1016.中心地
なお、レノルド・ハーヴィーは盗み出された神託の話を皇帝にしたようであり、メサ帝国としては東方未開地のダンジョン以外にもう一体がどこかのダンジョンにいるはずだが、流石に探す手段がないので東方未開地のダンジョンを目標として調査団を派遣するそうである。ロプタスも一体はグレンコ帝国にいたわけであるので、居場所がわからない一体は光の神ルーフとは関係のないところのダンジョンにいるかもしれない。
「東方未開地の中心辺りにメサ帝国の方々は行ったことがあるのでしょうか? モンスターが大量にいると聞いたことがありますが……」
メサ帝国の皇帝に質問をしてみた。皇帝は深く頷いてくる。
「まず、いつか分からないが記録によるとメサ帝国のとある神官がかつて、中心部付近まで行ったことがあるという説があります。その際の記録によれば、中央部分には一本の木が立っていて、周りは平原となっているそうです。そこはモンスターも近づかないそうで、その周りにはダンジョンがあって、モンスターが溢れ出している、という情報が伝わっています。なお、その平原エリアは転移石を置いても割れてしまうそうです。よって、東方未開地の正真正銘の聖域と認識しています。平原エリアと呼ぶとしたら、平原エリアの周りにはモンスターが大量にひしめき合っています。見つからずにダンジョンに突入するのは難しいので、陽動、迂回、侵入という手筈を踏むしかないです。神官レノルド・ハーヴィーによる話を聞く限り、その中心部あたりのダンジョンに神託によるボスモンスターがいらっしゃるそうですので、なんとか上級ダンジョンを調べて、そこの中に転移石を置いて、攻略をしていこうと考えています。エリアル神聖帝国への対抗手段になりえますので」
リゼは素早くワールドマップウィンドウを起動してみる。その辺りのダンジョンは一度調査した覚えがあった。中心部には確かに大量にダンジョンがあり、中級ダンジョンが六個、上級ダンジョンが五個、超上級ダンジョンが一個ある。情報は共有しておくつもりだ。紙を取り出して素早く配置を書いていく。
「ありがとうございます。実はダンジョンがどこにあって、どういう種類かということは分かるのでお伝えいたしますね。まず、平原エリアの北側に超上級ダンジョンがあります。タワー型のダンジョンですね。そのタワー型ダンジョンを含めて平原エリアを六角形となるように囲む形で上級ダンジョンが配置されています。その六角形の上級ダンジョンたちの間に中級ダンジョンがあるみたいです。ですので、この一番北にあるところはタワー型ダンジョンなので除外してもよいかと思います。となると五つに絞れるのですが、メサ帝国から一番近いのはこの二つですね。流石に反対側はないのではないかなと思うのでまずはこの二つをターゲットとしてみるのがよいかもしれないですし、調査団が向かうには途中にもダンジョンがあったりするはずです。時間としてもかなりかかりますので私の方で転移石を入り口の階段のところに置いておきましょう。上級ダンジョンは道が時間経過で変化してしまいますが、扉から降りる階段のところは変動しませんので」
転移石を置く役に立候補してみた。それに、ロプタス以外の光の神ルーフが作り出したモンスターを見てみたい気持ちもある。ゲートでシグと共に転移をして、結界を張り、扉を開けて転移石を置いて即座に飛び立てばよいだけだ。メサ帝国の皇帝はというと脱出劇のことを考えるとリゼにお願いするのが最善の策だと考える。
「ランドル大公、ありがたい申し出に感謝しかありません。しかし、危険ではないでしょうか、というのは愚問ですね。お礼は必ずさせていただきます」
「こちらとしても北側にある超上級ダンジョンにいくにあたり、ダンジョンは潰しておきたいですのでお任せください」
ということで数日以内に向かってみることにする。二つのダンジョンを攻略すれば、東側のモンスターを倒していくことで陣地の構築も可能だ。これは超上級ダンジョンの攻略にかなり役立つかもしれない。
その日の夜、頭を切り替えてラファティの私室に侵入を出来るか否かという点を部屋で考えているリゼだ。
「恐らくは侵入自体は成功したとしても、何かしらの痕跡といいますか、そういうものを捕捉されて侵入したことがバレてしまいますよね。ですが、痕跡的な何かもずっとその場所に残り続けるということはないかなと考えています。それがどれくらいの時間なのかというところが気になるところですね。例えばですが、一時間ですとかであれば、何かことを起こして城下の教会に引きつけておければ痕跡も消えます」
「マイマスター、それであれば、提案があります。まずはあの城を歩き回り、再度ラファティを監視をしてみて、ラファティが歩いたところに痕跡を見出して気づくかどうかを観察するのです。バレたとしてもすぐに逃げればよいですし、ラファティの反応をみて痕跡が消えるまでの時間を計測していきましょう」
ヴィズルの案には賛成である。ただ、やりすぎると逆に何か狙いがあると思われてしまうかもしれない。よって、一時間および二時間という単位でまずは痕跡が消えるかを試してみることにした。痕跡をラファティが追えば気づいたことになるし、追わなければ表情などをヴィズルが観察して見解を出してくれるそうだ。




