999.予測
なお、リゼも入手した情報を話しておくことにした。近衛騎士の隊長からメッセージウィンドウで聞いた話である。
「皆さん、少し情報を入手しました。城に教会側の大神官? のような方が来て、色々と指示をしているみたいです。坊主頭の方のようですが、ご存知でしょうか? 皇族区から近衛騎士が出ることを基本的に禁止をしたようでして、禁ずる理由を近衛騎士の隊長に話してきたそうです……。近衛騎士が城と皇族を守ってきたことには感謝しますが、教会の動向に賛同しない者がいると国の混乱につながるため、状況が落ち着くまでは皇族区にて過ごすようにという話があったそうです。なお、『これは光の神ルーフ様によるご意思であるため、決まりを破れば不信心者として罰しますからね』とも話をされていたようです」
まず、ネドラもエルマーも首を振った。坊主頭の大神官について知らないようだ。この場にはサラシアとクリステルも来ているが彼女らも当然わからない。また厄介な者が出てきたからなのか、静まり返ってしまった。
「あと、暴れている方々がどこからネドラ地区に侵入しているのかというところも調べないといけないことだと思います。城とネドラ地区を結ぶ隠された道は基本的にあるにはありますが、こちらで押さえております。となりますと、ネドラ地区の外から検問所を通過しているか、闇夜に紛れて城壁から堀に降りてネドラ地区に来ているのかと思います。そこさえ判明させれば多少は状況を改善できるかなと……」
「私としてもランドル大公の話には同意だ。私の地区の検問所は全てステータスウィンドウの共有をさせている。教会関係者である場合は地区に入ることを許可していない。となると、城壁から深夜などにこちら側に来ている可能性はある。城壁は非常に長い。手薄なところもあるだろう。監視をより厳重にするなどの対策を取る。それと、城への攻撃を再開することにした。その大神官は随分と汚い手を使うようであるし、攻撃を激化すればその防衛のために人を割く必要もあるはずだ。まずはそれで出方をみたい」
「ネドラ皇女殿下、承知しました。その大神官の方につきましては私の方でも少し探ってみます」
ということで、テロ行為については少し探ってみることにする。坊主頭の大神官という者が何を考えているのか分からないので、少し様子を見てみたいところだ。ネドラはネドラで城への攻撃を再開するようである。やられてばかりではないということだろう。
そして、解散となり、ネドラ地区からの攻撃が深夜ではあるが再開した。ここ最近は投石機による攻撃は実施されていなかったのだが、久々に本格的な攻撃が再開されたわけだ。リゼはというとトンネルを通って皇族区に来ていた。近衛騎士の隊長と合流する。大神官の名前がラファティという人物であるということを教えてくれた。
「ラファティという方が城を管理しているのでしょうか?」
「そこまでは分かりませんが……ラファティという大神官が来たことで皇帝はより自由に動き回れることが出来るようになったでしょう。皇帝は強力です。特殊な加護があるという噂もあります。皇帝自らが動き出せばこの内戦も戦況が変わるかもしれません。皇帝についての噂は他にもあります。どういうわけか状態異常には絶対にならず、眠らなくても良いという話です」
「そうなのですね……」
リゼは(皇帝が光の神ルーフ様の祝福を得ている可能性はある……。可能性は二つで、皇族は光の神ルーフ様の加護を一部引き継ぐことがあるという話だし、そのパターンか……私やエルーシアのように神の加護をいただいたか……。前者の場合は加護の吸収をさせないようにすればよいだけかもしれないけれど、後者の場合はより強い加護の効果があるかもしれない……)と予測を立ててみる。現状、加護は奪われないようにはしてみているものの、街を歩くのも警戒が必要かもしれない。
「貴重な情報をありがとうございました。ちなみにですが、この皇族区は見張られていると思います。その監視をかいくぐって城側に入るような特殊な通路などはありますでしょうか?」
「実はそういった話をいつかされるのではないかと思っていました。城の地形については熟知しているので、ここ数週間で人が一人通れるくらいのトンネルを掘り進めていたのですが、良いところまで来ていて、あと数日もあれば完成します。計算が正しければ城の使われていない地下室に出ます。ただ、完成するまでは強引な突破しかないですね」
「分かりました。ありがとうございます。それではトンネルの方は継続いただければと思います。今日は強引な突破作戦で行きます」
その後、ヘルを持ち姿を消すと皇族区を囲む城壁にあがると反対側に飛び降りた。うまく風属性魔法を用いて着地すると城へと向かう。ネドラ地区側からの攻撃が再開されたので聖騎士たちが忙しなく動いているようだ。投石機を運んだりしている。投石機自体はかなりの数を破壊してきたはずであるが、また製造しているのだろう。




