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最高位邪神と転生眷属のわちゃわちゃはちゃめちゃ救世記  作者: 木に生る猫
神の世界

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想定外の意気投合

 ガルフィールドの鋭い視線に、ユリは無意識の内に姿勢を正した。

 流石は元最高位の神である。

 それ相応の威厳や覇気が、ガルフィールドからは溢れていた。


 だが、ヴェルディーゼはそれらを一切気にすることなく、むしろ足を組んで偉そうにしながら、ガルフィールドと問い掛けに答える。


「ユリと結婚式挙げたいんだけど、仕事が邪魔で邪魔で……鬱陶しくて仕方なくてね。しばらく代理としてやっておいてくれない?」

「……お前ってやつは、俺様をなんだと思ってンだ? 構やしねェが、相応の報酬があるんだろうな?」

「えー、面倒だな……結婚式参列する? ほら、いつもお節介焼いてくるし、そういうの好きなんでしょ」

「お前はともかく、嬢ちゃんは俺様に来られても萎縮するだけだろうが。結婚するんならその辺考えなくてどうする? ……嬢ちゃん、本当にコイツでいいのか?」


 ヴェルディーゼを指差しながらガルフィールドが訊ねると、ユリは目を瞬かせた。

 そして、小さく笑うと、ヴェルディーゼを見ながら頷く。


「ご心配ありがとうございます。大丈夫です、これでもちゃんと愛してくれていますから。ねっ、主様?」

「愛してるけど……これでもって何? 含みあるよね」

「そりゃありますよ、主様の良いところも悪いところもたくさん知ってるんですから。……コホン、報酬についてですが……あはは、結婚式の参列については、辞退してくださると……嬉しいです……主様のことですから、結婚式に男性がいることも許してくれるかどうか……ええと、そうですね。私の一存では決められませんが、提案いたします。もしご興味があるのであれば……最高位の座を賭けて、勝負などいかがですか?」

「……私欲だ……」


 じとりとしたヴェルディーゼの視線を無視して、ユリはガルフィールドを見た。

 ガルフィールドは見定めるようにジッとユリのことを見つめると、そっと唇を舐める。


「……大胆な提案をしやがる、気に入った。だが……俺様は、この隠居生活を存分に楽しんでるんでな、それに関しちゃお断りだ。代わりってわけじゃあないが、報酬をくれる気ならこっちから要求させてくれや。なぁ、いいだろ?」

「さて、内容によるね。何?」

「この菓子、嬢ちゃんが作ったんだろ? レシピを教えてくれ、再現してみたいんだ」


 ガルフィールドの言葉に、ユリは答える前にちらりとキッチンの方を見た。

 そこには、オーブンや秤など、お菓子作りに欠かせないものたちが置いてある。

 あの様子なら、見える場所に置いていないだけで他の道具もたくさんありそうだ。


「あの、ガルフィールド様。もしかして……お菓子作り、経験がおありですか?」

「おうよ。折角の隠居生活だからな、したことの無かったことに挑戦してたんだが……すっかりハマっちまってな! 今じゃ立派な趣味ってわけだ」

「良いご趣味をお持ちで!! え〜、わ〜どうしよ、どれ知りたいですか!? 簡単なものならこれとか……個人的に作ってて楽しいのはこっちですね〜〜。味の好みに合わせても――」


 ギリ、と小さく音がして、ユリは目を丸くした。

 そして、ガルフィールドばかりに注いでいた意識をヴェルディーゼへと向けてみると、ヴェルディーゼが歯ぎしりをする姿が見える。

 ヴェルディーゼはユリの視線に気付いてもいないのか、舌打ちをして呟く。


「チッ……意気投合なんてしない計算だったのに、ユリと同じ趣味なんか持ちやがって……!!」

「……主様、顔、顔……怖いですから、機嫌直して〜……主様の気持ちはわかってますから、距離感には気を付けます。仲間として、レシピを教えるくらいは……」

「僕も作る。僕もユリと同じ趣味持つから、教えて」

「……主様はお料理できない方がおいしいのでダメで〜す。私の我儘聞いてくれますよね、主様っ♡」


 ユリが猫撫で声でヴェルディーゼに甘えると、ヴェルディーゼは苦々しい顔をして頷いた。

 気に食わないが、ユリの我儘を聞いてあげたい気持ちが勝ったらしい。

 ユリはちろ、と唇を舐め、ヴェルディーゼの頬に自分の頬を擦り付けた。


「よしっ。これで主様に文句は言われませんね、今からレシピを書き出しますから、ちょっと待ってください……紙とペンってあります?」

「あー、適性が極端な奴ァ大変だなぁ。ほら、これで大丈夫か?」

「まさかのガラスペン……可愛い……ふふ、もちろん大丈夫です。インクは……もう付いてるんですね。えーっと、じゃあ……」

「ユリ、僕もそういうの作れるよ。たくさん作れるよ。ユリ好みのやつ作れるよ。ねぇ」

「黙っててくださいね」


 ぐいぐいと袖を引いてそんなことを言われ、ユリは冷めた声でそう言った。

 ヴェルディーゼには後で構うとして、今はガルフィールドである。

 ヴェルディーゼがあんな感じなので、しっかり交流して、仲良くなっておかなければ。


「……うん。不備は……無いですね。どうぞ、確認してください。大丈夫そうですか?」

「変なところはねぇな。わからないところも……ナシだ。ハハハッ、師匠って呼んでもいいか?」

「私はいいですけど、主様の機嫌が凄まじく悪くなるので……すみません。……主様……ガルフィールド様に、私をどうこうしようとかって意思は無いでしょう? いい加減、機嫌直してください……」

「嫉妬で爆発しそう。今すぐ首輪でも付けて閉じ込めたい……」


 首元を撫でられながらそんなことを言われ、ユリは頬を引き攣らせた。

 ヴェルディーゼのことは愛しているが、それはちょっと怖かった。

 首輪なんて付けられたら、何をされるかわからないので。


「……あー、あー……主様。首輪とか、監禁云々はさておき……そろそろ、真面目になりません?」

「……………………ユリがそう言うなら。はぁ……ありがと、ガルフィールド。感謝するよ」

「……丸くなったモンだなぁ。以前のお前なら、一方的にこれをやれだなんだと指示して終わりだったろ? 当然みたいに、対価も払わずにな」

「い、いつの話してるの。そんなの、最高位の座に就いたばかりの話で……ユリ、そんな興味津々にならないで! あー……! もういい、とにかく感謝するから! 引き継ぎに関してはきっちりやるから、数日以内に僕の城に来て! 今日中でもいい! 時間がある時に! ほらユリ、帰るよ!」

「あっ、失礼しまっ――」


 ユリが言い切る前にヴェルディーゼは転移で城へと戻り、思い切りユリを抱き締めた。

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