。

そして、遠くの空に、館を焼いた竜の魔獣達が遠ざかって行くのが見えた。


「アリッサ、ここよ」


燃え盛る館の前に、シンディとメイトリックス、そしてパカラの姿があった。

シンディが手を振って合図を送っている。


クリツァは、彼らを目指してゆっくりと降り立った。


シンディの白かったドレスは灰色に汚れて、あちこちが破けている。

そして、メイトリックスは、いつもの鎧姿に戻っていた。


アリッサは、クリツァから降りると、すぐに二人の所に駆け寄った。

「ごめんね。私がエリザベスに騙されてた。引っ越してたなんて嘘だった」


そして、シンディに抱きついた。

「二人とも無事で良かった」


「無事じゃないわよ。大変だったんだから」

シンディがアリッサを抱き返しながら言った。


「館に入るなり兵士たちに囲まれちゃって」

「竜が来なかったら、私たち、あの兵士たちに殺されるか捕まってたわ」


そして、メイトリックスをちらっと見る。

「この人なんて、演技するのも忘れて、修道服を脱ぎ捨てて戦い始めちゃうし」


「ごめんね。やっぱり無理だったね」

アリッサはメイトリックスにも抱き付いた。

「いや、無理じゃないんじゃが、館が明るすぎてな……もう戦うしかなかったんじゃ」

メイトリックスは口ごもりながら言った。


「竜が来るなり兵士たちは逃げ出して、わしらは助かったんじゃ。お前のおかげだよ」

そして、そっとアリッサの頭に手を置く。

「頑張ったみたいじゃな。わしはお前を誇りに思うぞ」

アリッサは照れくさくなって、メイトリックスの鎧を拳で叩いた。

「そっちはどうだったんじゃ」


「残念だが、シンシアには逃げられたよ」

カサノバが悔しそうな声を出す。

「行き先は分からんな」

そして、肩を落とす。


「そんなことないわよ」

マギーがカサノバの声を遮る。

「シンシアの行き先なら分かるわよ」

マギーの得意げな声。

「さっきのシンシアへの攻撃魔法はね、追尾魔法付きだったの」


その言葉に、マギーを除く全員が息を飲んだ。



リヒテンルージュ城。

元ガルバン王国の本城で、エゼルカイン王が討たれた場所。

それがシンシアの行き先だった。


「城ってことは、館よりも大きいの?」

アリッサが不安そうに聞く。

「大きいなんてもんじゃないな。本丸だけで館の十倍以上ある。その上、城下町に囲まれているから、館とは比べ物にならないな」

カサノバが両手を広げながら答える。


「あそこを攻めるのは無理じゃ。守りが堅過ぎる」

メイトリックスが首を振りながら言う。

「敵に気付かれたら、近寄る事さえ難しいじゃろう」

「今回みたいに竜で攻撃したら?」

マギーが口を出す。

「市民もろとも、シンシアも焼き尽くすつもりか?」

カサノバが呆れた声を出す。

そして、アリッサに視線が集まる。

「わ、わたしも良いアイデアはないから……」

そして全員が黙った。


「えーと……」

シンディがおずおずと声を出す。

「城の中に入ることだったら出来るけど」

シンディに視線が集まる。

「抜け道があるのよ」


「抜け道だと?わしは聞いたことがないぞ」

メイトリックスが声を上げる。

「抜け道なんて、俺も知らんな」

カサノバの声。


「そりゃそうよ。王族だけの秘密ですからね」

シンディは気取ったポーズを取る。

「私、一応王女だからね……覚えてた?」


「シャルロット王女様、失礼いたした」

メイトリックスが気まずそうにうつむいた。


「メイトリックス様が少し動揺されているようです」

テンの声が響く。


「止めてよ、冗談よ。王女なんて何にも良いこと無かったしさ。今の方が全然私らしいと思ってる」

シンディが慌てて言った。


「シンディ、抜け道は何処に行けるの?」

アリッサは話を進める。

「どの部屋にも行けるわよ」

と、シンディ。

「マギーちゃん。シンシアは、どの部屋にいるの?」

アリッサはマギーに尋ねる。

「どの部屋って言われても……お城の地図も無いから、大体の場所しか分からないわ」


「城の地図が必要ね……」

アリッサは考え込む。


「城の地図ならあるぞ」

と、カサノバ。

「シンシアのノートに書いてある」

カサノバは続ける。

「それに、シンシアは自分の部屋に居るんじゃないか?元々、住んでたからな」


シンディが頷いた。

「そうね。それから、城の地図なら私の頭にも入ってるわ。私も住んでたしね」


「分かった」

アリッサが全員を見渡した。

「シンシアを奪回する。いいわね」

シンディ、メイトリックス、カサノバ、マギーが力強く頷いた。


そして、アリッサはマギーに顔を向ける。

「マギーちゃん、お願いがあるの。魔法使いを集めてくれる?」

「了解。魔法使い連盟を招集するわ」


マギーの答えにアリッサは戸惑った。

「え?アマンダ達は、もういないんじゃ……」


「私たちの世代で新しく連盟を作ったの」

マギーは得意そうに答える。

「私が二代目の会長よ。お祖母ちゃんの意志を引き継がなきゃ」

そして、マギーは遠くを見つめた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


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もちろん、読んでいただけるだけでも大変励みになります。

それでは、また次話で!

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