其六十一
少し文など変ですが、後々また修正します。
アリスのお話が、所々変かもです。
私なりに書いたので、許してください。
(ん…………………?)
少しの間の後、巴樹はある部分に違和感を感じた。
ある部分、それは、先ほどのアナウンスのことである。
(どこかで聞いたことがあるような……………………?)
周りの人達も、何かざわざわとしていたが、劇が始まったのでざわめきは収まった。
「待って!ウサギさん。待ってったら!」
水色のワンピースに真っ白なレースの付いたエプロン。栗色の髪のてっぺんには、黒いスカーフリボンが跳ねている。
場面は、アリスが穴に落ちる少し前である。
すると、突然アリス役の佳穂が、ワンピースの端をつまんで、走っていた台の上からピョンッと飛び降りた。
それと同時に、後ろの背景が目まぐるしく下から上へと変わっていく。
(これって、穴を落ちている演出なんだ!すごい!)
後ろの背景の絵は、様々な色の水晶や苔、草花、そして、今度はたくさんの棚の絵になる。
あまりのクオリティの高さに、巴樹は思わずほぉっと感嘆の声を洩らす。
「まあ、なんて不思議な穴なの?一体どこまで続くのかしら。」
佳穂の演技も、観ている人を劇の中に引き込むような力強さがあった。
巴樹は、しばらくこれが文化祭なのではないかと勘違いしてしまっていた。
「まあこんにちは。」
「やあ、何でもない日を祝う、ティーパーティへようこそ。」
「こっちへ座って!」
「いえ、私はただ、道を聞きたいだけで、」
事件が起こったのは、アリスが帽子屋たちと出会って、お茶会に招かれている場面のことであった。
途中で席が一席空き、巴樹は、扉の近くの席で劇を鑑賞していた。
「きゃぁあぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」
突然、外から悲鳴が聞こえてきたのだ。
そして、たくさんの人々が逃げ惑う怒声と足音、そして、何かを踏み潰すような大きな足音。
大きな足音。
ドスンッ、ドスンッ、と、まるで巨大怪獣が暴れているような音。
その音に、巴樹は嫌な予感を覚える。
「……………まさか。」
ぼそりとつぶやくと、巴樹はガタンッと椅子が転がるのも気にせず、体育館の扉をあけ放つ。
勢い勇んで飛び出すと、巴樹はそのまま固まった。
(うそでしょ………………、なんで、"また"……………)
驚きに満ちた巴樹の視線の先には、
あの、見慣れた姿……………そして、「そんなに空気読みたいのか!!」と言わんばかりの造形、ゴ○ラの形をしたクラが、校舎へ向かって前進しているところであった。
ぽかぁーんと口を半開きにしている巴樹。
すると、その隣に誰かが駆け寄ってくるような足音が聞こえてきた。
「おぉ………おぉおぉお?」
「これ………………」
「うわ、マジかよ……………」
聞き慣れた声。
佳穂、悠、そして、右隣からした、もう一つの涼やかな声、今、一番いるはずがない人の声。
「り、利人さんっ?!」
びっくりして見上げると、不服そうな利人の顔が巴樹を見下ろしていた。
「なんだよ、いちゃいけねーのか。」
「いっ、いやいやいや!!ってことは!もしかして、あの時のアナウンスっ!!!」
「俺ですけど。」
「やっぱりっ!」
「ちょちょっ、二人とも!今はそんなこと言いあってる暇はないよ!」
小さな言い争いが始まりかけ、佳穂が二人を叱咤する。
その言葉に、二人が一瞬で口をつぐむ。
「鶴の一声、ってか。」
佳穂の横で、悠がそうぼそりとつぶやいた。
「予想外、なんだけど。」
これは、あのゴ○ラクラが現れる少し前。
校庭の隅で、一人の少年がそうつぶやく。
「いえいえ。まあ、手慣らし、ということで、よろしいでございましょう?」
「……………でも、よりによってなんで今日なんだよ。」
どうやら、会話の相手は、少年より年上の男の人のようだ。
濃い青紫の髪に、チョコレート色の真ん中が谷のようになっているカウボーイハットを被り、カウボーイとは真逆の灰色の執事服を着た男性だ。
「こちらの都合が少々重なりまして。今日しかお迎えに上がれないのでございます。」
その男性は、とても礼儀正しい敬語を使って、自分より年下の少年に話している。
「だからって、なんで造り上げる必要がある。」
「まあよろしいではございませんか。もともと、この式典のために、一,二週間ほど前から準備を重ねていたのですから。」
「…………………………。」
その男性の言葉に、少年は黙り込む。
そして、少しの間の後、言った。
「分かった。俺も、少し肩慣らしに力を貸してやるよ。その代わり、"帰る"前に少しだけ時間をくれ。」
「もちろんでございます。貴方様から直々にお力をお貸ししていただけるなど、身に余る幸福。」
「幸福なんて、欠片もないくせに。」
ぼそっと嫌味を吐くと、少年は静かに男性の額にその白い手を当てる。
すると、その手の下から紫色の光がボオッと光り、男性が「うっ」と小さくうめいた。
「それぐらいで、いいだろ。」
「有難うございました……………」
男性が苦しみながら頭を下げる。
少年は後ろも振り向かずにそのままグラウンドへと戻っていった。




