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ドラゴンすくらんぶる!  作者: 葉月 都
第伍章 隠したいこと、護りたいこと
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其四十一

少し短くなっちゃいました。

でも、やっと出てきますよーっ!?


「ん~………」


巴樹は、まだ眠たげな瞳を開き、少しだけ頭を上げる。

肩にかかったフリースが、ぱさりと床に落ちた。


「あ、れ?」


一瞬記憶がなくなっていたが、すぐに戻ってきた。


(そ、そうだ……私、あのままきいくんの部屋で…………。)


ボヤ~とした部屋の風景を見ながら、巴樹は思う。

パチパチと何回か瞬きをしていると、だんだん景色がはっきりとしてきた。


きょろきょろと辺りを見ていると、巴樹の目に、窓辺に手をついて眠るきいの姿が映った。


(ふふっ………なんだか子供みたいっ。)


微笑ましく見守っていると、そこで初めてきいの肩に何もかかっていないことに気が付く。

ゆっくりと近づくと、掛けてくれていたフリースをきいの肩に掛けてあげようとする。


すると、ふんわりと、どこか甘ったるい匂いが巴樹をまとう。


その香りに、ぶるるっと身震いをして、巴樹は思った。


(っ………な、なんだか、思考がとろけそぉ………。)


一度かいだら、頭から離れなくなりそうなその匂いに半分負けつつ、巴樹はフリースを掛けてあげた。


すやすやと眠るきいを見て、起こさないようにゆっくりとベットから降りる。

音を立てないよう、最小限の動作でドアを開け、巴樹は小声で言った。


「お休み、きいくん」




一階に降りると、何か利人と佳穂が真剣な顔で話し合っていた。

寮員達は、それぞれの部屋に戻っていったようだ。


トントントン、と足音を立てて近づいていくと、二人がびっくりしたようにこちらを振り返った。


「っあ………なんだ巴樹ちゃんか。びっくりした。」

「なに?」


「え、いや、別になんでもないんですけど………。」


そこまで言って、一つだけ気になったことを思い出し、なんとなく二人に問いかけてみた。


「でも、なんであんなにきいくんは眠ってるんですか?まるで術にかかったみたいに。」


二人は顔を見合わせ、なにか目くばせした後、利人が口を開いた。


「じゃあ、これだけなら言ってあげる。

あんたの読み通り、きいは、



術にかかってるんだよ。



というか、体が疲れたんじゃないの?」


意味深な利人の言葉に、首をかしげる巴樹に、苦笑いしながら佳穂が付け加えた。


「まあつまり、あの昏睡状態は、術の副作用みたなものだよ。」

「へーぇ………。」


ほうほうとうなずく巴樹。

「利人さんは、言葉が足りなすぎるよ、どっかの誰かさんみたい。」と佳穂は利人をにらみながら言う。




その時。





ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……………………!!!





ものすごい地響きがして、食卓の上の調味料や、キッチンのグラスやお皿が大きく揺れる。

三人は辺りを不安そうに見渡して、誰からということもなく外に飛び出す。


「利人さんっ!割れ目はどこっ?!」

「あっちだ!!」


いまだ鳴りやまない地面の鳴動に揺れながらも、三人はあの空地へと歩みを進める。


「どこへっ!?」


声を響かせて巴樹が聞くと、佳穂が焦ったように叫んだ。


「軈之球のある場所!!!!」

「っ?!」


その言葉に驚きながらも、一生懸命着いていく巴樹。

すると、ふと空を見上げた巴樹は、あるものを目にした。


「あっ、あれっ、て!?」


その声に気付いたのか、前を走る二人も空に目をやる。


真っ青な青空に、見覚えのある紫と黒の勾玉が二つ合わさった形をしたあの球体………

しかも、尋常じゃない大きさの。



軈之球




が、出現していた。


一瞬で、青かった空が赤黒く染まる。

そして、どこからかクラの声も聞こえてくる。


「っ………仕方ないっ!!」


悔しそうにそう吐き捨てると、佳穂は黄色の符を取り出し、叫んだ。




「全体個別結界開放!光龍っっっ!!!」




苦しそうな表情を浮かべ、黄色い光を放つ佳穂。

すると、佳穂の中から、一匹の金色の龍が現れ、天高く上っていく。


上空で、その龍がはじけた。

そして、伏見町全体に散らばっていく。




バタリ



地面に崩れる音がして、巴樹が視線を移すと、


コンクリートの道に、佳穂が倒れこんでいた。


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