其六十三
評価とブックマークをしてくださった方がちょっと増えてた……………
やばい………すごい嬉しいです………(´;ω;`)ウゥゥ
ーーーーー【巴樹・利人ペア】ーーーーー
「ふぁ、ふぁなひへっ!(はっ、はなしてっ!)」
口をふさがれ、巴樹は人気のない場所まで連れてこられてしまった。
やっと手を離されたが、今度は別の誰かに手を後ろ手に捕まえられてしまう。
すると、突然背後から、聞き覚えのある声がした。
「………………とんだ毒女ね。巴樹ちゃん。」
そして、その声で、巴樹はようやく誰が巴樹を軽度拉致したのか気が付いた。
「な、鳴海ちゃんっ?!」
顔だけ振り向くと、感情の読めない無表情で鳴海が立っていた。
周りには、鳴海と似たような表情のクラスメイト達の姿が。
しかも、なぜか全員女子なのだ。
巴樹は、感情が消えてしまったかのようなみんなの顔に、ぞぞぞ………と背筋が逆立つのを感じた。
「きいだけには飽き足らず、悠様に利人様とも知り合いだなんて…………。なんて毒女なのよ。」
「っ………それはっ!」
どうやら、先ほど一緒にいたところを見られていたようだ。
鳴海の発した言葉に、周りの視線がより一層冷たく、深く突き刺さってくる。
だが、鳴海の口からつい出てきた言葉に、巴樹は耳を疑った。
「ま…………そんなことどうでもいいけど。」
「?!」
(ど、どうでもいい?!)
すると、鳴海は巴樹の背後に向かってコクンとうなずいた。
訳が分からず困惑していると、突然、巴樹の手を留めていた誰かの手が離れる。
(や、やった!解放されたっ)
だが、そう思ったのも束の間。
今度は、手首に、人の手ではない感触の何かが巻き付けられる。
そのざらざらとした感触に、巴樹は覚えがあった。
(……………こ、これって……………ロープっ?)
目をぱちくりとしていると、次は口元に別の感触。
(えええっ、今度はガムテープ?!私、完璧に拉致されてない?!)
あわあわあわとしていると、お次は目の前が突然真っ暗になった。
(ちょちょちょ…………どうなってるの?!)
矢継ぎ早に繰り返される巴樹の突っ込みを知らず、身動きの取れない状態にしてから、鳴海達は巴樹をどこかへ連れて行く。
もちろん、巴樹はまったく分からない。
人の騒めきが遠くに聞こえる。
今では、巴樹にはその騒めきが、たった一つの希望だった。
誰かが、自分のことを見つけてくれはしないだろうか、と……………
しばらく歩いた後、突然、どこかに突き飛ばされる。
背中に、何かが勢いよく当たって、巴樹は小さく「うっ」とつぶやく。
「悪いわね。"斎賀様"の御命令でもあるから………………ま、私達も"そうしたかったし"」
鈍い痛みと闘いながら、鳴海の声がうっすらと聞こえる。
(さ…………い……が………"さま"……………て…………………)
そう巴樹が思っている頃には、遠くで重いドアが閉まるような音がしていた。
後ろ手に縛られているため、移動はもちろんできない。
と言っても、まず視界を奪われている時点で、やたら動くと無駄な体力を消費してしまうだろう。
ただ
ただ
ただ
無音の空間
響くのは
小さな巴樹の息遣い
縄と地面が擦れる音
ミクロほどの騒めき
そして
クラの叫び声
(暗いよ…………一体どこなの…………ここ…………………どうして…………………私が……………………こんな……………目に………………こんな…………目に合う………………なら……………いっそのこと…………………)
消えてなくなりたいよ………………………………
どれくらい時間がたったのだろうか。
一日かもしれなし、たった三十分のことだったのかもしれない。
(あれ………私、寝ちゃってた…………?)
目の前には、茶色っぽい天井。
(…………………天井?)
ぱちっと瞼を開けると、そこはいつもの見慣れた自分の部屋だった。
まったく状況の整理がつかない巴樹。
すると、突然がちゃりと扉の開く音が。
びくりと肩を震わせ、上半身を起こす。と
「あー…………あんまり体を動かさねーほうがいいぞー。傷が開く。」
「り、利人さんっ?!」
そこには、ふわぁ…………と大あくびをしながら歩いてくる利人の姿があった。
ヘッドホンを首元にかけ、皐月祭りの時と同じ格好をしている。
「あの………」
「質問は後で聞いてやるから。」
図星通りのしたかった質問を遮られ、巴樹は大人しく体を元に戻す。
ベットの近くまで来た利人は、巴樹の足元辺りに向かって、なぜかこう言った。
「おーい、起きろー、仕事だ。」
「んぅ………………」
「えっ?!」
驚いて、巴樹がその方向を見ると、見覚えのある栗色の髪の毛が見える。
すると、むくり……とその人物が体を起こす。
「佳穂さんっ!?」
(そういえば、体を起こした時、なんだか布団が重かったような!?)
細められたイエローの瞳に巴樹が映ると、ぱちっとその目が開いた。
そして、先ほどまで眠たげだった表情が、花が開くかのように笑顔へと変わる。
「おぉ……………良かったぁ……巴樹ちゃんが無事でぇ…………」
そのままむぎゅうっと巴樹を抱きしめ、佳穂は言う。
だが、困惑しきっている巴樹にとっては逆効果。
「えええええええええええ………………………?」
ぽかーんとしたまま、巴樹は隣に立つ利人に、目で助けを求める。
利人は、苦笑いしながら話し始めた。
「実はな……………」
次回は、ちょっと時間が戻って、佳穂・悠ペアから始まります。
あと、鳴海とかがやってたのって、監禁罪じゃ…………と内心思ってますが、スルーで(苦笑)




