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神の声は聴こえない! ポンコツ巫女の私がこの手でひらく未来は   作者: 松ノ木るな
第ニ章 あなたの隣で生きたい

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② レッツ・大冒険!(小旅行)

「必ずナツヒを隣に置いて行動してください。片時も離れないように」

「……は、はいっ!」

 ユウナギの顔が一気に明るくなった。


「本来なら王女の外出などありえたとして、侍女も兵も何十人と召し連れるもの。しかし、今回のことは明るみにしたくない、私の我がままです」


 彼の胸中にもいろいろと複雑なものがあるようだ。


「国の中なら概ね平穏です。行商人が常に行き来している道程ですし。それでも無謀なことは絶対にしないでください。今回の旅の刻限は6日後の夜です」


 ユウナギは早速緊張してきたのか、ぐっと息を飲み込んだ。6日間王女の不在をごまかす彼の心労はいかばかりか。


「行商人の(むら)まで馬車で2日かかります、現地ではそう余裕もない。目当ての人物と必ず会えるとも限らない。いいですね」


 そして途中の邑では親族のところで一泊できるよう、すぐ通知すると話した。


「もう一度、いちばん大事なことです。あなたに万一のことがあれば、ここ中央は混乱に陥る。私はもちろん、ナツヒも責任を問われます。どういうことになるか想像できますね」


「…………」


 一瞬言葉を失ったが、真剣な顔で頷くユウナギであった。


 何かあったら自分ではなく、自分の大切な人の責になってしまう。その不安は帰宅するまで付きまとうのだろう。


 しかし、初めて外の世界に出られるのだ。


 ユウナギは(はや)る心を抑えきれずにいた。



**


「はぁ……」

 中央を出てからそれほどたってはいないが、もう飽きたのか、自分の馬で飛ばしたい……とフテくされ馬車に揺られる護衛兵・ナツヒ。車酔いで心が折れそうなユウナギの隣にて、無言を貫いている。彼女だって話しかけてほしくはないだろう。


 中間の(むら)で一泊、翌朝も早くに出発し、やはり無言のまま、目的の邑に着いた頃は夕暮れ時。


 急いで(くだん)の商人を探したら、運良く知る人に案内してもらえた。そして無事商人と対面し、そこで泊まらせてもらうことになったのである。


 夜、魔術師について聞いてみた。どのような人物なのか。


「ああ、もともと彼はこの集落で、薬師として暮らしていたのだけどね」


 どうやら、製薬や実験の際に爆発が起きたり異臭を放ったりすることがあり、気味悪がる者も現れ、そうした住民との折り合いがつかなくなった。

 ゆえにもう何年も山に籠って自適の暮らしぶりというわけだ。


「懇意にしているから庇うのもあるけど。本人はいたって気のいい真面目な男だよ。悪意のない訪問者を無下に扱うことはしないだろう」


 こう聞いたユウナギは安堵した。


 2日の時を窮屈な移動だけで費やしたので、山道を歩くのを楽しみに眠りについた。



 朝、山のふもとで商人に礼を言い別れてから、荷台がやっと通るくらいの道を歩き早5刻。


 山奥に建つにしては立派な竪穴建物が、進行方向の先に見えた。走って近寄ると、その家屋の奥には倉庫とみられる小屋が2軒ある。


「きっとここだ、魔術師の居場所は……」


 ユウナギは息を吸い込み、できる限りの大声を上げた。


「すいませ――ん。誰かいますか――?」


「ほ――い。誰かいま――す」


「おおっ。声が返ってきた!」

「おい」

 うきうきして前に出ていくユウナギを、ナツヒはさっと自分の後ろに回す。


「「!」」


 戸からのそっと出てきた男。それは、ずいぶんと背の高い、驚くべき容貌の者だった。


 なんと形容すればいいのだろう。ひとたび鬼かと思ったが、恐ろしい印象ではない。非常に彫りの深い目鼻立ちだ。

 目の色も、それは灰色だろうか、黄だろうか。明らかにこの国で生まれた民とは違う彼の面構えに、ふたりそろって面食らう。


「何か用か?」


 その風貌に釘付けになっていたユウナギは我に返った。


「あ、あの、ふもとで商人から聞いて来ました……私は“ナギ”と言います。こっちはお供のナツヒ」

 名前をそのまま明かすなとトバリに言われてきたので、単純に略した。


「ふしぎな……珍しい薬があるって聞いて。譲っていただけないかしら」


「とりあえず、こちらへどうぞ。山道でくたびれただろう?」


 商人のことを話したおかげか、特に警戒されず中に招かれた。


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しっかり改稿してとても読みやすくなっております。ぜひこちらでもお楽しみいただけましたら嬉しいです。.ꕤ
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