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1013.教会へ

 なお、リゼが試したのはファールの授業で教えられたことをそのまま実施してみたのだ。要するにファールの真似をしたのである。少なくとも左側にいた騎士はすでに良い動きをしていたので今後に期待だと他の騎士たちからも感じられているだろう。他の騎士たちは場数を踏んでいく必要があるかもしれないが、まだ騎士になりたての者たちであるので伸びしろもあるはずだ。


「ランドル大公様、ありがとうございました。あの騎士たちも良い刺激になったと思います。ランドル大公様は剣術もいけるものと考えておりますが、また指導をいただけると嬉しいです。なお、技術を高めていくのに必要なことは何だと思いますか? もしくは、強くなるためにはどうすべきかという側面でも大丈夫です。あるいは戦闘訓練をする上で意識しておくことなど、ご教示いただきたく」


 皇帝の息子が質問をしてくるが、他の騎士なども数人集まってきている。きちんと考えるが、この質問はいつも自問自答してることでもあるので考えを伝えてみることにした。


「私も勉強中ですが、こういった模擬戦でしたらご協力できるかもしれません。そうですね……では練習する上で考えておくべきポイントについて私の考えをお伝えします。例えばですが、聖遺物で強力な魔法やスキルを得たとします。ただ、それに頼り切らずに初級魔法や剣術の基礎をしっかりと学ぶことは必要かもしれません。基礎を身につけていないと魔法やスキルが使えないという環境でどうしようもなくなってしまいますからね……。また、聖遺物についてはほぼ壊れることがないとはいえ、壊れたりしたら効果が失われてしまいますのでやはり補助的に用いるのは良いと思うのですが、頼り切るのは命取りになるかもしれません。あと、少しそれるのですが、防御系の魔法やスキルは複数個を覚えておくというのも必要だと考えています。一つの手段が破られても命を守るために他の手段が必要です」


 実際に魔法やスキルが使えないという空間はあったりするものだ。そして、例えばアブソリュートゼロのような強力な魔法を神器で撃ち続ければ圧倒することは本来は可能であるが、それに頼り切ってしまうといざという時にうまく立ち回れないという状況が生まれてしまうかもしれないので未だに日課で基礎的な練習はしている。ずっとこなしてきているので剣術や魔法の軌道操作はかなり洗練されたものになってきている気がしていた。そして、防御に用いる魔法やスキルは一つではなく複数推奨である。というのも一つしか覚えていない場合、魔法やスキルは再発動にクールタイムが存在するため、連続攻撃を防ぐことが出来ない。


「ランドル大公様、ありがとうございました。非常に参考になりましたし、おっしゃるとおりかと感じました。過信せずに基礎的なところを継続して学んでいくべきということですね。また是非とも宜しくお願いします。私のことも是非鍛えていただきたいと感じました」

「私に何が出来るのかというのはありますが、是非、手合わせいただけると嬉しいです」


 リゼは騎士たちにも挨拶をすると、教会に向かってみた。光の神ルーフを信じている信者ではないということを扉で伝えると、簡単に光というものがいかに重要かという点の説明を受けたが、それ以上にしつこく何かを話されることはなかったので、本当に穏健派なのだということを感じる。教会の内部では数人が祈りを捧げたりしていた。なお、教会の神官によるとこの国では光線が飛んできたりということはないらしい。ただし、ある時から砂嵐が吹き荒れて国を守るような防壁のようになったようだ。砂嵐が酷いところは通り抜けることが出来ないようである。どういうわけか、進んでいくと元の位置に戻っているようだ。流石に自然の砂嵐ではそんなことは起きないので、神の加護だと確信した。国を守るのには最高の防壁かもしれない。通れるところが一箇所あるそうなのでそこさえ守っておけば良いからだ。ただ、内部に転移石を仕掛けられるとどうしようもないという点はある。

 せっかくなので教会の神官には聞いてみたいことがあった。


「色々と教えていただきありがとうございます。ちなみになのですが、エリアル神聖帝国の教義についてはどのようにお考えでしょうか?」


 メサ帝国の神官が何を感じているのかというところは気になっている。質問をすると神官は少し考え込んでから口を開く。


「そうですね。彼らの教義や行動については非常に残念だと感じています。あまりにも過激すぎて光の神ルーフ様の印象を悪くするばかりですからね……。東方未開地では彼らに嫌悪感を抱いている国が多数あるはずです。本当に困った状態です。我々も同じような目で見られますしね……。エリアル神聖帝国は侵略をして、国土は非常に巨大なものになっておりますが、侵略後に編入された地域の方々は恨みなどの感情を抱くだけなのではないかと考えております。そのうち大きな反乱があって国が分裂するのではないかと……これはこの国の共通した認識だとは思いますね。それから、恐らくは貴族様は異国の方かと存じますが、この国にはエリアル神聖帝国みたいな過激な者たちはおりませんのでご安心ください」


 一旦、ここで神官は話を切った。エリアル神聖帝国には思うところがあるのか首を振っている。



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