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「理由は2点です。
ひとつめは魔獣がサラマンダー地方にて
確認された今、次はウンディーネ地方に
その次はノーム地方に、シルフ地方に。
早々に討伐しなければ
最後にはシャドウの魔獣が
連鎖的に呼び起こされる可能性があること」
簡単に言えば縄張り争いである。
炎が強くなれば対なる水が
水が強くなった事により対なす土が風が
力をつけ様とする為だ。
人間にとっては四大精霊が
共存してくれることは都合が良いだろう。
だが精霊自身からすればそうではない。
己の眷属さえ生き残れば良いのだ。
「そしてあれほどの精霊操作を行えるのが
リリスさんしかいないこと。
ノームの試練を突破した者でも、
エドワードであろうとあれは出来ません」
フランクは縋る様にエドを見つめるが
首を横に振る。
「正直、土魔法に関して右に出る者は
いないなんて自負してたけど
あれをやられちゃうとヤル気すら失っちゃうよ」
自嘲する様にエドは言う。
己の今までは何だったのかと。
「皇女殿下が提案した精霊操作には
重大な欠点がある。
1つはまず試練があまりに困難であること。
ハッキリ言って僕がノームの試練を突破出来たことすら奇跡に近い。
それを4つなんて論外だ」
エドは少し苛立ちながら話を続ける。
「次にそれを突破した所で初めて
精霊と対等な立ち位置に立てる。
あんな精霊を完全に意のままに操るなど
不可能に近い」
エドは一息つく。
「そして最後に精霊操作をするにあたり
膨大な魔力が必要だ。
正直、ひとつの精霊に対して熟練の魔法使いが
必要なくらいね」
エドは少しリリスの才能に嫉妬した。
稀代の天才と言われた自分が
誰もが出来ないことをふらりと現れた
女児がさも当たり前と言わんばかりにこなすのだ。
屈辱以外の何物でもない。




