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・用語説明
☆カットラス
イギリスの水兵が主に用いた
刀身が湾曲した刀のこと。
フランクはここまでの話を
自分にとって都合のいい部分だけを
雄弁に演説家の様に語った。
そして、娘の処遇は既に国家の査問会で
決まっていたらしかった。
資質ある人材は道を誤る前に
然るべき教育、管理をすべしと。
そこで王立魔術学園に委ねられたのだ。
これは副団長や、諜報員
王立図書館司書からの強い推薦も
あったらしい。
特例処置により
直ぐにでもという話だったらしいが
そこでフランクが大人気なくごねたらしい。
可愛い盛りの娘を今日、明日に
魔術学園に入学させて寮生活をさせるなんて
言語道断であると。
もちろん、そんな言い分が
通る訳もなかったのだか
そこは副団長のデューイが上手く
やってくれたらしかった。
代ってリリスに下された裁決は
この情報を誰にも漏らす事無く
5歳になるまで適宜、経過観察を行い
魔術学園への入学が適切であるならば
そうするべしとの事だった。
「あなた、もちろん学園への入学準備は
済ましているのよね?」
事情は分かったのだが
アンネはふと嫌な予感がした為
フランクを問いただす。
「ああ、ちゃんと準備しているぞ!
杖としても代用出来る魔法剣だ。
なかなか隠れて用意するには
高い金額だったんだぞ!!」
意気揚々とフランクはカットラスを
子供が扱いやすい様に小型化し、
刀身には魔術紋様が刻まれ
柄には美しく赤く光る魔石が埋め込まれた剣を
リリスへと差し出した。
「あ、ありがとう父様」
リリスはポカンと両親のやり取りを
他人事の様に眺めていたのだが
吹き荒れる嵐の矛先が急に自分に向き
おずおずと剣を受け取る。
「・・・・・まさか、それだけじゃないでしょうね」
「他に何か必要だったか??」
アンネはそれを聞くなり
問答無用で無防備なフランクの鳩尾に
蹴りを入れ、リリスの手を掴み
夕飯そっちのけで街へと繰り出した。
2人が帰ってきたのは
月も天上に上り切ったいい時間であったが
フランクは玄関先で帰りを待っており
申し訳なさそうに頭を下げた。
それを許したアンネは3人で遅い夕食を済まし
リリスが寝静まった頃
アンネとフランクは肩を寄せ合い
抱き合いながら声を殺して涙を流した。




