1009.報告
続いてラファティについても再度考えてみる。
(ラファティさんについては大神官であるにもかかわらず戦闘が出来る人ということで、あの自信溢れた態度をみるに自身の強度に自信があるのでしょうね……。ロプタスの力をどこまで行使できるのか、というところだけれど……人の魂みたいなものまで使えるようだし、かなりの力を代理で使えるのでしょうね……)
なお、あのラファティだが、勘も優れていそうであった。すぐ近くで暮らしている皇族区に押し込められた近衛騎士たちには気をつけてもらう必要があるかもしれない。ちなみに近衛騎士の隊長によると皇族区から出ないようにと言いに来た際に光の子である皇太子には会おうとしなかったようだ。神託によって光の子とされた人物に会うのは躊躇したのかもしれない。恐れ多いなどの感情を抱いている可能性もある。ただ、いつ光の子を自分たちの庇護下におくべきだと考えるかわからないし、近衛騎士たちにはトンネルを通って脱出してもらった方が良いかもしれない。
レノルド・ハーヴィーにはもう一つ聞いておくことがある。
「レノルド・ハーヴィーさん、教会自治区がどういう立地で……ですとか、情報をいただくことは教義に反しますでしょうか?」
「そう、ですね。そこは教義に反する可能性がありますね……。しかし、すでにこの状況が教義に反しているともいえますね……。夜の神ルアを信仰するレガルナス公国にこのように滞在して、すぐさま聖戦を行わないことは教義的にはおかしいでしょう。ただ、メサ帝国の穏健派という側面で言えば教義に反するとは言えません。メサ帝国に向かいそちらで神官となることが出来ましたら、その際にもう一度お話しいただけますか? 情報提供を依頼するのではなく、教義についてご確認いただけたことに感謝いたします」
リゼは頷いた。こちらとしてもレノルド・ハーヴィーは話が分かるタイプであり助かっている。
この日は来客用の部屋で過ごしてもらったが、レガルナス公国の主要な者たちにはラファティという大神官に姿を見られたが、ケラヴノス帝国の刺客だと思われているということを話しておいたリゼだ。また、ネドラたちにも審問官という聖騎士が予想以上に強力であるということ、普通の聖騎士と比べると雰囲気が異なるということを伝達しておいた。また、大神官ラファティとは絶対に戦わないようにということは伝えておいたのである。万が一にも戦えばただではすまないだろう。もしかすると人を吸収するような能力までロプタスに与えられている可能性もある。その場合、ラファティは自身を強化するのだろうが、ロプタスにその状態のラファティが吸収されれば、ロプタスの巫女を吸収した時のような強化が行われる可能性もあるのではないかと予測してみた。ラファティが後方で指示をしているだけの状況を出来る限り長引かせて、その間に皇族自治区を何とかして、最後に城を攻めるということにした方が良いと感じている。
(そういえば、ラファティさんとエリアル神聖帝国の皇帝だけれど、仮に仲違いして戦ったらどちらが強いのかな……? あの皇帝も絶対に強いのよね……)
そんな疑問は生まれるが、仲違いはなかなかしないだろう。どちらも光の神ルーフを信仰する光の国を作るという共通点がありそうであるし、行動に支配欲などはなく、教義のために動いている。協力してくるはずだ。
■
その翌日、ラファティはというと城の裏にある隠された港から海に向けてせり出すように桟橋を作らせており、その先端に転移石を置いてあるのでデイラ聖教国に転移をした。ルミアの祖父である法王に面会するのだ。法王の部屋に向かうと歓迎を受ける。
「ほっほっほ。大神官ラファティよ、よくぞ帰還した。エリアル神聖帝国はどうだ?」
「法王猊下、私の所感といたしましては、先を急ぎすぎた結果、侵略した地域への布教活動が後追いになっており、国全体としての信仰度合いはあまり高くないと感じております。あちらの大神官など、一部の神官は強い信仰をお持ちですが……。神官になりたてのものなどは、そもそもとして教典を細かく理解できていないケースが有り、デイラ聖教国では神官になれてすらいないような者たちも一定数おります。そういった神官に教義を説かせても無駄でありますので、どこかのタイミングであちらの大神官に一掃するようにと進言してみるつもりでございます。それと、ロプタス様への生贄も計画的に行われておらずでした。しかし、幸いなことに戦争が発生しているため、捕虜を生贄にしていけば効率的ですねぇ。そしてですね、信仰度合いは低いのですが、国としては非常に巨大な国家でありますため、光の国を作るという観点では非常に魅力的であります。きちんと信仰度合いを高めていけば、我らの悲願も早いうちに達成されることでしょう。そのため、出来る限りの協力をしていきたいと考えております」
ラファティは早口で告げるが、法王は何度か頷き、満足げだ。




