第32話 再び砦へ
兵士たちに捕まるのは、
思ったより簡単だった。
アリッサは、
来た道を引き返し、
酒場の方へ向かった。
ほどなくして、
さっきの兵士たちが歩いてくる。
アリッサは、
彼らが気づくのを待ち、
あまり不自然にならないよう、
逃げるふりをした。
「いたぞ!」
追いかけられ、
あっさり捕まった。
兵士たちは、
目に見えて浮かれている。
「ついてるな」
「まさか、こんな所で」
アリッサは、
心の中でそっと呟いた。
――そんな偶然、
あるわけないでしょ。
手を縛られ、
馬車の荷台に載せられる。
揺れが始まった。
――これで、
砦に運ばれる。
檻に入れられるだろう。
でも。
アリッサは、
そっと目を閉じた。
――そこまでは、
想定通りだ。
馬車が動き出してからも、
兵士たちは口々に、
自分たちの活躍ぶりを
誇らしげに語り合っていた。
「これで、
賞金は
俺たちの物だな」
「提督にも、
褒めてもらえるかもな」
兵士たちは、
すっかり浮かれている。
「そういえば……」
一人が、
ふと思い出したように言った。
「男女の
二人組の話、
聞いたか?」
「ああ」
「この小娘のことを、
あちこち
嗅ぎ回って
いたらしい」
「おおかた、
賞金稼ぎだろうよ」
「出し抜かれなくて、
良かったな」
豪快な笑い声。
――男女の、
二人組?
まさか、ね。
アリッサは、
それ以上考えるのをやめた。
体力を、
少しでも残しておくために。
――少し、
眠っておこう。
そう思い、
目を閉じた。




