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1022.前線偵察

 その日、リゼはエルマーのところに来ていた。彼と共に教会自治区との戦いにおける最前線の状況を見にいくことにしている。長期間、戦局が動いていないため、どうなっているのかを正確に理解しておきたかった。これはエルマーの発案だ。彼としてもこの内戦が長期化しすぎることは望んでおらず、状況を動かす何かしらの判断を下したいのだろう。なお、エリアル神聖帝国の北部はネドラよりエルマーが攻略担当ということになっており、そこは着々と進めていた。クリステル地区と隣接している地区とはまだ戦闘になっていないが、会合を調整中である。これから向かうのは西部にある教会自治区方面であるが、ここはネドラではなく、エスメラルダ・ベルナップというネドラに似た雰囲気の皇女が担当していた。エルマーの評価としてはネドラとは異なり、直情的な性格をしているらしい。そして、ネドラを尊敬しているようだ。他に担当を任せられるだけの人材がいないため、白羽の矢が立ったとのことである。

 エスメラルダ地区は教会自治区とはいくつかの地区が間にあり、すでにテロのようなことが地区内で頻発しているらしいが、テロ活動が始まって以来、初めて一人を生きたまま捕えることに成功しているらしい。しかもエスメラルダ本人が捕まえたとのことである。走り回っているところを横から剣で殴りつけて失神させたようだ。そのためにエスメラルダ自身が横道で一日以上を待機していたというのだから相当に根性がある。


 まずはエスメラルダ地区を目指すが、エルマー地区からは直接行くことはできない。いくつかの地区を経由すれば行けそうであるが、要人であるエルマーが行くということが先方に伝わると護衛の騎士を配置したりという可能性があり、教会に勘付かれるかもしれないので今回はお忍びで行くことになっている。


 現状、エスメラルダ地区とエルマー地区の間には皇帝側についている地区も沢山あるため、そう簡単にたどり着くことは出来ない。よって、シグに乗って向かうことにしている。かなりの長距離でもシグに高速に飛んでもらえればそれなりに短縮可能だ。まずはリゼが向かい、教会の下に転移石を置いて、エルマーにはその後に転移をしてきてもらうことにしていた。


(さて、どんな感じになっているのかな)


 シグに乗りながらそんなことを考える。夜であるが、所々赤く光っており、戦いが行われているということが分かる状況だ。教会自治区に近づくにつれて戦闘をよく見かけるようになった。そして、エスメラルダ地区で下降していき、シグから飛び降りるとシグを封印し、地面に向かってエアースピアで風を出してうまく着地する。ここはまだ大規模な戦闘が行われていない安全圏だ。しかし、街の家の明かりは消えており、シーンとしていた。前線が近いということもあり、夜は出歩きが禁じられているのかもしれない。


 アイテムボックスよりヘルを取り出すと姿を消して静かに検問所を目指す。急いで向かうと検問所の付近にはテントが大量に張られていたり、仮設の建物が建てられたりしており、騎士が沢山いる。検問所はどういうわけか開きっぱなしになっており、隣の地区に簡単に抜けることが出来た。この隣の地区も明かりが消えていてシーンと静まり返っているが、エスメラルダ地区の騎士と思われる者たちが建物の影に隠れたりして前方の方を警戒している。よくよく観察するとこのラインよりも後ろはエスメラルダ側の騎士たちが押さえていそうだ。

 なお、ヴィズル曰く、人の気配が他の騎士以外にいないらしい。要するに人が避難した後の地区ということだろうか。


(なるほど……。この地区の人たちはすでに脱出していて、ここを取り合って戦っているのかな)


 他にも前線となっている地区はあるはずであるが、少なくともこの地区はそういう状況のようだ。

 一つの建物が司令部のようになっているようで、そこで騎士たちが少し集まってヒソヒソと会話している。


「情報によると西側と東側は明日にも再攻撃の兆候があるようだ。よって、第三小隊、第四小隊は東に、第六小隊、第七小隊は西側に援護に行け。エスメラルダ皇女殿下が昼頃に増援を送ってくださるそうだ。それまでは何とか持ちこたえろ。我々中央は前線を少し押し上げる。よって、お前の隊はこのラインまで調査に行ってこい」

「了解です。接敵した場合は撤退という方針で良いでしょうか?」

「そうだな。あちらも偵察部隊を放っている可能性がある。細心の注意をしていけ。装備の音には気をつけろ」


 騎士は短く礼をするとすぐに出ていった。確かに出ていく際に甲冑の音が響き渡っている。あれではすぐにバレてしまいそうなので気をつけるようにと言われていたのだろう。


『マイマスター、一般的な白兵戦といったところでしょうね。こういった状況が常に続いていてはまったく落ち着く暇がなさそうですね』


 歩いているとヴィズルが念話をしてくるが、同意だ。


(平原だったり、道が整備されたレガルナスの旧王都のようなところで戦うのとは違って複雑ですね。隠れられるところも沢山ありますし)


 この状況はリゼとしては学びになっていた。

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