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ドラゴンすくらんぶる!  作者: 葉月 都
第玖章 真実への戦い
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其七十五 風華目線

今回は、風華達の時代、平安時代に焦点が当たり、巴樹の前世、風華が主人公となります!


「祇夕さん!こんにちは!」

「………………………ああ。」



私ー風華ーは、目の前に現れた人影に笑顔で挨拶をする。


祇夕さんは、たまに都で会う行商の方で、すごくいい生地の反物や髪飾りを売っているの。

私も祇夕さんのお店のお得意様で、顔見知りなんだ。



「祇夕さんは、また仕入れですか?」

「いや、散歩。」



私の問いに、祇夕さんは即答で答える。

思わず私は苦笑いしていしまった。


すると、後ろから聞き馴染んだ明るい声が聞こえてきた。



「風華ぁ~!」

「雪華!どこ行ってたの?!」



私はくるりと振り返って、人をかき分けやってくる幼馴染に手を振る。



「ごめんごめん………………………南ちゃんをちょうど見かけたから………………………………」



南ちゃんは、私と雪華より二つ上の茶屋娘。

雪華とは、何かのお稽古事で同じらしい。



「そっか。」

「風華はなにしてたの?」

「それは、祇夕さんと………………………あれ?」



私が「祇夕さんとお話してたんだよ」と言いつつ振り返ると、そこにはもう黒髪の男性はいなかった。


あれ?どこ行っちゃったのかな?


私はきょろきょろと市中を見渡すが、どうやらいないようだ。



「風華?」

「………………………ううん。なんでもない。」



私はにっこりと笑って雪華に向き直る。

そして、予定通り雪華と共に、私の神社から少し離れたもう一つの神社へ向かった。








「こんにちはぁー、霊泉!」

「こんにちは!」

「ん………………………あ、ふうかちゃんにせっかちゃん。どうぞ。」



ふみ神社の巫女である霊泉れいせんとは、巫女つながりでも仲良しであり、ここの神社を借りて行われているお稽古事の仲間でもある。



「あとわぁ………………にじほしちゃんだけだね。」

「あれ?まだ来てないの?」

「おっ、遅れてごめんなさぁい!!」



私と霊泉が少し話していると、そこで話題の主が境内に飛び込んできた。


虹星にじほしちゃんは、十歳の陰陽師の女の子。

少しのんびり屋さんなんだ。



「おっ、揃ったね。」

「始めるよー。霊泉も風華も虹星も入ってー。」



本殿の中から、先生二人が顔を出す。

白拍子の紅黄べにこう様と、同じく白拍子の桃花とうか様だ。

二人は、この辺りの貴族のお屋敷で舞っている、すごく有名な方達で、私達みたいな子に舞を教えてくれているの。



「はぁい………………」

「「はい!」」



元気よく返事をしてから、三人は一緒に本殿の中へ入っていった。



私と虹星、霊泉が本殿へ入ると、雪華と紅黄様と桃花様、そして、横笛の得意な紅赤こうちゃんが座っていた。

私達も、急いで自分の席に座る。



「それじゃあ始めます。皆、扇を持って。」

「「「「はーい!」」」」



まず、二人がお手本を見せてくださってから、私達も舞い始める。

舞は、体の全神経を集中させて行うから、その分疲労感がかなりある。



「よし!じゃあここまで!」

「「「「ありがとうございました……………………………」」」」



だから、初めの挨拶と終わりの挨拶の違いは一目瞭然なの。



「つーかーれーたぁーーーーーー」

「雪華、大丈夫?」



帰り道、へとへとの雪華に、普段仕事で体を動かしている私は苦笑いしながら言う。

雪華は、「だいじょ、ぶ………………………」、と、今にも昇天しそうな弱々しい声だった。


私は、「なにかあったらちゃんと言うんだよ?」と一応言っておいてから、近くの茶屋の長椅子に雪華を座らせてあげて、頂いたお茶とお団子を雪華と共に食べ始めた。





ーーーーーーーーーーーー



「祇夕、遅いぞ。」

「すまないな。少し町中で知り合いと話していた。」

「ったく…………自由人だな」

「だが、優輝、準備は整ったのだろう?」

「お前のその目は千里眼か?」

「落ち着け優輝。いつものことだろ。」

「分かっているさ、闇祓。いつものことだな。」



「じゃあ、はじめるか。」





黒き闇夜の宴を





ーーーーーーーーーー



私が雪華を家に送り届け、神社に帰っていた時のことだった。

突然、明るかったはずの空が少しずつ陰っていく。



「………………………なに?」



警戒した声を出し、私は扇を取り出す。


黒く染まっていく空は、あっという間に都中を覆ってしまった。


わたしは瞳を細くさせ、姿の見えぬ敵を待つ。

その時だった。



耳障りな高い音が辺りに響き渡る。



「っ?!」



耳を背け、目を閉じる。

だが、その音はすぐに消えてしまった。


だけど。


私は目を疑った。




そこには、




都中を覆う真っ黒な蔓と



同じ色彩なのに栄えて見える大きな球体が浮かんでいた。





私は思わず息をのんだ。



「大変、だわ…………………………」




次回は現代に戻り、御子戦です。

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