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ドラゴンすくらんぶる!  作者: 葉月 都
第漆章 皐月の組紐と予感
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其五十五

意味深な終わり方すぎだぁー!

でも、絶対にすっきりさせます!


「ちょ……巴樹ちゃん?大丈夫?」

「巴樹、ちゃん………無理しないでね。」


「うん………」


寮に帰ってくると、やつれた巴樹の顔を見て、奈濟さんとレナが声をかけてくる。

作り笑いを浮かべ、巴樹は自分の部屋へ戻っていく。


(はあ……はあ……はあ……………)


部屋の中へ入ると、そのままベットになだれ込み、巴樹は静かに目を閉じる。

その瞳からは、微かに涙がこぼれていた。




今日は、とにかく巴樹にとって記憶に残る一日となっていた。


今朝からの無視に加え、地味ないじめ。

筆箱を隠されたり、机に落書きされたり。


どれも程度の低いものではあったが、その頻度が問題だった。


何度も先生に言おうとしたが、何かしらで邪魔されてしまう。


最初は女子数人によるものであったが、どんどん人数が増えていき、最終的にはクラスの女子の三分の二に渡っていた。




(なんで、こんな目にあうの……………?)


しかも、そのいじめの主犯格が、なんと鳴海なのである。


巴樹にとって鳴海は、一番最初に話しかけてきてくれた女の子で、信じていた友達だったのが、たった1日でこんなに関係が成り代わってしまった。


巴樹は結局、ご飯も食べず、次の日には調子が悪いからと伝えてもらい、学校を休んでしまった。

ドアの外では、心配そうに奈濟さんが立っていた。





(近頃は、やけに邪気が多い)


一人教室で読書をしているきいは、ふとそう思った。


隣の席はカラッポ。


巴樹がふさぎ込んでしまってから、あっという間に丸二日が立った。

教室の話題と言えば、近づいてきた皐月祭りのことで持ちきりだ。

巴樹のことなんて、まるで、そんな人がいなかったかのようになっている。


きいは気がついていた。


最近、巴樹が女子に何かされていることを。


と言っても、実際にやられていることは分からず、ただ、教室をまとう邪気………憎しみ、嫉みなどの陰の力、呪の力が増えてきている。そして、邪気のむけられている先が巴樹だということからそう考えたのだ。


でも、きいは助けられなかった。

というよりも、『助けることができない』のだ。


自分の拳を睨みつけ、きいは思う。


(……………こんな時に、深くかかわらないほうがいいからな。)


暗く沈む心をなだめ、きいはもうほとんど読み終わった厚い本を横目で見つつ、窓の外の青空を見上げた。


(こーゆー空が、いつまでも続けばいいのに)


空を見るきいの瞳は、あの時のように悲しく細められていた。

と、その時。


「こんにちは。信重さんいますか?」


教室に、キリリとした声が響き渡る。

その声に、突如辺りがざわめきだした。


きいが顔を上げると、教室の戸の近くに、見知った顔ぶれ…………


佳穂、悠、小冬が立っていた。


「……………………。」


佳穂は可愛い後輩がいるためか、笑顔をつくっているが、奥の二名は難しそうなまじめな表情できいの方を見ていた。

その沈黙から何か読み取ったのか、きいがすっと立ち上がり、三人のもとへ歩いていく。

そして、小さな声でつぶやいた。


「……………邪気の件ですか。」


無言でうなずかれ、きいは静かに床へ目をそらす。

「失礼しましたー。」と言う佳穂の声を後ろに聞き、佳穂以外の三人は、昼休みで少し騒がしい廊下を進んでいった。



「さすがだね。やっぱ。」


人が少ない踊り場で、小冬が口を開いた。

その言葉に、きいは小冬を睨みつけて言う。


「バカにしないでください。」

「怖い怖い」


小バカにしたような言葉に、きいがますますイライラを募らせていると、黙っていた悠が言った。


「…………………そっちの対処法はないわけ?」

「あったらどうにかしてます。」


はたから見ればすべてが謎な会話だが、先ほどの二人の話も、二十七族生の者であればだいたいは分かるであろう。


余計なことを省き、聞きたいことだけを聞く。


お互いが信頼し合っているからこそ成せることが出来るのだ。


「それでー、ちょっと話変えるけどさ。」


遅れてやってきた佳穂が、きいの瞳を見つめて言った。


「今度のは、いつ頃くると思う?」


少しだけ考えた後、きいはぼそりと答えた。


「ちょうど、皐月祭りの日ではないかと。それなら、"食いやすい"。」


その言葉に、三人の表情がより一層険しくなる。

しばしの沈黙があった後、佳穂が言葉を発した。



「じゃあさ…………"キミ"は?」



すると、きいの表情が曇り、そっと瞳を閉じて言った。



「約一か月」




その数字がなにを意味しているのかは、彼らの心の中でしか



分からない。









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