其三十
おー、とうとう三十かぁー。
私、頑張ってるなぁ………
あ、それと、最近【ドラすく誕生日公開こーなー】をかけなくてすみませんっ。
また、頑張ります!
「きっ、きいくんっ!どこ行ってたの?」
きいが帰ってきて早々、玄関で巴樹が飛びついてくる。
「………別に。」
こちらも、いつも通りの二文字反応である。
毎度毎度のことで、さすがに全員慣れている。
「まあ、巴樹ちゃん。いつものことだし。」
「え?そうなんですか?」
苦笑いする理衣の言葉に、少し首をかしげる巴樹。
数週間ほど睦月寮で暮らしてきた巴樹だが、きいの不思議な言動に、いまだ困惑している最中であった。
「あのー、俺のことはどーでもいーので、そこどいてもらっていーですか?」
完璧なるつくり笑顔のもと、きいは二人の間をくぐり抜け、リビングへと入っていく。
「ねぇ、巴樹ちゃん。」
ふいに、いつの間にか後ろにいたレナが巴樹に声をかけた。
「なんですか?」
「今度さ、………あのきいの『………別に』に、呼び名付けない?」
巴樹と理衣は、二人して苦笑いした。
(まあ確かに……)
(口癖みたいだよね……)
そして、次の日。
コツン、コツン、
巴樹は、窓ガラスをたたく音によって目を覚ました。
かなり小さい音だったが、起きかけていた巴樹にとってはしっかり起きれるものであった。
ごそごそ…とベットから出て窓の方を見る。
が。
そこには誰もいなかった。
瞬間
巴樹のその緑色の目がぱっちりと開かれる。
いそいそと着替えを済ませ、風華を持つと、窓から外に出る。
(な、にか……あったのかな……)
確実な確証はないものの、なにか嫌な予感がする。
巴樹は、直感的な方向の元、屋根の上を走っていった。
(な、……なんだ?この数っ………)
七倉を少しすぎた、隣の月見市との市境にある森。
海がすぐ近くにあるこの場所は、たまにきいが遊びに来たりしている休憩場だ。
朝、大きなクラの気配を感じ、きいはこの場所にやってきていた。
予想通り、クラを発見したのだが………
(ケタ違いだろっ?!)
今は、一本の白樺の木に登って様子をうかがっているが、まるで、森中の木がクラになり果てたかのようだった。
二十五メートルプール十個分ぐらいの大きさをしているこの森だが、だいたいビル二階分のクラがうようよしているおかげで、少しでも身動きをすれば見つかってしまう恐れがある。
来た時に少しだけ空霊と天命でクラを祓ったが、きりがなかったため、このようなことになっている。
技を使ってもいいのだが、その分体力を消費してしまうためできないのだった。
その時。
「あーあ。やっぱりー。」
蔑のような楽しげな声が近くで聞こえる。
その低そうな、でも少し高い声は、きいにとって聞き覚えがあった。
「なんで、あんたがここに。」
後ろを振り返ると、そこには、紫色のミディアムヘアに左が赤、右が黄色という、珍しいオッドアイをした男性が、白色のロングマントを羽織り、青と紫のまじったような大太刀を手に立っていた。
きいは一度言葉を区切り、その男性を水色の瞳で睨みつけながら言った。
「冷さん」
冷はにやりと笑い、大太刀を構えなおして言った。
「久しぶり~、きい。」
「………。」
親しげに話しかけてくる冷に、きいは黙ったままつぶやく。
「まさか、あんたの仕業ですか?」
二人の話し声に気づいたクラ達が、こちらを囲むように集まり始める。
「よく分かったじゃん。さすがぁ。」
「即刻やめてください、その悪趣味。」
「おーおー、怖い怖い。」
「その大太刀。」
冷の皮肉をスルーし、きいは、冷の持つ大太刀に目線を合わす。
「それのおかげで、朝早くたたき起こされました。」
「ごめんごめん。」
「棒読みですね。」
きいがそう言うと、冷が小さく笑い、大太刀を構え、木の根元へ降りる。
それを見て、きいも二つの刀を構え、隣へ降り立つ。
「まあ、ちょっとだけ力を分けたのはそうだけど、このクラ達は発生しただけだよ。」
「分かってます。」
すると、突然冷が大太刀を地面に突き刺す。
そして、叫んだ。
「闇祓、低下!大闇龍」
ふいに、冷を中心に、地面に紫色の光で描かれた、不思議な紋章がクラ達を照らす。
「きい?見つけたよ。」
「……了解。」
タンッと飛び上がり、きいは海の方向へ一直線に行く。
「祓い給え」
それを見た冷がそうつぶやくと、一瞬にしてクラ達が消えていく。
その時。きいは。
目的地である、あの二つの勾玉が合わさった球体へと二刀を向ける。
「空天霊命!」
上空からきいが急降下してきて、その球体を切り裂く。
少しして、バンッと破裂するような音がする。
祓われたのだ。
森に、静けさが戻ってきた。
冷は、何者なのだろうか………?




