#6. ヒーロー
語学学校での授業を終え、クラスメイトの女の子と買い物に出かけた。楽しい時間を終えて気分良く帰っていると、背が高い男に声をかけられた。185cm以上あり、筋肉質だったので威圧感がある。
「なあ、君いま1人? もし1人なら俺と遊ばない? 1人じゃ寂しいでしょ?」
何を言っているんだコイツは、と思ったので
「いやすみません、私、彼氏いるので……」
と断った。本当は彼氏などいないけれど。すると男は満面の笑みで、
「大丈夫、俺も結婚してるから!」
と言ってきた。指輪はしていないので嘘か事実かはわからないが、とにかくしつこい。
「結婚してるんだったら奥さんに怒られるでしょ? 私も彼氏に怒られるからあなたとは遊べません!」
私が強い口調で断ったそのとき、男に向かって後ろから男性が声をかけてきた。
「彼女、俺の友達なんだ。嫌がってるのがわからないのか? そういうのもうやめろ」
「は? お前なんなんだ?」と男は言っていたけれど、男性は私の手を引いて走って逃げる。300mほど走ったので2人とも息切れしていた。
「大丈夫だった? 怪我はない?」
男性がそう言ってくれたので、
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
と私は息切れしながらも返事をする。
「もう追ってこないですよね……?」
男が追いかけてこないか不安だったのでこうこぼすと、
「追ってきたら俺が追い払うし、警察呼べば良いよ」
と男性は笑いかけてくれた。
「帰り道、気をつけてね。後ろ振り返って、まだあいつがいるようならお店とかに逃げて」
男性は真摯にアドバイスをくれる。どこの誰かはわからないけれど、彼は私にとってヒーローだった。




