第6話 新訳続竹取物語
時間になるとブザーが鳴る。
ブザーの音とともに会場が静かになる。
客席のスマホの明かりもすべて消えた。
こうして経徳寺高校演劇部の第三回公演が始まったのである。
ナレ「竹取物語。かぐや姫はおじいさまたちが見守る中、使いの者と月に帰って行った。のだが、その時月食が起こり、使者が道に迷ってしまった。空中でしばらく過ごすことになった」
「こちら地球へ向かった使者です。かぐや姫をお迎えに行ったのですが帰り道に迷ってしまいました」と使者役の康太。
「こちら月管制局。時間までに戻って来ないのであれば、再び手続きが必要になります」
客席から笑い声がする。
「どうすればよいのでしょう」と使者。
「もう1度最初から、提出書類を作成して下さい。こちらでは書類がないと受け入れることはできません」と月管制局。
「かぐや姫どうしましょう」と使者。
「私、おじいさまたちのところに戻りたいです」とかぐや姫役のまひなが言う。
ナレ「かぐや姫たち一行は地上に戻ることになった。地上に戻ると役人が待ち構えていた」
「え~あなた地上の戸籍ないですよね?家系図でもいいので提出をして下さい」と役人役の杏奈。
客席から「え~」という驚きの声が上がった。
「私は月から来た者です。そういったものはございません」とかぐや姫。
「ではこちらに住むのは無理ですね」と役人。
「ではどうしたらよいでしょうか」とかぐや姫。
「あの山の向こうなら我々の管轄外ですので、そちらに行って下さい」
ナレ「こうして山の向こうに向かったかぐや姫一行。そこには小さな村があった」
「しばらくここで暮らしましょう」とかぐや姫。
ナレ「しかしかぐや姫たちには地上のお金がなかった。そこで……」
「え~。月の土地売ります。特別に安くしておきますよ」とかぐや姫。
客席から大きな笑い声がした。
ナレ「そこへ、かつてかぐや姫に求婚した5人のうちの1人が現れた」
「月の土地買います」と求婚者役の黒逸。
「やったあ。お安くしときます」とかぐや姫。
ナレ「こうしてお金も手に入り、提出書類も書き終えた後、再びおじいさんたちに会ってから月に帰って行った。月に戻ると、地上の外貨だ。よくやったと迎えられた」
「あと4人は買ってくれる人知っていますよ。ふふふ」とかぐや姫。
ナレ「こうして月と地球を結ぶ商人となったのでした。おしまい」
客席からは拍手とともに「お~」という声も聞こえた。
この反応に京志郎は少しホッとした。
ナレ「かぐや姫役、まひな。役人役、杏奈。使者役、康太。求婚者役、黒逸でした」
みんなが紹介されるとお辞儀をする。
客席から、再び大きな拍手が起こり幕が閉じる。
こうして第三回公演が終わったのである。




