其二十四
おっしゃああああああああああ!
第弐章!制覇っ!
次回は、平和な短い章です☆
「巴樹っ!」
「巴樹ちゃんっ!」
目を見開く二人に、蔑が不敵な笑みを浮かべる。
「俺の目をお前らに引き付け、その間に、術の弱っている部分に力を加え、結界を破ろうとしたらしいが………残念だったね。ぜぇーーんぶ、『罠』だったんだよぉ♪」
楽しげな声に、きいが肩を震わせる。
「上にいた龍達は、気絶させておいたからね☆」
蔑の言葉を聞きながら、きいに気づいた佳穂が、きいの肩に慌てて手を添える。
「き、い、くん、落ちつ………!」
「無理です。」
佳穂の言葉を遮り、きいが顔を上げた。
その表情は、『怒り』そのものだった。
そして、龍雅会で起こした以上の、あの黒い光が、きいにまとわりつく。
「あっははははははは!!なんて面白いんだろう!
あなたが、………まさか、あなたがここにいるなんてねェ!!!ふはははははははは!」
ますます蔑の笑いが深くなる。
その時。
「そっちの方が、ばっかじゃないの?」
ふいに、ドアの方から声がかかる。
一瞬にして、きいの周りの黒い光が消えてなくなる。
そこには、
傷だらけの小冬が、真っ白い弓矢と、見覚えのある扇…風華を持って、立っていた。
「こ、こふゆさん?!」
「……生きてたんですか。」
「相変わらずの毒舌で。」
小さく微笑み、小冬は言った。
「えーっと、ないがしろな蔑さん?アンタ、
バカすぎ。
巴樹ちゃんを捕まえたのは、あんたの計算通りだったみたいだけど、
私を置いたまんまにしておいたのは、ちょっとタイムオーバーだったみたいだね。」
小冬の周りに、白と水色をした龍が現れ、小冬をまとう。
「ソ、ソノ、ハクリョクッ!シキリュウノッ!?」
(ご、號の時と同じ、あの機械質な声だ!)
まぶしそうに片手で額を押さえ、蔑は目をそらす。
その瞬間を見逃さず、きいは、符を飛ばし、叫ぶ。
「飛龍石火」
その水色の符が、一瞬で水色の影のみの龍へ変化し、糸を切って巴樹に巻き付く。
「グッ………」
「気づいた時には、時すでに遅し。」
あっという間にその龍の幻影は、きいの元へと巴樹を運ぶ。
蔑は、悔しそうにためいきをもらす。
「くそっ!」
ステージ上の蔑の姿が、シュッと消える。
が、その光景を見て、小冬が言う。
「逃がさないから。」
小冬は外に出て、水色と白の呪符を空高く飛ばす。
その時、二人は空を見て驚いた。
小冬の飛ばした呪符が、学校に張られた闇結界の真上へ飛んでいく。
その反対側、つまり中学棟の方向から、青色の符が飛んでくる。
次に、小冬の右側、校門のある方から、ピンク色の符が飛んでくる。
最後に、小冬の左側、高校第二棟の方角から、オレンジ色の符が飛んでくる。
その符に、きいは見覚えがあった。
「なつとつき!それに、佐久兄の符!」
「あれは…仁和さんの?」
佳穂もパチクリと目をまばたかせる。
「私が、ただ黙って見ていたとでも?」
にやりと笑い、小冬はもう一枚同じ符を右手の人差し指と中指の間に挟んで、呪文を唱え始めた。
「古よりの 龍をうちつどい
祓い、清めよ 闇夜の穢れ
二十七の力を龍神の元へ
四つの風達 ふきこみて
五つの彩り 舞え 回れ
空 司りて 一二三を数え
日日変わりつつ 流れゆく
永久の封印の精霊へ」
刹那。
グアアアアアアアアアアアアアッ!
どこからか、蔑の断末魔の叫びが聞こえ、張られていた闇結界が、パチンッとはじけ飛んだ。
いつの間にか、夜が明けていた。
闇結界の中では、いつでも夜もように真っ暗なのだ。
「ふわぁーあーあー…………」
一晩中起きていたおかげで、きいが大きな大あくびをする。
「さすがに…眠い。」
小冬も、きいのあくびがうつったか、眠そうに目をこする。
「ん………」
本日二度も気絶させられた巴樹が、多目的ホールのドア付近で目を覚ます。
そして、闇結界が消えていることに気づき、ポカーンとして、固まっていた。
「じゃあ、今日はしっかり休んで………みんなのことは、私が伝えておくから。」
「え?え?なにがあったんですか?」
佳穂の言葉に、ワケワカメ状態の巴樹が異議の声をあげる。
その時、あたりで声がした。
「おーおー、きい。おねむでちゅか~?」
「大丈夫?巴樹ちゃん。」
「けがしてない?巴樹ちゃん。」
「小冬も、佳穂さんも、お疲れさまでした。」
四季龍の四人、佐久、夏樹、奈月、仁和だった。
「うるせー、小悪魔甘党。」
「はい。大丈夫です!ご心配をおかけしました、なつくん。つきちゃん。」
「仁和って、寝起きは機嫌悪めだよね。」
「こちらこそ、夜遅く申し訳なかったです。」
八人が、仲良くおしゃべりをする。
のぼりはじめた太陽が、「おはよう」と言うように、その陽射しの光を強くした。




