第5話 第二回公演を終えて
幕が下りると杏奈と康太が舞台袖に戻って来た。
前回のような明るさはない。
2人に対して京志郎が謝る。
「ごめん。脚本が悪かった」
「それをいうなら、オッケイを出した僕もだ」と僕も謝る。
杏奈と康太は「こういう時もあるよ」と笑ってくれた。
毎回成功するとは限らないのだ。
月曜日は、前回とは違い反省会となった。
「1回目と何が違うんだろう」と黒逸。
「途中までは笑いを取れてたと思うんだ」と康太。
「私はオチが弱いと思った」と杏奈。
「例えば喋れる鶴としてテレビで売れっ子になったとか。最後はツルっと滑った。鶴だけにとか」とまひな。
まさかまひなからオチの提案があり、一同は驚いた。
僕もかなり驚いたが、京志郎はさらに驚いていた。
そして「そっちのオチの方が良かった」と悔しがる。
僕は「脚本はこれまで通り京志郎が書く。ただ、みんなの意見も良ければ取り入れよう。それでどうだ」と京志郎を見た。
京志郎は、うなだれたまま頷く。
翌日、京志郎が第三回の案を言ってきた。
次は今までとは少し趣向を変えると言う。
「今までは昔話のアレンジだったけど、今度は続編にする」と京志郎。
「続編って?」と黒逸。
「完成された作品のその後の話だ」と僕が言う。
京志郎が頷き「次は前回の様にはならないようにする」と言う。
翌水曜日、脚本は完成した。
みんなで脚本に目を通す。
今回は役者4人に出番がある。
夏休み直前、1学期最後の公演だ。
みんな成功させたいと思っていた。
僕は嬉しくなった。
特にこの部活に嫌々入った黒逸がやる気になっているのが嬉しい。
今回は前回と違って、4人が台本読みや立稽古をしながら、道具や衣装作りもする。
さらに期末考査もある。
しかしみんな頑張っている。
たぶん1回目の公演の大成功がよほど頭に残っているのだろう。
期末考査がある分練習量は正直少ない。
でもみんな頑張って手応えをつかんできている。
今回の肝である、まひなが特に頑張っているのが嬉しい。
そして期末考査が終わり、第三回公演が近づいた。
今度は失敗できない。いや、成功するんだと、みんなの気持ちが伝わってくる。
康太の宣伝のおかげで、お客さんもかなり来てくれそうだ。
こうして第三回公演が始まった。




