107.
【☆★おしらせ★☆】
あとがきに、
とても大切なお知らせが書いてあります。
最後まで読んでくださると嬉しいです。
俺は氷漬けの二人を交互に見下ろし、少し考えてから口を開いた。
「……解放するか」
「え?」
咲耶が目を丸くする。
「悪いのは命令を出した上層部だろ。こいつらはその命令に従っただけだ。それで殺したり閉じ込めたりするのは、さすがに割に合わない」
俺が魔法を解くと、二人はがくりと膝をついた。
全身を凍らされた後遺症か、肩で息をしながら床に手をつく。
「……慈悲深いんやなあ、あんた」
先に口を開いたのは贄川だった。
京都弁のやわらかいイントネーションで、けれどどこか腹の底を探るような目で俺を見上げている。
「べつに。合理的な判断をしてるだけだ」
「そうかあ」
贄川はふっと息をついて、立ち上がった。
隣では上松が無言のまま膝の土埃を払っている。
さっきまで殺気を剥き出しにしていたとは思えない、落ち着いた所作だった。
「で、おまえらこれからどうするんだ?」
俺が訊くと、二人は顔を見合わせた。
「帰ろうとは思てるんやけど」と贄川。「さすがに今からのこのこ帰るんもなあ……」
「関西支部に報告したら、また刺客が来るかもしれないもんね」
上松が続ける。
低くて落ち着いた声だった。
「あなたたちが大阪に来るタイミングで一緒に戻る方が、身の安全は確保できる」
「東京に泊まる当てはあるのか?」
「実家が東京にあるんで、そこに」
「二人とも?」
「二人とも」
へえ、と俺は少し意外に思った。
関西支部の妖刀使いが、わざわざ東京に実家を持っている。
妖刀使いの世界にも、いろいろと事情があるらしい。
「ほな、そういうことで」
贄川がくるりと背を向け、出口へ向かいかけたところで、ふと足を止めた。
「……一個だけ、聞いてもええか」
「なんだ」
「あんたらに力を渡してたっていう、サイカ? とかいうやつ。どんなやつなんや」
部屋の空気が、わずかに変わった気がした。
咲耶、ももか、玉姫の三人が、それぞれ微妙な表情を浮かべる。
「……わからない」
答えたのは咲耶だった。
珍しく、歯切れが悪い。
「わからない、って?」
「姿を見た者はいない。声も聞いたことがない。ただ……心の隙間に、ぬるっと入ってくる感じがして、気づいたら力を与えられていた。そういう感覚としか言いようがないの」
「ぬるっと」
贄川が眉をひそめる。
「気味悪いなあ」
「そうね。でも悪意は感じなかった。少なくとも私は」
俺は腕を組んで考える。
心の隙間にぬるっと入ってくる。姿も声もない。けれど力を与えることができる存在。
「……妖魔なんじゃないか?」
「さあ」
咲耶は静かに首を傾けた。
否定も肯定もしない、どちらとも取れる表情で。
「それを確かめる方法が、今のところない」
ふぅん、と俺は息をつく。
わからないことが、また一つ増えた。
「ほな、またな」
贄川が軽く手を振る。
上松は無言のまま、俺たちに向かって軽く頭を下げた。
二人の足音が遠ざかり、やがて聞こえなくなる。
「……サイカ、か」
俺は誰にともなく呟いた。
妖魔なのか、別の何かなのか。味方なのか、そうじゃないのか。
わからないことだらけのまま、俺たちの次の目的地は、西へと定まっていた。
【お知らせ】
※3/17(火)
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