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第65話 魔法使い連盟

魔法使いの老婆が一歩前に出た。

「お嬢ちゃん、アリッサとかいったかね。シンディの居場所を教えてくれて助かったよ」

そして高笑いが響いた。


「アリッサ、ごめん。追尾魔法が仕掛けられてて……」

老婆の影からマギーが叫ぶ。

「マギー、黙っておいで。お前が小娘を助けるのはお見通しだったさ」


――私を捕まえて、わざと逃がしたんだ。隠れ家の場所を知るために……

アリッサは唇を噛んだ。

――私は、まんまと罠に引っかかったんだ。

「自分の孫のマギーちゃんまで騙して、卑怯じゃない」

アリッサが言い返す。


シンディがアリッサの肩を掴んだ。

そして、アリッサを自分の後ろに引く。

「魔法使い連盟は何を勘違いしているのよ。私は何もしてないわよ」

シンディが声を張る。

そして、フライパンを左手に持ち替えて、右手に杖を構えた。


そのシンディの前にメイトリックスが剣を構えて踏み出した。

「おぬしら、敵を間違えておるよ。我々の敵は帝国じゃろう」


「だったら、帝国に寝返ったあんたらは…」

若い魔法使いの声。杖を振り上げる。

「敵だ!」

振り下ろした杖の先から赤い火の玉が飛ぶ。

ターゲットはシンディだ。


シンディが杖を降って防御壁を張る。

間に合わない。

フライパンをかざして火の玉を受ける。

ガンッ

勢いでフライパンとシンディが後ろに吹っ飛ぶ。

「シンディ!」

アリッサは倒れたシンディに駆け寄る。

シンディは痛そうに立ち上がる。

「大丈夫よ。今度は負けないから」


メイトリックスが二人の前に飛び出して壁になる。

「シンディが何をやったと言うのじゃ」

メイトリックスの声には怒りがこもっていた。


「その女は帝国の手先になって、都合の悪い者を殺し回っているのさ」

老婆は憎々しげに言った。

「あたしも最初は信じられなかったさ」

老婆が杖を振ると、蜃気楼のような映像が浮かび上がった。

映像の中では、立ち上がる炎の向こうに二人の女、修道女エリザベスと魔法使いがたたずんでいた。雷が鳴り響き、やがて豪雨が降り注いだ、そして、二人が踵を返して立ち去って行く。


「この映像は、殺されたわしの仲間が持っておった」

「この魔法使い、どう見てもシンディじゃろう」


――これって、もしかして……

アリッサはシンディとメイトリックスに顔を向けた。二人とも青ざめた顔をして何も言わない。


「似ているだけじゃない!」

アリッサが叫ぶ。

「シンディだって証拠は、どこにもないわ」

更に声を張り上げる。

老婆と魔法使い連盟の人達が一瞬怯んだ。


「そうよ。シンディがそんなことするわけない!」

マギーが声を重ねて叫び声を上げる。


「私が、あのくそ女と協力してるって?冗談じゃないわよ」

シンディが怒鳴った。

そのまま老婆の前まで歩いて近づく。

「あのエリザベスって女はね。確かに裏切って帝国に寝返ったわよ」

そして、スカートをたくし上げて太股の傷を見せる。

「これ、あの女にやられたのよ。なんで私が一緒に裏切って協力するのよ」


老婆が慌ててシンディのスカートを戻す。

「はしたないから、止めなされ」

シンディはフンと鼻を鳴らして、メイトリックスとアリッサの所に戻って行く。


アリッサのスマートウォッチが振動した。

『アリッサ様、ちょっとお話がございます』

テンがいきなり話しかけて来た。

「何よ、こんな時に」

『あの映像ですが、ゲリラ豪雨のあった日のものでございますよね』

「そうみたいね」

アリッサは映像に雷と豪雨が記録されているのを思い出しながら言った。

『記録がございます。再生します』


大音量で音声が流れた。


〈ガラガラガラ〉

〈もうやんなっちゃうわね。雨が降りそうだわ〉


――シンディの声だ。雷が鳴ってる?


〈あーやっぱり降ってきた〉

〈すごい雨〉

〈ザーッ〉

〈こういう雨の中で出合いとかあると結ばれちゃうのよね。びしょ濡れのいい男とか訪ねてこないかしら〉


「テン!止めて!」

シンディの悲鳴が上がる。


『シンディ様はゲリラ豪雨の日に隠れ家におりました。この音声が証拠でございます』

自慢げなテンの声が響いた。


「テン……プライバシーって言葉、知ってる?」

アリッサが呆れた声を出した。


「あたしらは間違っているのかもしれんな」

老婆と魔法使いたちが、杖の構えを解いてうなだれた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


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もちろん、読んでいただけるだけでも大変励みになります。

それでは、また次話で!

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