其二十八
ふぉーーー。
朝早く起きてしまったので、書いちゃいました。
でも、いつもより少し長いかな?
「はぁー、楽しかったぁ……」
話は戻り、こちらは睦月寮一家である。
現在、白波の美波川ほとりを歩き、睦月寮へと帰っているところだ。
「………どこが。」
苦々しい表情を浮かべ、きいがぼやく。
「良かったわぁ。巴樹ちゃんが楽しんでくれたみたいで。来たかいがあったわ。」
奈濟さんが、巴樹のつぶやきに嬉しそうに答える。
後方では、御津葉と鳴海が仲良さげに話し込んでいた。
「おい。源人。」
隣を歩いていた源人に、きいが話しかける。
「ん?」とこちらを見た源人へ、さっそく数点の質問を投げかけた。
「なんでここに鳴海がいるんだ?それと、」
一度言葉を区切り、きいが言った。
「なんで、あんなに冷斗があいつらの後ろでニヤニヤしてんだ?」
そう。
まさにきいが言った光景が、後方でとり行われているのだ。
その光景に、あの合戦を知らないきいが不思議をもってもおかしくはない。
が、きい自身、だいたいなにがありそうなのかは分かっている。
「お前のお察し通りだよ。」
苦笑いしながら源人が言う。
「鳴海ちゃんは、家族と一緒に来てるんだってよ。御津葉と少し話したら帰るってさ。」
再び前を向き、源人は、きいと巴樹がいなかった時の合戦の話を始めた。
「ふうん。そんなことが……」
だいたいきいの予想通りだったため、反応は薄め…というか普通だった。
「いやー、やっぱ鳴海ちゃんって、面白いわ。」
思い出し苦笑いをする源人。
きいは、前方で奈濟さんと話す巴樹を見ながら、こう思っていた。
(ああ約束したけれど……嫌だなぁ………)
はあ、と珍しくため息をつくきいに、源人がびっくりしていたのは、いつものことである。
ちなみに、「約束したけれど」、とは?
少し場所と時間を移動してみよう。
「ねぇ、悠。」
こちらは、佳穂&悠の幼馴染コンビである。
ちなみに時間は、きい達が去った後ほどのことだ。
「なに。」
「悠は、きいくんや巴樹ちゃんのこと、どぉ思う?」
少しの間の後、悠がお弁当の中のタコさんウインナーを箸でつまんでから言った。
「どう思うって、……まあ、面白い二人だと思うけど?」
ちらりと佳穂を見て、つまんだウインナーを口の中に放り込む。
その瞬間、佳穂が絶叫する。
「ああああああ!」
ビクッと肩を揺らし、悠がこちらを見る。
「な、なに?!いきなり大声を出すな!」
「そ、それ、それ!」
半泣き顔で、佳穂が悠の口あたりと指さす。
ますますハテナ顔になる悠に、佳穂は叫んだ。
「最後に食べようと思ってたのにっ!」
「はあ?」
(悠いわく)くだらないことで叫ばれ、花見客が何事かとこちらを見ている方が、悠にとっては大事件だ。
「それなら先に自分の皿へ取っとけよ!」
「だって、王様ゲームの箸、どっちも私の使っちゃったし。」
「なんでそうしちゃったんだよ!」
「………分かんない。」
「バカか!お前は。」
ほとんど名物になりかけている論争に、幕を閉じた悠がお弁当から何かを出す。
そのまま、佳穂の口の中へ。
「むぐっ?!」
もぐもぐと口を動かし、何かを食べている佳穂。
やがて、口の物がなくなって笑顔で言った。
「くりきんとんだね。お正月の名残で作っといたやつ。悠が好きそうだから入れといたんだけど………」
口の中に残る、ほんのりとした栗の風味を味わいながら、佳穂はきょとんとして言った。
「でも、どうしたの?」
その問いに、悠は、少しの間の後口を開いた。
「だから……」
刹那
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!
毎度おなじみ、「あの」声が聞こえてくる。
一瞬で表情を変え、二人が振り向くと。
「うわ…なにあれ。」
悠があきれ顔で言う。
「クラの暴発、か……行く?」
その通り。
ビル三階分ほどの大きさのクラが、あちらこちらから現れて、花見客達を襲おうとしていた。
真面目な顔の佳穂にうなずくと、二人は符を取り出して、叫んだ。
「空間転移結界 光龍!出現 現れよ、光の宿りし黄色き刃を!」
「出現 現れよ、黒き龍の司りし黒き刃を」
客達に被害が及ばないよう、別の空間へと移動する。
と言っても、周りの人から見えなくする程度だ。
「じゃあ、さっさと終わらしちゃおう。悠。」
「りょーかい。」
二人は、一気に別々の方向へと走る。
クラ達が少し動揺したのを見ると、悠が、黒天の先をクラへと向ける。
「黒波優輝っ!」
その先端から、大きな黒いもやのようなものが丸く現れ、クラ達へと放たれる。
と、その時。
佳穂はあるものに気づいた。
(あれっ……あの勾玉のっ……)
なにを思ったのか、佳穂は、そちらへ向けて、矢を放つ。
「光優石火!」
ヒュンッと、目にもとまらぬ速さで矢が勾玉のような物へと飛んでいく。
そして、ちょうど真ん中を突き抜けて、矢は地面へと刺さった。
刹那
ヒュウウウウウウ………
不気味な音を立てて、それが消えていく。
瞬間。
悠の技によって目隠しされていたクラ達が一斉に消える。
そして、佳穂の張った結界がはじけた。
「なんだったの?」
佳穂が、光輝を持ったままつぶやく。
「まあ、いいじゃん。祓えたことに変わりないし。」
悠が、ぽんっと佳穂の肩に手を置いてそう言った。
こうして、龍精達の、ちょっとした春の余興は終わった。
これから始まる、異変の前兆でも、ある。
で?
結局、約束ってなんだ?
(書くのを忘れてました。たぶん、次ぐらいに分かります)




