鮮血のディアノック(前編)
累計100,000PV超えました。やばいです。
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これからもどんどん頂けると嬉しいです。
拙者はディアノック。
魔王軍幹部、八雷神の1人である。
魔王様の命を受け、人族の国、ガズラン帝国へ出陣した。
人族との接触は久々なので正直緊張していたが、想定以上に想定内だった。
あれよあれよと侵攻し、残すは帝都のみという所まで迫った。
今は先方隊が帝国の最後の砦に攻め入っているところだ。
これに勝てばもはや帝国は堕としたも同然。
いやー、案外楽な仕事でゴザった。
魔王様にどんなご褒美を貰おうか、愛馬に揺られながら妄想する。
「デュフ」
おっと、思わず笑いが漏れてしまったでゴザル。
しかし大丈夫。
今の拙者は必死に作り上げたイメージがある。
クールで悪魔的発想を持つが騎士道精神も持ち合わせている武人と言うイメージが!
おかげでこんな不気味な笑いも――
「ディアノック様が笑っておられる」「きっと頭の中で帝国を血祭りにあげているんだ」「なんと悪魔的発想」「抱いて!」
――となる。
なんという好意的解釈w
昔周りからキモがられていたのが嘘のようでゴザル。
フヒヒwwモテる男は辛いでゴザルよwww
ん。なにか辺りが暗くなってきたでゴザル。
雨雲でゴザルか?
と近くで鈍い音がした。
音のする方に目――正確には目はないが――をやると、歪んだ肉と鉄の塊が呻いていた。
金属の一部に魔王軍の刻印がある、間違いなく先方隊の兵士だ。
そしてそれは次から次へと降ってくる。
ヴぇええええええええ!いったい何事でゴザルか!?
辺りを見回すも皆慌てふためいており、この状況を理解できている者はいなさそうだ。
とそこに降ってきた者は先程までの鈍い音とは違い、とろみのある水が落ちた様な音を発生させた。
その周辺に緑がかった液体が四散する。
それはワームの様に這いずって一箇所に集まり、やがて人の形を作り出す。
「くそがあああああ!!あの魔術士絶対許さねえ!!」
現れたのは先方隊を任せていた不定形族のアヌマ。
やっぱりこいつでゴザったか。
「アヌマ」
「ああああああ!!ってディアノック様!?」
「これはどういう訳だ」
以前降り注ぐ兵士達を指して問う。
ここで取り乱してはいけない。
イメージを崩さないように冷静に、しかし冷酷さを感じさせるような声色で問うた。
「こ、これはですね。帝国の魔術士に吹き飛ばされましてっ」
「帝国の魔術士?」
「そうです!足元からすげえ風を喰らって、ここまで飛ばされてきたんですよ!」
……魔術を使えば敵を吹き飛ばすことは可能でゴザルが、先方隊の兵は2万。
それだけの数を吹き飛ばすなど、相当な魔力を消費する筈でゴザル。
それほどの使い手が帝国にいるなんて聞いてないでゴザルよ。
前方の空にはまだまだ兵士達の姿がある。
このままじゃ被害が広がる一方でゴザル。
まずはこの事態を収拾しなければ。
そう思い、最前列まで愛馬を走らせ、得物を薙いだ。
【旋風刃】
これは簡単に言えば竜巻を発生させる技だ。
中に入れば風の刃に切り刻まれる。相手は死ぬ。
と言っても、範囲は広いが移動する訳ではない為近づかなければ害はない。
それどころか敵味方の区別なく切り刻む為、範囲が広いことが逆に使いづらさに繋がる。
正直あまり使いどころがないクソ技でゴザルwww
こんなクソ技作ったのだ誰だよ、出て来いよ……拙者でゴザッたwwサーセンwww
いやーなつかしい。
なんとなくカッコイイから作って披露したら、お館様に笑われたのはいい思い出でゴザルなー。
干渉に浸っている最中も、飛んできた兵が次々と竜巻に飲み込まれ雨が降る。
拙者は『鮮血』、その能力は身に浴びた血を吸収し、強くなること。
降り注ぐ雨の中、魔力の高まりを感じる。
デュフフww味方の血でブーストする拙者wwwなんという悪魔的行為wwww
「すげえ!さすがディアノック様だぜえ!」
「……アヌマ」
傍まできていたアヌマ。なんか勝手に感激している。
いい度胸だと感心するでゴザル。
はてさて、潔いのかただのバカなのか。
「あが、あれ?ディアノック様?」
アヌマの左肩から脇腹まで、拙者の得物が切り開く。
どうやらただのバカだった様でゴザル。
「むざむざ敗走した将が罰せられないとでも思っていたのか。それとも種族としての怠慢か?」
「が、なんっばあっ」
「……不定形族と言っても、その根幹をなす『核』があることぐらい、拙者が知らぬはずなかろう」
アヌマは驚愕の表情を見せながら、ドロドロに溶けていく。
地に溜まった液体は、そのまま動くことはなかった。
「愚か」
「愚か」ww拙者カッコよすぎるでゴザルwww
さて、バカは死んだし、さっさと立て直してその魔術士とやらを拝みに行くでゴザル。
「衛生兵と1部隊は残り手当てしてやれ、あとの動ける者は拙者に続け」
結局動けた兵は1万程、随分やられたでゴザルなー。
まあ拙者が出るのであれば、十分な数でゴザルが。
……でもちょっと士気が低いでゴザル。
先程の光景を見せられれば無理はない、戦場に出れば今度は我が身かもしれないのだから。
風の魔術士、相当な切れ者でゴザル。
間違いなく帝国の切り札であろう。
だが、裏を返せばその者さえ倒れれば抵抗する者はいなくなるであろう。
そうなれば後は簡単。
拙者の仕事も一段落でゴザル。
ここはひとまず、兵の士気を上げるでゴザルよ。
「ガズラン帝国軍に告げる!拙者は魔王軍八雷神が1人、『鮮血』のディアノックと申す!先の大魔術、誠に見事なり!ついては貴国の大魔術士殿に、一騎打ちを所望する!」
一騎打ち。
武人であれば「一騎打ち!?やるやるー!!」となる魔法の言葉。
この方法で帝国三鎧天の1人を屠ったのだ。
まあ魔術士には自分は頭がいいと思っているインテリクソ野郎が多いから「一騎打ち?勝手にやってろ脳筋バカ」と蔑まれ、まず受ける奴はいない。
が、それでも受けなかった事実は残る。
大衆からすればそれは逃げたこととなんらかわらないのだ。
そう!つまり帝国がこのディアノックから逃げたと言うことと同義!
デュフフww拙者は天才でゴザッたwww
さて、さっさと断るでゴザル、そして兵の士気を上げるでゴザル。
「はーい、わかりましたー」
そうそう。これで我が軍の士気はうなぎのぼり――
――ファ!?
わかったって言った?今わかったって言ったよね?
ま、待て落ち着け、魔術士がのこのこ出てくる訳がない。
きっと聞き間違いだ……って誰か砦から降りてきたー!
嘘、マジでやる気?
魔術士が姿を見せるとかアホだろ。
それとも、本当に一騎打ちで拙者に勝つつもりなのか。
3人の人族がやってくる。
1人は先頭を歩く眼鏡のおっさん。なぜ執事服?
脇には金髪の騎士が2人。
1人はなんか見たことある様な……この前切り捨てた気がするでゴザル。
もう1人はなかなかマブい女でゴザル。デュフww
ふむ。この中では脇にいる2人の方が強そうではあるが、特級魔術の使い手であれば、それ相応の歳を取っているもの。
であれば、先頭を行くあの者が帝国の大魔術士。
……にしても、なんだあの冴えない感じは。
なんかこう、もう少しさあ、拙者の武勇伝の1ページに相応しいビジュアルで来て欲しいでゴザルよ。
そういう意味では後ろの2人の方がいいでゴザル……。
と言うか本当にこいつで合ってるのでゴザルか?魔力とか全然感じないんだが。
「……貴殿があの魔術を?」
「そうです」
「……ふふ、ふはははは!素晴らしい!外見に似合わぬ魔力の奔流!よくぞ人の身でそれほど魔力を手に入れられたものだ!おもしろい!」
「おもしろいですか」
魔力とか感じないんですけどねーwww
とりあえず相手を持ち上げておく!これ最強!
なぜなら相手の強さを演出することで倒した時拙者の株は爆上がり!
魔王様に褒められる!女にモテる!
「貴殿、名はなんと申す」
「ヨシオです」
「ふむ、聞かん名だな。だがよい。貴国の歯応えのなさに少々退屈していたところであった。最後に貴殿の様な者と巡り合えたことを感謝せねばなるまい」
「エリン様にですか?」
「馬鹿を申すな、魔王様に決まっておる」
エリンとか、クソの役にも立たない女神www
……いや、そうでもないか。まあいいでゴザル。
「ところで、その者達は」
「見学です」
「そうか。よもや、一騎打ちに水をさす訳ではあるまいな」
「大丈夫です。お2人の手は煩わせませんよ」
……は?
なに言ってくれてんのこいつ。
マジで拙者に勝つつもりでゴザルか。
やばい、むかついてきた、が、ここは落ち着こう。
強者とはそういうものでゴザル。焦ったら負け。
「……よかろう」
「合図はありますか?」
「よい、貴殿から参られよ」
「ではお言葉に甘えて」
いいよ、来いよ。ハンデくらいくれてやるでゴザル。
「……あの、もういいんでしょうか?」
なんだよwwはやくするでゴザルwww
「参られよと申した筈だが?」
「いや、まだ馬上にいらっしゃるので」
「拙者に下馬しろと申すか」
「ええ。危ないですよ」
「……クク、貴殿は本当におもしろいな。……よかろう」
はいコロスー、こいつもう絶対許さんもんね。
どんだけ自信があるのか知らんが、一刀でコロコロしてやるでゴザル。
後編に続く。
本日は後程もう1回更新します。ひゃっほい。




