其之十九
今回から、キャラの誕生日を後書きに書いていこうと思います。
だいたい、一人か二人です。
ただし、裏秘話の場合には書きません。
あまりの綺麗さに圧倒され、ぼーっとしていた巴樹に、突然横から声がかかった。
「龍雅会へようこそ、封じの姫様。」
すっかり耳慣れてしまった『封じの姫様』呼びに振り向くと、そこには、龍精の正装である袴に身を包んだ陵が立っていた。
ただ、やはり龍雅会のトップ。
その上に、金色と赤の龍雅刺繍された羽織を羽織っていた。
「りょ、陵様。」
慌ててぺこんと頭を下げると、陵は、前に手を伸ばして笑う。
「さあ、こちらへどーぞ。」
言われるままに廊下を進むと、漆喰の大きな両開きの扉が目の前に現れた。
(で、デカっ………。)
ちょうど、巴樹が二人か二人と半分ぐらいの大きさだった。
首が痛くなるほど見上げていると、ギィーーッときしむ音がして、その扉が開く。
「はい。ここが【青龍の間】だよ。」
陵が【青龍の間】と呼んだ部屋の中は、一面黒と赤で彩られているシンプルな色合いで、真ん中には半透明の水色のガラスがはまった円テーブルがドンッと置かれていた。。
ふと上を見上げると、黒い龍と白い龍が絡み合いながら戦っている絵があった。
少し気になったけれど、他のみんなが円テーブルに座っていたので、巴樹は空気を読んで急いで着席する。
席には、きいと巴樹、そして、佳穂と陵と、白波神社の時に佳穂の隣にいた黒髪の男の子が座っている。
(っていうか、あの子誰?!)
巴樹が心の中で、男の子に問いかけていると、陵が口を開いた。
「みなさん、よく来てくださいました。」
いつもと違う(そんなにあってないけど)もったいぶった口調に、思わず苦笑いしそうになる巴樹。
「今回来ていただいた三人には、少しご協力を願おうと思います。」
パチンッと指を鳴らすと、通ってきた扉が開き、一人の男性が大きな盃を持って現れる。
緑色の髪に茶色の優しそうな瞳。陵と同じ正装に身を包んでいる。
その姿に、巴樹は思わず椅子から転げ落ちそうになっていた。
(え!赤羽さんっ?)
彼は、緑葉赤羽。巴樹が週二で通う、料理教室の生徒の一人。
班が同じで、たまに話したりしている。とてもスイーツを作るのが上手く、心優しい人で、その会話の中で、赤羽も龍精だということは聞いていたのだが………。
あまりに気になった巴樹は、つんつん、と隣に座るきいをつつく。
「なに?」
「あ、赤羽さんって、何龍精?」
小さい声で話してくれるきいに、心の中でありがとうと思っていると、きいが言った。
「対五龍、地龍精。」
(…………………えっ、ええええええええええ?!)
あまりの新事実に、またもや唖然となり固まっていたが、我に返って、きいにぺこりと小さく頭を下げてお礼を言う。
そして、向かい側に立つ赤羽を見ながら心の中で突っ込んだ。
(ちょ、赤羽さんってすごい人じゃないですか!)
地龍精は、天龍精(つまり、雅龍将の陵のこと)の補佐的存在。聖龍士の中で二番目に高い位だ。
地龍精の仕事は、先ほど言った雅龍将の補佐と、青龍の間の管理などである。
「ちょっとこれを見てくれるかな?」
赤羽から盃を受け取ると、陵は、円テーブルの半透明の部分に、中に入っている水のようなものを流し込む。
こぼれる!かと思いきや、どうやらへこんでいるらしく、そのくぼみの中に水が溜まっていった。
そして、盃の中の液体がすべてくぼみにそそがれたその時。
そのたまった液体の上に、青い霧がもやもやと現れ、四角い形になっていく。
そこには、何かの映像が映し出されていた。
移り変わりながら映し出されるそれは、どうやら全国各地の映像のようだった。
「これは、全国の龍精達が、クラを討伐しているときの映像だよ。」
パチンッと陵が指を鳴らすと、映像が早送り&ズームアップされて、ある大きなクラの右奥が映される。
と、そこには。
「え?これは?」
驚き顔で、目ざとくきいが言葉を発する。
きらーんっと陵の琥珀色の瞳が光り、言った。
「よく気が付いたね、きいくん。」
冷静な顔に戻り、きいが小さく頭を下げる。
そう。
そこには、黒の勾玉の形をした物と紫の勾玉の形をした物が組み合わさって、球体になっている物体が、黒い霧をまとい渦を巻きながら存在していたのだ。
「この物体は、最近のクラ暴発の現場に必ず出現しているんだ。」
ゆっくりと赤羽が二人に近づいてきて言う。
「……それで、俺達にどうしろと。」
その時。
初めて、あの男の子が口を開いた。
「悠くん、いいことを言ってくれました!」
びしぃっと、悠と呼んだその男の子を指さすと、陵はいつもの笑いで笑って言った。
「キミたちには……
少し調べるのを手伝ってもらいたいんだ☆」
重々しい雰囲気だった青龍の間に微妙な空気が流れ、しばしの沈黙が落ちた。
「か、佳穂さん。」
陵の、話という名の押しつけ頼みが終わり、巴樹は二つ隣の席だった佳穂に近づいて話しかけた。
「ん?どうしたの?」
「あの、佳穂さんの隣にいた男の子て……」
そこまで言いかけて、巴樹はぴくっと動きを止めた。
「俺のこと?」
悠が佳穂の隣に、静かに現れたのだ。
静かに現れた悠に、巴樹は小さく絶句。
「ああ、こいつ?」
にやっと笑って、佳穂は巴樹に紹介してくれる。
「こいつは、私の幼馴染の、黒河悠。色龍の黒龍精なんだ。頭の回転が速い策士だから、陵様が呼んだんだと思う。」
「策士は余計。」
苦笑いしながら、佳穂は悠を小突く。
「よろしく」
まるでどこかの誰かさんのように短く言うと、悠はそそくさとどこかへ行ってしまった。
「ごめんね~。あいつ愛想ないから~。」
「あ、いえ、大丈夫です。」
「ほんとごめんね~。」と言いながら、佳穂も扉へと向かう。
しばらく考えていた巴樹も、扉の向こうへと向かった。
【ドラすく誕生日公開こーなー】
信重きい 六月二十一日
七橋巴樹 十二月二十三日




