其二十五
昨日はあげられなくて、申し訳ないです<m(__)m>
異変が一時的に収まり、巴樹ときいは、白波神社の少し横を流れる美波川のほとりを散歩していた。
「うわぁ……きれぃ………」
河川敷に咲き誇る桜の花に、巴樹が感嘆の声をもらす。
「ってか、あっちにいなくていいのか?」
うっとりとしている巴樹に、横を歩くきいが問いかける。
実は、何年ぶりかの花見日和に、奈濟さんが睦月寮の全員を連れてやってきたのだ。
晴天の青空に、満開の桜。
この景色を花見日和と言わない人はありえないだろう。(奈濟談)
「うん。ちょっと足がしびれちゃったし。」
苦笑いして巴樹が言う。
巴樹は、「足がしびれたから、歩き回ってくる」と言って散歩しているが、
きいは、「あったかすぎて、眠い。」と言ってきたが、本当のことを言うと、「奈濟さんの話がいつも以上に長いから、ちょっと気分転換に。」が理由なのだ。
だが、それを言うといつも長い奈濟さんのお説教がいつも以上に長くなることが、経験上分かっているので、あえて言わなかったのだ。
「それにしても、なんだか疲れたねー。」
気持ちよさそうに目を細め、巴樹はきいに言う。
「三日ぐらい前だし、あの後しっかり寝たし、もう大丈夫でしょ?」
にっこりときいが巴樹に笑いかける。
(っ!き、きいくんが笑ってる?!なにか変なものでも食べた?)
あわあわと巴樹が慌てるのを、きいが不思議そうな目で見る。
すると、突然下から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あ、きいくんに、巴樹ちゃん!やっほー。」
「か、佳穂さん!おはようございます。」
レジャーシートを広げ、お弁当を食べている佳穂と、悠がそこにいた。
「佳穂さんも、悠さんも、お花見ですか?」
河川敷の下に降り、二人はシートの上に座っていた。
「うん。こいつ、へたすると部屋にひきこもるから。」
苦笑いして佳穂が悠を小突く。
「さむ……。」
ぶるるっと体全身の毛を逆立てる悠。
「あんたが薄着なだけでしょ。」
いつもと違い、冷たく文句を言う佳穂。
「ほんと…平和っていいですね……」
ふいに、巴樹がそうつぶやきをもらした。
隣に座るきいが、巴樹の方を向いて聞く。
「なんでそう思うの?」
「だって………。」
一度言葉を区切り、巴樹は微笑んだ。
「こうやって、みんなが笑っていられるからだよ。だから、私は龍精として、平和を守りたい。」
青いレジャーシートの上の雰囲気が、少しだけ変わった。
その場の他三人が、一斉に巴樹の方を見る。
きょとんとして、巴樹が首を傾げた。
「え?え?三人ともどうしたんですか?」
急に変わった空気に、戸惑いの声を出す。
「ん…別に。」
「ふふふ……」
「ふうん……」
「え?え?」
三人が三人とも違うような同じような雰囲気に、ますます困惑する巴樹。
「これ、いただいていいですか?」
きいが、そのムードを破り、佳穂と悠の前にある重箱の中身を指し示す。
「うん。いいよ。」
佳穂がお皿と箸を差し出し、きいがそれを受け取る。
「巴樹ちゃんもどうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
巴樹も同じものを受け取り、小さなバイキングが始まる。
「むぐむぐ……佳穂はんへ、ひょうひふはいんへふね。」
「食べながらしゃべるな。食べながら。」
「佳穂さんて、料理上手いんですね。」と、卵焼きを食べつつ言う巴樹に、きいがジト目を向ける。
「でも…確かにおいしい。」
「ああ。こいつの料理はなかなかいける。」
「なかなかってなによ!………って、」
悠に突っ込んだところで、佳穂が石化する。
その目が映しているのは………きいのお皿の「上」。
悠も、その目線を追ってお皿を見ると、同じように石化する。
「え……え?……え!」
巴樹がようやく二人の石化に気づき、きいのお皿の上を見て、言った。
「き、き、き、きいくん!?だだだ、ダメだよ!そんなに、
一味
をかけちゃあ………」
「え?そう?」
((む、無自覚だったの?!))
(マジかよ!)
そう。
なぜそんなに三人が驚いたのかと言うと、
きいのお皿の上の具が……
きいが(なぜか)持参していた一味唐辛子によって、真っ赤に染め上げられていたからだった。
(((この人の味感大丈夫?!)))




