其五十二
間違えてだいありーの方に投稿してました(>_<)
すみません
えっ…………??
理衣ちゃんの目は、何か恐ろしいものを見ているかのようで。
怯えたように、理衣ちゃんは私の肩をがしっと掴み、真剣に訴えかけてきた。
「巴樹ちゃん……………お願い……………きいさんに……………あまり……………」
でも、途中で言葉を濁らせて、下を向いてしまった。
きいくんに、あまり?
だけど、どうしても言葉の続きが気になる私は、逆に理衣ちゃんの肩を掴んで言った。
「言って。なんでも聞くから。」
その言葉に、少し戸惑うような表情の後、理衣ちゃんは小さくつぶやいた。
「あまり、油断しないでください。」
「油断………?」
油断しないで……って、どういう意味なの?
そう追求したかったけど、私は口を閉じた。
その悲しげに細められた理衣ちゃんの瞳は、「これ以上は話したくない」と無言で告げているかのようだった。
「とにかく、頑張ってください!巴樹ちゃん。」
「え、あ、うん………」
「それでは私は、先に寝ちゃいます。おやすみで~す」、と、理衣ちゃんは、タロットカードをまとめると、ひらひらと手を振って二階へと上がっていった。
キッチンで食器の片づけをしていた奈濟さんが、理衣ちゃんに「もう寝るの?!」と驚いたように声を上げたが、理衣ちゃんは苦笑いして上へ上がる。
そんな会話を後ろに聞きながら、私は視線をテーブルの上に移す。
あ………タロットカード………
持っていくのを忘れたか、取り損ねたのか、巴樹の引いたカードの恋人と、そして、白い馬に乗った骸骨騎士が描かれたカードが二枚表になって残っていた。
骸骨騎士の絵の下側には、「DEATH.」と書かれている。
えーと……確か意味は……「死神」?
そういえば、前に茉奈の読んでいた本の挿絵に、骸骨の体にボロボロのフードマントを羽織ってて、大きなカマを持った死神の絵があって、優香と三人で「こっわぁー」って言いあったっけ。
少し本でみたのと違うけど……って、共通点が骸骨なだけもするけど、まあ、いいか……このカード、なんだか気味が悪いなぁ………
その時、習っている塾から帰ってきた御津葉ちゃんが、私の持つ二枚のカードをのぞき込んできて言った。
「あれ?それって理衣ちゃんのだよね?大事なものみたいだし、届けてあげたら?」
「うん。そうだね。そーするよ。」
私はカードを手に、二階へと上がっていく。
その後ろ姿を見ながら、御津葉ちゃんがぽつりとつぶやいた。
「…………………死神、かぁ………………」
御津葉ちゃんのその呟きは、私の耳には届かなかった
コンコンコン
「はーい」
「理衣ちゃん、巴樹です。」
「ん?巴樹ちゃん?」
少しの間の後、目の前のドアがガチャリと開いて、寝間着姿の理衣ちゃんが姿を現した。
私がタロットカードを渡すと、眠たげだった理衣ちゃんの表情が、ぱああっと輝いた。
「あっ、ありがとっ!全然気づかなかったよ!」
「良かったぁ。」
ほっと胸をなでおろす私。
「それじゃね。」と引っ込む理衣ちゃんを見て、私は慌てて叫んだ。
「ちょっ、ちょっと待って!!」
その声に、理衣ちゃんは驚いたように振り向いた。
「?なに?」
「あ、あのね!、その、死神のカード、どういう意味があるの?」
理衣ちゃんの持つ、死神のカードを指で指示し、私は聞く。
その問いに、理衣ちゃんは少し考えるような素振りを見せてから言った。
「んーこの位置は………………反転したみたいに生まれ変わるって意味だよ。」
「……そっか。ありがとう、理衣ちゃん。…おやすみ。」
「うん。おやすみ~」
にっこりと微笑み合い、理衣ちゃんは扉を閉じ、私は左隣の自分の部屋へ戻る。
部屋に入ると、私はベットにダイブする。
スプリングに跳ね返されながら、私は考えていた。
「反転したみたいに、生まれ変わる、か……………………………」
きいくんの態度が、反転しちゃったみたいになっちゃったのと、関係があるのかな………
……………まさか。あくまで占いだもん。
気にしない、気にしない!
私は、頭に浮かんだ考えを振り飛ばし、布団の中に潜り込んだ。
その頃、巴樹の隣の部屋では。
「どうしよ………」
笑顔で巴樹を送り出した後、理衣は手元のカードを見つめた。
その視線は、まっすぐに死神のカードへと続いている。
「……………ごめんね、
本当にごめんなさい
巴樹ちゃん。」
部屋の中には、理衣のすすり泣く声が小さく響いていた。
夜空に浮かぶ月は、星とともに、三人の部屋の中を淡く照らしていた。




