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1017.平原エリア

 次の日、リゼはというと東方未開地をワールドマップウィンドウで観察している。確かに中心部分には平原があり、一本の木が立っていた。平原エリアはそれなりに広く、十キロくらいはありそうである。そして、その平原エリアの外側にはまず岩場があり、その外周には森が広がっていた。深い森だ。ダンジョンの扉はというと、岩場にあるようだ。深い森の中はというとモンスターで溢れかえっていた。その深い森はずっと続いていて、森の端から森の端まで歩いたとすれば少なくとも二週間以上はかかってしまいそうだ。そして、その森の外縁部からは砂地になり、砂漠がある。これはメサ帝国方面での情景だ。西に向かってレガルナス公国方面に向かう場合、森を抜けるとしばらくは沼地や砂地があり、その後はまた平原になる。


(さて、改めてだいたいの位置関係は理解できたけれど、中央部の平原エリアには転移できないから……そうなると岩場なのだけれど、運よく岩場にはモンスターがいないみたい。森にはすごいけれど……)


 念入りに警戒をしつつ、岩場にゲートで転移してみた。森から見られないようにすぐに岩場の影に隠れる。この岩場は案外距離がなく百メートル程度で森だ。平原エリアを囲むように岩場が存在しているわけであるが、何となく自然にこのようなものは出来ないのではないかと感じるリゼである。慎重に森側から見られないように動き、一つ目の上級ダンジョンの扉をすぐに見つけることが出来た。扉を開けるとダンジョン特有の冷たい空気がある。ひとまず転移石を置いておくが、このダンジョンの階段はモンスターがあがってくることは絶対にないし、ここまで人が近づけるとは思えないので悪用されることはないだろう。その後、もう一つの上級ダンジョンの扉も見つけて転移石を配置しておいた。あとは気になるのはやはり平原エリアにある一本の木だろう。この場所からは流石に五キロくらいはあるので目視は出来ないがあるはずだ。行ってみようかと考えてアイテムボックスよりヘルを引き抜いて姿を消した。岩場をコソコソとせずに最初からそうしておけばよかったとは感じてしまうが、気を取り直して平原エリアに一歩を踏み入れてみる。神聖な雰囲気だ。


 そのまま平原エリアをひたすら進んでいくと、平原がただあるだけではない。正体不明の建造物の破片のようなものがある。所々にあるのだ。どういうわけか、この平原エリアではアイテムボックスが使えないので破片は腰に下げている収納袋に入れてみる。


『マイマスター、アイテムボックスが使えないということが示す可能性について考えられておりますか?』


 リゼは頷いた。


「エリアル神聖帝国でも戦闘ウィンドウが使えませんよね。恐らくは神による何らかの力が行使されているものと思われます。この建物の残骸のようなものについて何か感じますか?」

「誰もいませんし、音声モードでいきますか。基本的に神の力が行使されているといっても良いですね。アイテムボックスが使えないことの他に転移石を置くと壊れるというものもありますしね。そして、マイマスターも先程その残骸を拾われておりましたが、何者かが破壊したような感じですよね。自然に朽ち果てたというよりは戦闘で破壊されたというような雰囲気です」

「そうですね。かつてここで戦いがあったのかもしれませんね……」


 ヴィズルと共に中心部へと向かうが観察するために急がずにゆっくりと向かうことにする。何かしらの発見があるかもしれないからだ。建物らしきものの残骸があることを考えると、ここには街のようなものがあったのではないかと考えている。いくつかの破片を途中で拾って収納袋に入れていくが、ついに木が見えてきた。一本の木は今歩いている平原よりも二十メートル程度高い丘ともいえるところの中心に立っているようだ。木まではだいたい百メートルくらいのところだろうか。すると木の方向から赤い光が飛んできた。あまりにも早いがギリギリのところで結界を展開して受けきることが出来たが、異常事態だ。なお、インフィニティシールドの結界に当たった赤い光は今もなお、砕け散ったり、跳ね返ったりせずに結界にぶつかって射抜こうとしている。


(えっ……!?)


 リゼは急いでスキルを使って大きく後方にジャンプした。結界にヒビが入ったのだ。こんなことはいまだかつて起きたことがないわけであるが、赤い光は消滅する。後方に下がったことが影響しているのだろうか。


「一定の距離に近づくとあの赤い光が飛んでくる、ということ……? 無属性魔法は熟練度もそれなりだし、そう簡単に破られる結界じゃないのに……。神聖力の核はマックスだし……」


 まさかの事態に動揺を隠せないリゼだ。ステータスウィンドウは開けるので詳細を見てみるが、やはり『【核 (神聖力(エーテル))】10』となっていて、インフィニティシールドの結界を破るかもしれない強度の攻撃とはどのようなレベルなのかと考えてしまう。


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