霧島レナ7
「私を……弟子にして!」
突然の言葉に俺は思わずハァ!?と声を上げた。
弟子?霧島レナが?俺の?
なに言ってんだ、コイツ!?
「私……ようやく強くなれるってわかった。それがとても嬉しくて、なら強くなりたいと思った!」
「だからってなんで俺の弟子になるんだよ。他にもいるだろう、適任者」
「夜一くんなら最短で効率的な鍛錬方法を知っていると思ったから」
「それは……そうだけど」
確かに俺は魔力放出体質持ちの魔法士の育成方法を俺は知っている。
何度もプレイしたから効率的な方法を知っているけど、それを霧島レナに教えるのは―――、
「夜一くん」
俺が困っていると、霧島レナの両親が近づいてきた。
ナイスタイミング!
「ちょうどよかった、娘さんをなんとかして―――」
「私達からも……よろしくお願いします」
二人は俺に向かって土下座をした。
あんたらもかよ!
「ちょ、やめてくださいよ!」
「娘は強い魔法士になるのが夢だったが、私達は諦めさせることしかできなかった。だけどその夢が叶えられると分かった以上……全力で応援してやりたい」
「いや、でも……」
「頼む。礼はする。だからどうか……娘が強くなる方法を教えてやってほしい」
「ぐっ……」
なんでここまでするんだよ。
断りずらいじゃん。
でもだからって強力な中ボスキャラであるレナを、ただの不良キャラである俺の弟子にするって。
いや……ちょっと待てよ。アリかもしれない。
レナをめちゃくちゃ強くし、目立たさせれば俺の存在なんて忘れ去られるのでは?
レナを弟子にする代わりに、霧島家には俺に協力してもらうよう約束してもらえれば?
「いいでしょう。霧島レナは俺が強くします」
「本当か!?」
「ただし、条件があります」
「……条件は?」
「俺に色々と協力してもらいます」
「具体的には?」
レナの父の問いに、俺は一つ一つ答える。
「一つはガントレットに改造した無属性特化の杖を二本が欲しい。できるだけいいやつを」
杖。それは魔法士の能力を上げてくれる武器。
魔法の発動速度を速くしたり、魔法の性能を上げてくれたりなどしてくれる。
因みに杖は剣や銃などの形を変えることが可能。
ただ杖は杖であるべきという常識があるため、形を変えようとする者はごく稀である。
「わかった。すぐに用意しよう」
「二つ目。スライムを用意してほしいです」
スライム。
ファンタジーゲームでは雑魚キャラだが、この世界では違う。
相手の力量によって形や能力を変え、戦う戦闘訓練生物型魔道具。
だが性能がすごいため高級品。
普通の人には用意できないが、元とはいえ魔法士の名家だった霧島家なら。
「難しいが……用意することを約束する」
よし、やった!
心の中で俺はガッツポーズをとる。
「三つ目は魔法士協会にとって俺はどんな評価をされているか教えてほしいのです」
「それは……」
「俺は魔法士なんてならないし、なりたくもない。別に俺が魔法士にならないように協力しろとは言いません。ただせめてどんな評価なのか教えてください」
そう。俺が一番知りたいのは、不乱夜一が魔法士協会にとってどういう存在かだ。
少なくとも霧島家を使って、俺を魔法士にさせようとさせるぐらいは気に入っている。
だからこそもっと詳しい情報が必要だ。
「……わかった。あとで教えよう」
「ありがとうございます。では最後にもう一つ。霧島レナを魔法士大会に参加させてください。大きいやつから小さいやつまで」
この世界では魔法士の大会が多く開催される。
大人用と子供用に分かれているが、地区大会から世界大会まで存在しているのだ。
子供用大会では多くの魔法士の者達が見に来る。
理由は優秀な人材を見つけるためだ。
優秀な子供達を魔法士育成学園に入学させ、卒業したら自分達の部隊に入隊させる。
分かりやすく言うとスカウトだ。
スカウトされた子供は学費が免除されたり、将来高い地位の魔法士になれたりなどのメリットが与えられる。
「とにかく色々な大会で勝ち続けさせたください。彼女が目立てば、俺のことも忘れるでしょう」
霧島レナがとにかく大会で優勝しまくれば、俺は目立たない。
彼女が活躍すればするほど、自分のことは忘れられるということ。
そして俺は農家スローライフを送れる。
「わかったやるよ。色んな大会に出て、勝つよ!」
そう言ったのは霧島レナだった。
彼女は希望を見つけた者の目をしており、とてもいい顔をしている。
「契約成立だな。よろしく、霧島レナ」
「うん!よろしく」
俺が差し出した手を霧島レナは強く握った。




