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第11話 文化祭(オリジナル脚本)

時間になるとブザーが鳴る。


いつもと違い、他校の生徒や一般客もいて、客席は満席に近い。


ブザーの音とともに会場が静かになる。


こうして経徳寺高校演劇部の文化祭が始まったのである。



ナレ「ここ経徳寺高校演劇部で極悪事件が起こった。なんと稽古後に食べようとしたあんパンがなくなっていたのである」


今回はいつもの影ナレではなく、僕は舞台の端でナレーションをしている。


照明は文化祭の手伝い係に頼んだのだ。


「ふははははは。誰のか知らないが、犯人はこの杏奈だ。大食いの私がお腹が空いていたんでつい食べてしまったのだ。って私が大食いってばらすな」


客席から笑い声がする。


「では、ことの成り行きを見守ろうじゃないか」と杏奈は言った。


ナレ「みんなが稽古を終えて部室に戻ってきた」


「あ~なんかお腹空いたな」と康太。


「稽古後は小腹空きますよね」とさおり。


「それわかる」と信也。


「私もわかります」とまひな。


「あんパンとか食べたくなるね」と黒逸。


「来た。来ましたよ、みなさん。誰かが自分のあんパンがないって言うはずです」と杏奈。


(あめ)ならあるよ」とまひな。


「もらおうかな。ないよりましだ」と康太。


「私にも下さい」とさおり。


「なんで誰もあんパンにふれないんだ。こうなったら、あの~さっきテーブルの上にあんパンをみたような」と杏奈


「そういや見たな」と康太。


「いいですよね。あんパン。疲れた時は糖分が欲しくなります」とさおり。


「あんパンが生まれたの明治時代って知ってた?」と信也。


「まじかすげー」と黒逸。


「みなさんは粒あん派?こしあん派?」とさおり。


「粒に決まっているでしょ。食感がいいんじゃん」と康太。


「こしあんの滑らかな上品さがいいのです」と信也。


「しろあん派って少数派なんだ」まひな。


「しろあんもいいじゃん」と黒逸。


「なんであんこの話になっているの。誰かの分がなくなったのよ。なんで誰もそこを言わないの?」と杏奈。


ナレ「それからもあんこの話は続いた。ちなみに僕はあんドーナツ派です」


客席から笑い声がする。


「じゃあそろそろ今日の稽古の反省会でもしようか」と康太。


「そうだね。今日は噛みまくりだったよ。やっぱ俺役者向いていないんじゃ」と黒逸。


「私はちょっとアピール不足かも」とまひな。


「みんな待って。あんパンからどんどん離れていく。もう我慢できない。あの!」と杏奈


「どうした?」康太。


「犯人は私です」


「なんの話だ?」と黒逸。


「そこにあったあんパンを食べたのは」と杏奈。


ナレ「みんなの視線が杏奈に集まった」


「杏奈、あれ1人1個食べて良かったんだよ」とまひな。


ナレ「ちなみに、あんパンは人数分用意されていました」


「ええ~。なんだったの私の罪悪感返して~」と杏奈。


ナレ「こうして事件は解決……していません。僕、あんパン食べていません。誰だ僕の分を食べたのは!」


「おしまい」とまひな。


会場から拍手とどよめきが起こる。


「面白かったね」


「2段落ちかよ」


「ナレーションさんかわいそう」


と言った声が聞こえる。


京志郎はこの反応を見てやったと思った。


初のオリジナルで良い反応だったからだ。


ナレ「出演は経徳寺高校演劇部でした」


みんなでお辞儀をして幕が閉じた。


こうして文化祭の公演が終わったのである。

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