其六十六
佳穂が出てから少し後、突然巴樹の部屋の前の廊下が少し騒がしくなった。しかも、よくよく聞くと、全員が女子のようで。
巴樹のハテナ顔がますます深くなってきたその時。
「はい。どーぞ。」
佳穂の声とともに入ってきた人物"達"に、巴樹はびっくり仰天した。
見覚えのある、というか、つい何時間か程前に見たばかりの顔ばかりで。
「お邪魔しまぁす…………………」
「お邪魔しまーす………………」
「お邪魔しまぁーす……………………」
「なっ、鳴海ちゃんっ?茉奈!優香っ!?」
ぽかーんとして、巴樹は、そこに出揃ったメンバーを順々に見つめる。
そう。
やってきたのは、巴樹のクラスメイト達だったのだ。
「用事で来れなかった子もいるけど、ほぼ全員来たんだ。」
最初に口を開いたのは、鳴海の右隣に立つ優香だった。
すると、
つい出てきた次の言葉に、巴樹は、思わず後ずさりしてしまった。
「「「「「「「「「「本当にごめんなさいっっっっっ!!!!」」」」」」」」」」
「!?」
その大きな声の後、矢継ぎ早にクラスメイト達の"謝罪"が始まった。
「私達のせいで、嫌な思いさせちゃったね。」
「なんだか、巴樹ちゃんが皐月祭りの少し前に言った言葉に、ちょっとムッとしちゃって……………。」
「でも、なんだかよく分からないけど、その気持ちが膨らんで、」
「いつもならすぐに引っ込むんだけど。」
「そしたら、勝手に体が動いて、巴樹ちゃんをいじめてたんだ。」
「それでね、実はみんな、不思議な男の声を聞いていたことが、後々話していて気が付いたんだ。」
「『七橋巴樹は、すべての者を不幸にさせる。皐月の最後、彼女を封じ込めろ』ていう謎の。」
「もちろん心では信じてなかったんだけど、いじめてた時と同じように、体が勝手に動いて……………。」
「ほんっとうにごめんっ!!!」
一斉射撃の弾幕のように、次々と降り注ぐ懺悔の言葉。
巴樹は圧倒されすぎて、途中から、チリ領の太平洋上に位置する火山島に立つ有名な石像と化していた。
そして、石像巴樹に追い打ちをかけた皆々の行動が。
号泣
であった。
(て!みんな高1でしょ!!小学生か!!)
と、佳穂が心の中で突っ込んでいたのは言うまでもない。
モ巴樹像が、その硬度を更に増し、奈良にある大きな石像と、鎌倉にある、奈良と似たような石像の硬度を足して10をかけたぐらいになった時。
今まで存在さえも忘れかけていた二人が、ようやく口を開いた。
「…………………それで。結局どうするの。」
『うん。原因とかは分かったけど、そのあとどうするのかが大切じゃないかな?』
すると、先頭にいた鳴海が、モ巴樹像に近寄り言った。
「巴樹ちゃん……………今度は絶対何もしないから、絶対学校来てね。」
続いて、茉奈と優香もモ巴樹像へ寄る。
「やっぱり、巴樹がいないと楽しくないよ。」
「嫌なことして、本当にごめん。」
すると、まるで王子様のキスで目覚めたお姫様のように、モ巴樹像が解凍され、巴樹が口を開いた。
「……………うん。やっぱり悲しかったけど、みんなと一緒に入れなくて、私も寂しかったから。……………また一緒に遊んでね?」
その言葉を合図にしたかのように、鳴海他女子達がわっと巴樹に抱き着いた。
むぎゅうっと押し潰されかけている巴樹を、佳穂達三人は遠くから見つめていた。
これで、皐月祭りの事件は終わった
かのようにみえたのだが
鳴海達が帰った後、その事件は起こった。
「巴樹ちゃん、大丈夫?」
「はい…………柴さんと佳穂さんが止めてくれなかったら、ちょっと危なかったですけど」
あはははは……………と苦笑いする巴樹。
そう、部屋の中でたわいのない話をしていた時のことだった。
突然。
巴樹の部屋のドアが乱雑に開けられる。
その大きな音に、一瞬にして部屋の中の音という音が消え去る。
びっくりして、巴樹がドアの方に視線を向けると、そこには驚きの人物が立っていた。
「な、奈濟さんっ?!」
いつもは整えられている、プラチナブロンドのロングヘアは崩れ、息を乱し、いかにも急いできたような姿だった。
その姿に、巴樹はもとい、佳穂・利人・柴までもが息をのむ。
「ど、どうしたんですかっ!?」
ゆっくりと体を起こし、巴樹は奈濟さんに駆け寄る。
だが、その動きはコンマ数秒のうちに消去された。
息を若干整えた奈濟さんの放った一言は、どんな攻撃よりも、どんな力よりも、どんな神の奇跡よりも、巴樹の体に完璧なダメージを入れた。
この一言から、
"本当の事件"
は
始まるのだ…………………
予感していた者もいれば、
前もって分かっていた者もいる、
そして、
全く知らず、その状況を知ることになる者も
いるのである
「き、き……………きいくんがっ…………………」
消えてしまったの
皐月の異変終了っ!!
そして、次から新章入ります☆
ちなみに、ここからが私が本当に描きたかったお話です笑




