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情報

「じゃあ……とりあえず今の夜一くんが魔法士協会にとってどういう存在か教える」


 霧島家の茶の間にやってきた俺は、霧島レナの両親から話を聞く。

 魔法士協会から見た俺の情報を。


「まず先に言っておくけど、魔法士協会は才能がある子や優秀な子を逃がさない」

「はい……それはわかっています」


 霧島レナの父の言葉に、俺は頷く。

 彼が言っていることは理解できる。

 この世界—――『女神使いの復讐者』は、人が生きていくにはハードすぎるのだ。

 世界の半分は魔霊によって支配されている。

 しかも強力な中ボス、ラスボスが複数に存在している。

 僅かなミスでこの世界は滅びるだろう。

 それに気づいているから魔法士協会は力ある者を集め、育て、戦わせている。


「魔法士協会にとって今の君は……なにがなんでも欲しい子供と言ってところ」

「なにがなんでも……ですか」


 俺は用意されたお茶にフーフーと息を吹いて冷まし、ズズズと飲む。

 あ、この茶……すっごいおいしい。心が落ち着く。


「ダンジョンをいくつも攻略。子供でありながら魔霊討伐。そして未知の魔法を発動。特に魔霊討伐が大きいと思う」

「ああ、やっぱりですか」


 俺は右手で顔を覆い、深いため息を吐く。

 霧島レナの父の言葉を聞いて、俺は心から納得した。


「魔霊や聖霊にはLVが存在し、1から5まである。そこまでいいね?」

「はい」

「LV1は一般人でもなんとかできる強さ。LV2は鍛えられた魔法士じゃないとなんとかできない強さ。LV3はプロの魔法士が十人から三十人いないと対処ができない強さ。LV4は一流の魔法士が五百人いても対処ができない強さ。そして……」

「LV5は国を滅ぼす、もしくは支配することができるくらいの強さ……ですよね」

「そういうこと」


 真剣な表情で霧島レナの父は力強く頷く。


「LV2の魔霊であるワイバーン十五体を、君は一人で倒したんだ。契約している聖霊がLV1だというのに」

「……」

「そんなこと……普通はありえない」


 霧島レナの父の言葉は正しい。

 まだ子供で、しかもまだLV1の聖霊で俺はLV2の魔霊十五体を倒した。

 ありえないことだ。

 そんなありえないことを可能にした俺は、魔法士協会は戦力となると思ったんだろう。


「魔法士協会は君をうまく育てればLV3の魔霊を単独で倒せると思っている」

「LV3の魔霊の単独討伐……ですか」


 俺は顎に手を当てて、深く考える。

 魔法士協会は予想以上に俺のことを高く評価しているみたいだな。

 LV3の魔霊は大きな街を簡単に滅ぼすぐらいの強さを持つ。

 全ての魔霊の弱点や攻撃パターンを知っている俺でも、今の状態じゃあ倒せない。

 それぐらいLV3の魔霊は化物なのだ。


「過大評価ですね」

「私はそう思わない。いやむしろ……君なら最低でもLV4の魔霊を倒せるんじゃないか?」

「……今の俺では不可能です」


 目を細めて射貫くように見てくる霧島レナの父。

 俺は茶を飲みながら肩をすくめた。


「つまり……今より強くなった君ならできると?」

「……」


 俺はなにも喋らず、ただ静かにお茶を飲む。

 彼が言っていることは間違いじゃない。

 ゲーム知識をフル活用し、強くなった俺ならLV5の魔霊は倒せる。

 だけど……それは俺の役目じゃない。


「俺は農家の子供。土を触り、野菜や果実を育てるのが好きな男の子。それが真実であり、魔法士になれる少年ではありません」

「……そうか。わかった」

「情報をありがとうございます。さて、霧島レナ」


 俺はなぜか自分の隣にいる少女—――霧島レナに視線を向ける。


「今から特訓をする。いいね?」

「うん。もちろん!」


 霧島レナはコクリと頷いた。

 彼女の目にはやる気が満ちている。


「さて……今の君がやる特訓は……これだ」


 俺はスキル〈収納空間〉を発動し、黒い穴を出現させる。

 その穴から何冊の古代魔導書を取り出し、テーブルの上に置く。


「今から魔法を習得してもらう」

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