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最高位邪神と転生眷属のわちゃわちゃはちゃめちゃ救世記  作者: 木に生る猫
交流区

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やりたいならやろう

 ヴェルディーゼのことも心配していたのはもちろんだが、ユリには他にも不安なことがあった。

 それは、あの攻撃がユリの深淵を貫いたことである。


「状況を考えると、あれをしたのは……あの神です。だとしたら、私の勝利は……あれに……」

「ユリ。君は勝った、それは間違いないよ。自分で、それを否定しないで」

「んぐぐ……わかりました。じゃあ、あれはなんだったって言うんです?」

「攻撃じゃなかったんだよ。だから、深淵を通り抜けた」


 ヴェルディーゼの言葉に、ユリはぱちくりと目を瞬かせ、納得できないと言わんばかりに首を傾げた。

 そして、バタバタと足を揺らして、じとりとした目をヴェルディーゼに向けながら言う。


「私の深淵、攻撃は通さないとかそういう仕組みじゃないんですけど……?? そういうのって、結界系の魔法の話じゃないですか?」

「……ああ。言い方を間違えたな……ユリの深淵って、魔力は通すでしょ? そういうこと」

「えっ……でも、明らか雷でした……よね? あれが魔法じゃなくて魔力……?」


 困惑気味にユリが呟けば、ヴェルディーゼはそっと目を眇め、その場で軽く指を振った。

 漆黒の光がその場に具現化し、ユリはぱちぱちと目を瞬かせる。

 よく見てみて、と言わんばかりの顔でヴェルディーゼが見てくるので、ユリは恐る恐る漆黒の光に近付いてみる。

 近付いて見れば見るほど、圧縮されたヴェルディーゼの魔力でしかないのがわかった。

 つまり、あれも同じもの、ということらしい。


「……あの〜……まぁ、本当に魔力であれができるっていうのはわかったんですけど……これ、とんでもなく圧縮されてないです?」

「んー? ……んー……あー……まぁ、そうだね。それくらいしないとこうはならないからね」

「……それを、あの神は、やってみせたと?」

「あはは……はぁ。……そうだね、そうなる。これは僕があれを再現したものだから、魔力の量とその密度も、同等と思っていいよ」


 溜息を吐いたヴェルディーゼは、苦虫を噛み潰したような顔でそう言った。

 ユリはそれを聞いて表情を引き締めると、そっと漆黒の光に触れ、眉を顰める。

 恐らく、込められた魔力はユリが有する魔力の半分程度、更にその密度は計り知れない。


「えぐいぃ……はー、キレそう……」

「どうしたの急に。実力を隠してただけのことでしょ? その上で……ユリにしてやられたから、報復してきた」

「やってやったのは嬉しいですけども、それはそれとして! はぁ!? 実力隠してたとか、あんっのクソ野郎が!! 主様にあんなことをしておいて逃げたどころか、主様に隠し事!? あり得ないですよ今すぐ抹殺しないと!! うぐぅぅ……!」

「……僕に隠し事をしてる神くらい、いくらでもいると思うけど……実力を隠してたのが許せないの……?」

「だって絶対! ルスディウナなんかより格上ですよ、あいつ! 影の支配者ぶってやがるんですよ!?」


 ルスディウナがNo.2とされていたが、そんなわけないじゃないか、とユリは怒っているらしい。

 実力があるのに裏から状況を操ろうとしていて、ヴェルディーゼよりも格上だと驕っているようにも見えて、ユリは怒っているらしい。


「まぁまぁ、落ち着いて……戦ったばかりで、まだ感情が落ち着いてないのかな……?」

「むむむむむむ……っ、……ぎゅってしてください!!」

「ふふ、はいはい。よしよし……僕のために怒ってくれてありがとう。でも、いいんだよ。あんなやつにユリが感情を乱される必要なんてないんだから。……ユリが感情を大きく乱す相手は、僕だけでいいんだから……」

「わかってますぅ、主様に関わることだから怒ってるんですよ〜……あー、自分にイライラする……大事なご主人様兼恋人を守れなくて、何が……」


 ぶつぶつと自分の中に燻る不満を口にしているユリの唇を、ヴェルディーゼは自分の唇で塞いだ。

 蜜のような色の瞳がぱちぱちと瞬き、次第にとろんと目尻が下がってくる。

 その頬は紅潮していて、恋人との触れ合いに酔いしれていた。


「……きゅ、急になんですかぁ、主様……へへへ……」

「結婚式、する?」

「……へ」

「ユリ、言ってたよね。この件が終わったら、結婚式を挙げようって」


 強引にユリを落ち着かせたヴェルディーゼは、ユリの頭が回っていない内にそう口にした。

 その言葉にユリはぱちぱちと目を瞬かせ、次に手で口元を覆う。


「え、あ……っ、……ほんとにっ……?」

「本気で言ってるよ。状況がどうとか……知ったことか。やりたいならやろう、結婚式」

「……ぁ、そうだ、状況……今やったら、狙ってくださいって言ってるのと同じ……じゃないですか?」

「そうかもしれないね。でも……ごめん。だからって延期するのは、嫌なんだ。馬鹿らしいって思うんだ。あんなの押し退けて、無理矢理にでも決行してしまえばいい、って……僕は、そう思う」


 真剣な表情で、嫌そうな表情で――少し苦しそうに、ヴェルディーゼはそう言った。

 そのまま、ユリの返答を待つヴェルディーゼに、ユリは口元をまごつかせる。


「……い、嫌なんて、言えるわけないじゃないですか……もうっ。一秒でも早く……あなたと、結婚したいんですから」

「……あ、あなたって呼ばれると……ちょっと、落ち着かないね……」


 ヴェルディーゼは目を逸らしながらそう言い、そっとユリを抱き締めた。

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