其五十四
さあ、ドラすくも、第一シリーズ終盤への一歩に向かって始まりました!
でも、まだまだ続きますよ~
どうか、最終回まで見てってくださいね。
「ねぇねぇ、茉奈。」
「あ、巴樹…………………ちょっとごめん、今は無理……………」
「分かった…………」
「あっ、優香ぁーー!」
「ん?………巴樹か。ちょっと後にして。」
「りょーかい………」
「鳴海ちゃんっ。」
「ごめん、今ダメなの。」
「うん………」
三人目になって、巴樹はさすがに異変に気が付いた。
(なんか、私、無視されてる?)
朝の出来事の後からなんとなく、クラスの女子達からの巴樹への対応が変わっていた。
巴樹が何か話しかけると、理由をつけられて断られる。
それが幾度となく続いているのだ。
今、自分の机にて、脳内会議を行っている最中なのである。
〈なんで、私無視されてるのっ?!〉
〈私、なんかやったっけ?〉
〈やっぱり、原因は朝の出来事……………だよね。〉
〈うそーーーーー!気に障ること言ったのかなぁっ!?〉
大混乱する頭の中を、いったん落ち着けようと頭を抱えたその時。
「落ち着け」
ぼそりと後ろから男子の声がする。
びっくりして後ろを振り向くが、今は休憩時間なので、男子はそこら中にいる。
(あれ?どっかで聞いた声な気がするんだけど………)
首をかしげて声の主を探ってみるが、ぐちゃぐちゃの思考ではどうにもできない。
(でも、さっきの言葉のおかげで、ちょっぴり落ち着いたかも……………)
スー、ハーーー、と深呼吸をして、巴樹は笑顔をつくる。
どこかで、無理してでも笑えば元気になってくる、と聞いたことがあるからだ。
「よし。大丈夫。」
そう自分自身に言い聞かせると、巴樹は窓の外へと目を向けた。
「失礼します」
その日の昼休み。
職員室に訪れる、一人の少女がいた。
「二年の南です。冷野先生はいらっしゃいますか?」
「あ~………冷野先生~」
ドアの近くにいた男の先生が、窓際に座る白髪の女性を呼ぶ。
パソコンの画面から顔をあげ、少女の姿を目に入れると、彼女はすっと立ち上がる。
「ありがとうございます。」
男の先生に頭を下げると、二人は目くばせし合って、なにやら会話する。
そして、連れ立って職員室から出ていった。
人気のない、職員室の上辺りまでくると、少女……佳穂が口を開いた。
「小冬さん。気づきましたか?」
「開口一番の言葉が唐突すぎじゃない?」
苦笑いしながら、女性……小冬が言う。
だが、すぐにまじめな顔に戻って答えた。
「………もちろん。一応私も二十七族生ですから。」
「ふふ。そうですね。」
小さく微笑み、佳穂が言う。
すると、人がいないはずの廊下から、低く凛とした声が聞こえてきた。
「…………密会か。」
その声に、ぎくりと肩を揺らす佳穂。
ゆっくりと振り返り、佳穂は言った。
「悠………密会では、ないから。」
「密会じゃないんなら、なんで気配を消してまで教室を出たんだ?」
「(@_@;)」
その時。
突然佳穂の隣から笑い声が聞こえてきた。
「あは……ほんとに仲いいわよねぇー………あははははは!」
「「\\\\\\\\\」」
二人が苺化した瞬間、鉄がすれるような音が聞こえる。
刹那
小冬が後方に飛び下がる。
「ツンデレと避けは上手いですよね。」
「っ\\\ツンデレじゃない!」
悠が黒天の先を小冬に向け、追い打ちの毒に反撃している。
すると、
「おい、誰だー、上で騒いでんのはー!」
三人がぎくりとした表情になる。
どうやら、めちゃくちゃにやっていたのがばれたのであろう。
どんどん足音が近づいてくる。
黙りつつもパニックを起こす小冬と佳穂。
だが、悠だけは冷静だったようで。
はぁーとため息をついてつぶやく。
「ほんとは使いたくなかったんだけど」
すると、腰元の小さなウエストポーチに視線を向け、その中から薄紫色の符を取り出し、二本の指で挟み、言った。
「龍幻龍術 我らを隠し給え」
符がパチンッと弾けるのと、先生が姿を現すのはほとんど同時だった。
廊下をきょろきょろと見て、その先生はぽつりとつぶやいた。
「ん……確かに話し声が聞こえてきたんだが……気のせいだったか………」
少しだけ辺りを見渡してから、その先生は去っていった。
しばらくして。
どこからか三人が姿を現す。
「ふぅ……………」
「ナイス機転!悠。」
「やるじゃない。」
二人が悠の肩をポン、と叩く。
苦笑いを浮かべ、悠は言った。
「龍符を持ってきておいて良かった。」
学校でもしものことがあったら、のために、悠他数名の龍精は、学校に符を持ってきている。
普段は龍の力を悪用(学業に支障をもたらす行為)しない、というのが絶対的なルール。
(まあ……緊急事態ってことで。)
脳内で、悠は符を使ったことを言い訳する。
ふうっと一息ついたところで、佳穂が口を開いた。
「今朝から、一年生の棟から呪の力を感じるの。しかも、ちょうど巴樹ちゃんときいくんがいるところ。」
【ドラすく用語紹介】
〈龍符〉
龍精の使用する札のこと。
二十七族生のみ色がついているものを所持。
用途は様々。
話中では「符」または「龍符」と記載。




