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ドラゴンすくらんぶる!  作者: 葉月 都
第肆章 真実への戦い
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其四十

最近、意味深な終わり方ばっかですね

でも、そのほうが気になるかと思い………(苦笑)


きいを支えてきた男の人………利人から、巴樹達は簡単な事情を聞いた。


どうやら、軈之球の調査中に、巨大な穴を見つけ、そこに小さな子供が落ちそうになっていたのをきいが助けて、逆に自分が落ちてしまったらしい。


だが、巴樹はあんまり納得できなかった。


「穴に落ちただけなのに、なんであんなにやつれてるんですか?」


少し、うっとつまった利人だったが、コンマ数秒で元通りの無表情に戻り、言った。


「その前に、クラの大群に襲われたんだ。数が多くて、気龍の消耗が激しかったんだ。」


まだ少し疑いつつも、巴樹はなんとなく納得した。

そこで、巴樹は別のことに気が付いた。


他のみんなが、お互いの顔を見合わせて、不安そうな表情を浮かべていたのだ。


巴樹は思った。


(私に隠していることが、みんなには、あるんだ。)


と。




「………うわ…これは大変だわ。」


三分ほどして、睦月寮に佳穂がやってきた。

いつもと同じ、パーカにジーンズのラフな格好で。


部屋で寝かされているきいを見て、佳穂は眉根を寄せてそうつぶやく。


「ひどいんですか?」


付き添っている巴樹が聞くと、佳穂は笑って言った。


「まあね。でも、治せないほどではないよ?」


そう言うと、真面目な表情になって意識を統一させる佳穂。

すると、佳穂の体から、オーラのような金色の光があふれだす。


右手の人差し指と中指を合わせて立て、鼻にくっつけ、佳穂は言った。



癒光龍治ゆこうりゅうち、光優石火。」



と、突然、きいの体から水色の光がほとばしる。

でも、数秒ほどで消えてしまった。


「え………?」


唖然とする巴樹に、佳穂は笑いかけた。


「心配そうな顔しなくていいよ?もう、大丈夫だから。」


でもそう言われても、巴樹は、どこか苦しそうな表情を奥に秘めた佳穂を見つつ、いつまでも心配そうな顔を崩さなかった。




佳穂が一階に降りて、何かみんなに話している間、「しっかり休ませてあげてね。」と言い残され、巴樹はきいの容体を見ていた。


すやすやと眠るきいは、気持ちよさそうな表情で瞳を閉じていた。


(よく見ると……きいくんって、すごく整った顔立ちをしてるんだなぁ…そりゃあモテるはずだよ………)


顔にかかっていた黒い髪を、少しだけ額から落とす。

一房の髪は、水が流れるように落ちていった。


ぐるりと部屋を見渡し、巴樹は思う。


(前にも来たことあるけど……やっぱりすごく清潔……整頓されてるなぁー。私はちょっと苦手だよ。)


自分の部屋の惨状を思い出し、苦笑いする巴樹。

お見舞いで持ってきていたイチゴを、ついついパクリと食べ、口の中に広がる甘酸っぱい味にほんわかとなる。


(なんだか、眠くなってきちゃった……)


しばらく前から眠くなりかけていたが、なんとか我慢していた。


だが、どんどん大きくなってくる睡魔に負け、ふわぁあ……とあくびをすると、きいの眠るベットのふちに頭を預けて、先ほど寝たばかりなのに、巴樹は目を閉じた。



部屋に一時の静寂がおとずれる。



それから少しして。


「ん………。」


小さくつぶやきを漏らし、ゆっくりときいの瞼が開いていく。


いつもと同じ、茶色と黄土色の混じったような屋根が一番最初に目に入る。

起き上がったきいは、布団にかかるかすかな重みを感じ、そちらを見る。


その水色の瞳がある人の姿を捉え、静かに細められる。


そこには、幸せそうに微笑みながら眠る巴樹がいた。

あどけない表情に、思わず顔が緩む。


肩をゆっくりと落とし、今まで聞いたことのないほどやさしい声音で、きいはつぶやくように言った。





「ありがと……。後、………『ごめん』。」




そうつぶやくと、そばにあったフリースを巴樹の肩にかけてあげた。


そして、きいは、そのままの体勢で、窓の外の景色を眺め、難しい顔をする。



「絶対に、『あんた』の好きにはさせないから。

こっちには、




封じの姫





がいるんだからね。」








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