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1008.分析

 少し落ち着いてもらうために考えを巡らせるが、何より一番の良い情報はロプタス以外に光の神ルーフが作り出したモンスターがいるということだ。しかも、一体は東方未開地の中央付近にあるダンジョンにいるようである。ロプタスと対になるようなボスモンスターなのかもしれない。


(メサ帝国の皇帝陛下はその神託のことをご存知なのかな……? かなり昔の神託みたいだから、色々あってメサ帝国側では情報が消えてしまっている可能性もあるかもしれない。盗んだ側のエリアル神聖帝国では丁重に保管をしていたので残っているという可能性も)


 そんなことを思うが、レノルド・ハーヴィーの役割は気になるところだ。


「レノルド・ハーヴィーさんは神官の中でどういう役目を担っていたのでしょうか? 教会自治区にいらっしゃったということは各地区の神官のように教義を説いたりという活動はされていらっしゃらないのでしょうか?」


 思い切って聞いてみた。どのようにしてこの資料を手に入れたのかどうかは知っておきたいので役割を聞いてみたのである。レノルド・ハーヴィーは特に隠すつもりなどもないのかすぐに口を開く。


「私はそうですね、保管庫の掃除係……というのが役目でしたね。掃除係ということで記録を見たりすることが出来たのでたまに観ていました。この資料はお察しの通り、古代の文字を現代語訳としたものでして、私でも読めたのです。お恥ずかしながら教会の中では高位の神官ではなく、出世街道からも外れております。エリアル神聖帝国は出自といいますか、血統を重視するところがありますので……」


 教会内にも出世争いのようなものがあるらしい。役割もわかったし、お礼を伝えておいたリゼだ。


「あっ、ちなみにですが、大神官ラファティさんには普通に嘘をつかれていたと思うのですが、そこは教義的にはどうなのでしょう……?」

「そこは……鋭いツッコミでございますね。私の修行の足りなさが露呈してしまいました。エリアル神聖帝国の教会に思うところがあるにもかかわらず、自分は教義に反する行為を行ってしまった。なんという矛盾でしょうか……。光の神ルーフ様、この罪人をお裁きください」


 レノルド・ハーヴィーは天を仰ぎ、目をつぶってしまった。


「あー、場合によってはどれだけ修行をつんでいたとしても、そういう間違いもあるのかもしれませんね……。ちなみにですが、デイラ聖教国をご存知ですか? 教義的には穏健派というよりもエリアル神聖帝国に近い気がしておりますが……」


 デイラ聖教国は少し前からエリアル神聖帝国の支援をしているわけであるが、どこまで知っているのかを質問してみる。レノルド・ハーヴィーは「いつでもお裁きください」と祈りを捧げてから目を開いた。


「デイラ聖教国、ですか。かの国の詳しいことはわかっておりませんが、教典は同じようなものを使っているということは聞きました。ただ、教典にはその時の法王が加筆や修正を行えるとも聞きましたので、どういうことなのだろうかといったところではありますね。ただ、基本的に方向性としては同じ系統に属しているのかなとは感じました。あの方々は教会自治区には基本的にほぼ来ておらず、城の管理をしていると噂では聞いておりました。審問官という聖騎士に秘密裏に拉致されてから、あの広間まで連れて行かれるまでの間に状況を観察しておりましたが、ほぼ城はデイラ聖教国の統治下にあるということがよく分かりました」

「ありがとうございます。状況について理解できましたし、教義的にやはり近いということも分かりました」


 例の審問官という聖騎士たちであるが、もしかすると最近作られた組織なのかもしれないと感じている。というのも、ファールがルミアを救出した際に一番守るべき法王がファールに殴りつけられており、審問官がその時点でいれば、そのようなことはさせなかったはずだ。ファールのルミアを連れ去るという想定外の状況が生じたので大神官以上の者には優れた聖騎士である審問官をつけているのかもしれない。


(あのエレキレイを避けたのをみるに、反応速度に優れているし、戦闘能力としてはかなりのものかもしれない。私、結界や魔法がなければエレキレイを避けることは難しいと思うし、反応速度では絶対に負けていると思う。それと恐らくは剣の腕も相当なものでしょうね。ただ、姿が見えない人に対しての感知能力はないということもわかった。姿を消している分には脅威にならないけれど、姿を見られて戦うという状況になったら苦労しそうね……。チラッと見た限り聖遺物も色々とつけていそうだったし、アブソリュートゼロを神器で連続詠唱してもどうなるか……)


 とはいえ、ルミアが主人公であるシュラインメイデンではそういった審問官とも戦うはずである。強敵ではあるのだろうが、倒せない相手ではないのだろう。だが、今の戦力であの審問官と戦えるレベルに達している人物がどこまでいるのかというところは気になるところだ。極力、接触を避けた方が良さそうである。


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