表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界帰りの最強魔術師、現実世界でも無双する。 ~唯一魔法が使える俺、なぜか英雄扱いされて困ってます~【26年5月発売】  作者: 茨木野


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/111

107.

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。

 俺は氷漬けの二人を交互に見下ろし、少し考えてから口を開いた。


「……解放するか」


「え?」


 咲耶が目を丸くする。


「悪いのは命令を出した上層部だろ。こいつらはその命令に従っただけだ。それで殺したり閉じ込めたりするのは、さすがに割に合わない」


 俺が魔法を解くと、二人はがくりと膝をついた。

 全身を凍らされた後遺症か、肩で息をしながら床に手をつく。


「……慈悲深いんやなあ、あんた」


 先に口を開いたのは贄川だった。

 京都弁のやわらかいイントネーションで、けれどどこか腹の底を探るような目で俺を見上げている。


「べつに。合理的な判断をしてるだけだ」


「そうかあ」


 贄川はふっと息をついて、立ち上がった。

 隣では上松が無言のまま膝の土埃を払っている。


 さっきまで殺気を剥き出しにしていたとは思えない、落ち着いた所作だった。


「で、おまえらこれからどうするんだ?」


 俺が訊くと、二人は顔を見合わせた。


「帰ろうとは思てるんやけど」と贄川。「さすがに今からのこのこ帰るんもなあ……」


「関西支部に報告したら、また刺客が来るかもしれないもんね」


 上松が続ける。

 低くて落ち着いた声だった。


「あなたたちが大阪に来るタイミングで一緒に戻る方が、身の安全は確保できる」


「東京に泊まる当てはあるのか?」


「実家が東京にあるんで、そこに」


「二人とも?」


「二人とも」


 へえ、と俺は少し意外に思った。

 関西支部の妖刀使いが、わざわざ東京に実家を持っている。

 妖刀使いの世界にも、いろいろと事情があるらしい。


「ほな、そういうことで」


 贄川がくるりと背を向け、出口へ向かいかけたところで、ふと足を止めた。


「……一個だけ、聞いてもええか」


「なんだ」


「あんたらに力を渡してたっていう、サイカ? とかいうやつ。どんなやつなんや」


 部屋の空気が、わずかに変わった気がした。

 咲耶、ももか、玉姫の三人が、それぞれ微妙な表情を浮かべる。


「……わからない」


 答えたのは咲耶だった。

 珍しく、歯切れが悪い。


「わからない、って?」


「姿を見た者はいない。声も聞いたことがない。ただ……心の隙間に、ぬるっと入ってくる感じがして、気づいたら力を与えられていた。そういう感覚としか言いようがないの」


「ぬるっと」


 贄川が眉をひそめる。


「気味悪いなあ」


「そうね。でも悪意は感じなかった。少なくとも私は」


 俺は腕を組んで考える。

 心の隙間にぬるっと入ってくる。姿も声もない。けれど力を与えることができる存在。


「……妖魔なんじゃないか?」


「さあ」


 咲耶は静かに首を傾けた。

 否定も肯定もしない、どちらとも取れる表情で。


「それを確かめる方法が、今のところない」


 ふぅん、と俺は息をつく。

 わからないことが、また一つ増えた。


「ほな、またな」


 贄川が軽く手を振る。

 上松は無言のまま、俺たちに向かって軽く頭を下げた。


 二人の足音が遠ざかり、やがて聞こえなくなる。


「……サイカ、か」


 俺は誰にともなく呟いた。


 妖魔なのか、別の何かなのか。味方なのか、そうじゃないのか。


 わからないことだらけのまま、俺たちの次の目的地は、西へと定まっていた。

【お知らせ】

※3/17(火)


新作、投稿しました!


「悪役令嬢は辺境で【ニワトリ】を溺愛したい。~卵を孵すだけのスキルが神鳥と組み合わさったら、神器もチートスキルも出放題で、スローライフどころじゃなくなりました~」


https://ncode.syosetu.com/n1410lx/


広告下↓のリンクから飛べます。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ