其三十七
説明重視の回になりました(苦笑)
おかげで、昨日は大変な目にあいました………
「武器の名前?」
ゆゆと二人で猛ダッシュして帰ってきた巴樹は、自分の部屋で話を聞いていた。
(そー言われてみれば、そーかも………)
「巴樹様の扇は、『風華』でしょ。で、前世の名前も『風華』。七橋家に行って、調べてきたよ。
言われた通り。
全員、ってわけじゃあないけれど、武器の名前とその人の前世の名前とが一致してた。」
はむっとおやつに持ってきたクッキーをほおばるゆゆ。
だが、巴樹はその間も考え込んでいた。
そして、ある一つの結論に至った。
「もしかして、私たちの武器を作ったのは、私たちの前世、ってこと?」
「ほふ!」
三個いっぺんに食べ、「そう!」とうなずくゆゆを見て、巴樹はつぶやくように言った。
「ううー、なんか引っかかってるような………。」
すると、クッキー三つを食べ終えたゆゆが、満面の笑顔で笑った。
「あとね~、いい情報が手に入ったの~っ!」
「?」
にひーと笑うと、ゆゆはもったいぶってから言った。
「ええっと、………『龍神の洗濯』だったっけ?」
「『龍神の神託』、じゃないかな?」
「あ、そうそう!その洗濯の呪文を唱えることで、さらなるぱわーあっぷが出来るんだって!」
「………神託ね。」
苦笑いしつつも、巴樹の目は真剣だった。
龍神のせんt……神託とは、龍神、すなわち龍精にとっては神である、四神の一人、【青龍】からのお告げのことである。
神託を受けられる者は限られていて、青龍に認められることで下されるのだ。
神託の呪文は、別名『龍衣』とも言われ、伝説ではあるが、ゆゆの言った通り、力の増幅と更なる『何か』を授かるらしい。
いまだ、神託が下されたものは、たった三人しかいないという。
「でも、それと、私たちの前世と、どう関係しているの?」
ずっと頭に引っかかっていた疑問を、ぽつりとつぶやく。
すると、今度はにやりと笑ってゆゆは言った。
「じゃあ、私が聞いてきたのを、巴樹様の場合として話すねー。
前世が風華=封じの姫の巴樹様はー、同じ『風華』っていう武器を持っているよね。
武器のほうの風華には、封じの姫の力が入ってるでしょ。
この前…巴樹様がこっちに来てから、少しして起こった、號の事件。
あの時は、『怒り』のまま、封じ込めの力を使ったでしょ。
だから、体が弱いのもたたって倒れちゃった。
巴樹様の前世の方の風華は、魂としては、巴樹様に変わったけれど、意識としては扇に宿っているんだ。
あの時は、二つの風華が止めたこともあって、なんとか治まったの。
でも、もし、巴樹様の体が弱くなくって、風華が前世じゃなかったら、風龍が暴走して、大変なことになっちゃったかもしれないんだ。
つまり、洗濯=龍衣には、力の暴走を止める力があるんだ。
そして、龍神の洗濯は、前世と現世の魂を絡み合わせる力をも持っているんだ。
んー、話しててよくわかんなくなってきちゃった。
つまり、武器に込められたその人の前世の意識と、その人の意識が合うことが、龍衣っていうこと!」
「?」
やっぱり巴樹もよく分からなかったようなので、ここで簡単に説明しよう。
まず、前世=風華は、風華が死んで、生前かけておいた術によって、魂と意識として分離する。
魂は、現世の人物=巴樹に転生するが、意識は、前世風華によって作られ、意識の宿る場所とされた、扇 風華に宿る。
そして、號の事件によって、クラの発生条件、悪い感情を巴樹の体内に増幅させてしまったため、魂である風華が、怒りとともに、力を爆発させてしまった。
風華の魂は、巴樹と一心同体。
怒るのは当然。
だが、封じ込めの力がまだ完璧にコントロールしきれていなかったため、暴走してしまう。
でも、扇 風華に宿る意識と、巴樹に宿る魂風華がいたことによって、暴走が抑えられた。
たまに、自分の中の前世の魂が、クラの発生条件で暴走してしまうことがある。
その時は、現世の人間の力が弱ければ弱いほど、自我が保てなくなる。
だが、ごく稀に、巴樹のようなことが起こる。
ほぼすべての人が、魂と意識に分離するというわけではないが。
まあでも、だいたいこのようなことである。
「でも、偶然にしては出来すぎてるよ。
たまたま、私の武器に風華の意識が宿ってて、偶然私が封じの姫だったなんて。」
うーんと首をひねって、巴樹は悩む。
ゆゆも、似たようなポーズをして、ほっぺたをぷくっと膨らませる。
「しかも、ふわりさんも同じ時代に前世の魂を持っているんでしょ?
おかしすぎるよ。」
「………それなんですけど、私から少し助言させていただきます。」
戸惑いの巴樹の言葉に合わせたかのように、聞いたことのある、か細い鈴のような声がすぐそばで響く。
ばばばばばっ!っと巴樹の左横を二人が見ると、そこには、ふんわりと微笑んだ、きいの式神、みゆがちょこんと座っていた。
巴樹の声にならない叫び声が、睦月寮に響き渡った。
【ドラすく裏秘話こーなー】
前世のことは、本当は入れようと思っていませんでした。
でも、なんとなくそっちのほうが面白いかも!とふと思い、二十七族生の龍精の前世一覧を急遽作ったのです。




