1021.会議へ
リゼはなんだかんだ忙しくしていた。レガルナスに戻ってから数時間後にメサ帝国に移動する。メサ帝国において東方未開地にあるダンジョンの攻略会議に参加する必要があるのだ。メレディスにも来てもらっているが、作戦の主導はメサ帝国にて行う。ただ、レガルナス公国としても数人規模のパーティーを派遣するということで合意となった。メンバーについてはお互いに厳選するということにしたが、合計で二百人程度のチームで攻略に向かうことになる。リゼたちレガルナスとしては五人が割当となった。少ない人数だが、ダンジョン攻略に慣れている者たちを選出することにする。
国が正式にダンジョン攻略をするところは初めて目にするので少し楽しみだ。なんだかんだブルガテド帝国とグレンコ帝国の連合軍でロプタス一体を攻略しているので国によるダンジョン攻略はそれなりに機能するはずである。
「……レガルナスは五人。どうする? 神器を持ってるエルーシア、相手の攻撃を止められるルミアは確定?」
メレディスが会議を聞きながら、声を落として聞いてきた。そこはちょうど考えていたところである。
「そうですね。あとはロイス様か、ルースか、ベルノルト様か、ラウル様もどうかといったところですね。アストリアも。推薦はありますか?」
「……それならルースを勧める。アストリアとロイスは戦えることがすでに証明、されているし。ベルノルトとラウルはまず、中級ダンジョンを一人で安定してクリア出来るレベルになる必要がある」
ベルノルトもラウルもダンジョン投影施設を周回したりしていて確かに強いがルースの方が機関を叩き潰すという目標のために七歳から密かに訓練をしてきていたこともあり、戦える部類かもしれない。なお、中級ダンジョンのボスモンスターを一人で安定して戦えるレベルをメレディスは要求しているが、それはなかなかに大変である。とはいえ、そういったレベルを目指していかないと上級ダンジョンの攻略は難しいという気持ちもわかるリゼだ。はぐれたりして一人になる可能性があるかもしれないし、単独で状況に対処する力は必要である。
「わかりました。それではルースにご協力をお願いしましょう。それにしても国家レベルのダンジョン攻略は二百人のように大人数で行くのですね。ダンジョンの通路で渋滞が起きたりしないのか気になります」
「これには……意味がある。……上級ダンジョンの通路は変動する。でも、人が散らばっていると動かない仕様がある。だから、いくつもの道に分散して進んでいく。つまり、渋滞は起きない」
知らない情報だ。ダンジョンの通路の変動要素を抑えて効率よくボス部屋を目指すということらしい。帝国騎士学院の授業ではまだ上級ダンジョン攻略に関するカリキュラムまで来ていないのでそこで解説がある可能性はあるだろう。
「メレディス、それってボス部屋前で合流という感じでしょうか? ボス部屋では二百人ですと多すぎる気がするのですが……」
「そう。……リゼの言う通りで、ボス攻略は三十人程度で行う。人数を増やすことでターゲットを分散し、周囲を囲み常に攻撃して、ひたすら体力を削っていく」
「ありがとうございます。ボス攻略自体は貴族が領地に出来たダンジョンを攻略するのと同じ感じになるのですね」
メレディスは頷いてくる。なお、現状、精鋭の騎士たちがこの会合には集められており、話を聞いているのだが、耳を傾けると前にいる人物が注意事項を話していた。
「何かあったらすぐに横道にそれるんだ。大抵は細くてモンスターが入ってこれない可能性もあるし、ポップもしない! 攻守は訓練どおりだ。モンスターも人も同じ魔法やスキルはすぐに連続利用は出来ない。強力な攻撃を防いだら一気に攻撃しろ。逆に強力な攻撃がくるまではこちらからは攻撃を仕掛けずに様子を見るんだ。鉄則だが、相手のモンスターの攻撃方法が全て出揃ったと判断するまでは相手の力量把握を継続すること。それから、体力が一定以下になると使ってくる攻撃があると思え。光の神ルーフ様の祝福あれ!」
基本であるが、重要な話をしている。騎士たちはダンジョン攻略に参加したことがあるメンバーが大半であるようで、冷静に頷いていた。
「……肝心の話がまだ。暗視スキルがないと上級ダンジョンは危険」
「そういえばそうですよね……」
上級ダンジョンは明かりがなく暗闇だ。言及がないので魔法石で照らす役目の者が入るのかもしれない。結局、明かりの話はなかったので手を挙げて質問をしてみたところ、魔法石で照らす担当がいるようだ。決行は二日後ということになる。
リゼたちはというとダンジョンに向かうということをレガルナス公国の大広間で友人たちに話した。メンバーについても話したが、特に異論は出ない。メサ帝国にはレガルナス公国は一番左回りのルートで進むということを話してあるので五人で固まって向かうことになりそうだ。選出されたメンバーは北方未開地で上級ダンジョンを投影して備えるらしい。




