其六十五
皆さん、お久しぶりです。
こちらの用事がつかず、全然投稿できませんでした。
申し訳ないです<m(__)m>
たぶん、これからも不定期が増えます。
なんとか、夏休み前までには~~~~させたいです笑
「…………………っていうことだ。」
利人の、約五分にわたった長い話しが終わる。
そう最後に締めくくると、利人ははぁっと一息ついた。
と、その時。
隣から遠慮がちに佳穂の声が聞こえてきた。
「あのぉ………利人さん…………巴樹ちゃんが………………」
「ん………………あ。」
佳穂の言葉に、利人は巴樹が寝転がっているベットへ視線を向ける。
そこには、
唖然とした表情で、口を半開きにしたまま固まる巴樹の姿があった。
「たぶん…………あまりにも利人さんの話がすごすぎて、頭が付いていかなくなったんじゃあ………………。」
「いや………………これ、全部実話だぞ。しかも、ほとんどさっきまで起こっていたことだぞ。」
二人の苦笑いの声が、部屋に小さく響き渡った。
そして、またもや五分後。
ようやく凍結解除された巴樹と、龍符を構える佳穂の姿が、部屋の中にはあった。
「………………じゃあ、行くよ。」
「はい…………よろしくお願いします。」
小さく微笑む佳穂に、巴樹は上を見上げたままうなずいた。
その答えを見ると、佳穂は安心したように一息ついてから言った。
「癒光龍術 治癒燐光」
すると、佳穂の持つ黄色い札から淡く薄黄色の光が瞬き、すうっと巴樹の体の中に入っていく。
その瞬間、巴樹の体にあった傷が、あっという間に治っていく。
そして、すべての傷が消えると、閉じていた瞳をゆっくり開き、巴樹は佳穂に言う。
「やっぱりすごいですね、佳穂さんの龍術。」
「そうかな………………」
照れたように苦笑いすると、佳穂は隣に立つ利人と、利人の隣の少女に話しかける。
「利人さん、柴さん、これで巴樹ちゃんは大丈夫です。」
「そうか。」
『良かった……………』
ふふふ………と笑い、柴が巴樹の元へいち早く駆け寄る。
その後から、利人がゆっくりと歩きよってきた。
「え、えと……………」
突然抱きしめられた人物を、巴樹はまだ知らないため、巴樹の口から戸惑いのつぶやきが漏れる。
そのつぶやきの意味に気が付き、利人が横から言った。
「こいつは、三奈城戸柴。気候龍、雪龍精だ。で、俺の幼馴染。」
利人の説明に続き、柴が、拳を鼻の前に置いて少し前に出し、続いて顔の前に手を立てて前に出しながらお辞儀をする。
手話の一つだ。
が、あいにく巴樹には手話の知識はない。
首をかしげて、なんとか解釈しようとしていると、隣から凛とした声が聞こえてきた。
「……………………柴さんは、『よろしくね』って言ってるのよ。巴樹ちゃん。」
「!?」
びっくりして横を見ると、佳穂が巴樹を見ながら微笑んでいた。
「これは……………」
と言いながら、柴がした行為を同じように再現する。
「手話で、『よろしくお願いします』って言う意味なの。」
「へ、へぇ……手話…………」
目をぱちぱちをさせて、巴樹はなんとか理解する。
と、利人が突然不思議そうに佳穂に言った。
「詳しいんだな。」
「…………まあ、幼馴染に、詳しい人がいるので。」
苦笑いしながら、佳穂は利人に言う。
そう言っている佳穂の脳内に、黒髪の策士な幼馴染が浮かんでいたことは、誰にも分からない。
すると、また何やら柴が手を動かす。
そして、利人が黙ってそれを見てから、巴樹達に言った。
「『傷が治ってよかったね。眠ったようにもたれてたから心配したよ。』だって。」
「えっ!?分かるんですか!?利人さん。」
「通訳がいないとダメだろ。」
布団から起き上がった巴樹の言葉に、間髪入れずに答える利人。
が、巴樹はそこで重要な問題に突き当たった。
「そういえば………………手話とか、通訳とか、どういうことですか?」
瞬間
ガクッーーーー!!
物凄い勢いで、佳穂・利人・柴の三人がずっこける。
もちろん理由は、巴樹の天然鈍感発言のせいである。
「うそぉ…………だいたいは察しがついてるって思ってたぁ……………」
「俺も……………説明はしょったことを、今後悔してる。」
『てっきり知ってると思ってたよ………………』
ひりひりと痛む、腕や足の肌をさすりながら、三人は立ちあがって、次々に巴樹に説明を始めた。
「柴さんは、聴がい者なんです。」
「生まれつき耳が聞こえないから、いつも一緒にいるんだ。だから、いつも俺と柴の会話は手話。」
『口を見ればなにを言ってるのかだいたい分かるけど、小さい声の人は分からないから、りーくんに通訳をお願いしてるの。』
佳穂・利人は分かるが、柴の高速手話には追いつけないので、巴樹はなんとなくのニュアンスで感じ取る。
でも、その後で、利人が意味を言ってくれたので、意味をちゃんと理解することができた。
「そ、そうなんですか………………」
ふんふんとうなずき、巴樹は柴に向きなおって言った。
「改めて、七橋巴樹です。五行龍、風龍精です。よろしくお願いします。」
出来るだけ口を開いて、ゆっくりと言葉を紡ぐと、どうやら伝わったようで、柴はにっこり笑ってうなずく。
すると突然、はたと、佳穂が立ち上がり言った。
「あ、忘れてた!巴樹ちゃん。お客さんが来ているわよ。」
「……………お客さん?」
そう言い残すと、佳穂は部屋のドアを開けて、廊下に出る。
閉められたドアの奥から、階段を下りる足音が聞こえてきた。
(お客さん、って、誰?)




